表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高良フェノミナン2nd  作者: カラー
第9章:交錯する夜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/120

ここに住むか

 引退…ってそんな馬鹿な。

「正確にはリハビリにとっても時間がかかりそうだってこと、らしい」

 大前先生の見立てじゃな。


 日向さんは朝の挨拶くらいあっさりとそんなことを言った。


 あー…。

 変化球主体の先発投手が去年の夏以降、速球を前面に押し出した救援投手にモデルチェンジしたんだった。

 つまりは無理をしたってことですかね。


「いやあ…面白かったぜ。やっとやりたいことできたんだからよ」

 出力をわざと上げすぎて故障したってことですよね?なぜそんな無理を。

「やりたかったから、な」


 そっか…。それじゃ仕方ありませんね。

「なんで共感できるかなあ」

 玲先生は呆れたように俺に言う。

「いとこ以上にいとこ、ね」


「似た者同士以上に…なんて言うか…」

 さすがに千種でも、日向さんを前にして明言は避けた。

 仕方ないから代わりに俺が言ってやる。

「馬鹿だよね」


 日向さんは怒るでもなく柔らかく笑った。


 ・・・

 長いリハビリになる上に復帰できるかも分からないらしい。

 それなら1人でも選手枠を空けて若手に道をひとまず譲ることにした、と日向さんは説明してくれた。

「別に金は充分稼いだからな」


 野球を愛してたのでは、とは聞けずにいると

「高校の時にこいつが見に来るから頑張ってたのが、いつの間にか今日まできただけのことだ」

 玲先生を見る日向さん。


「それはわたしにそれだけの価値があったから」

 しれっと言う玲先生に同感の首肯をする千種。

 この2人も実は似た者同士なんじゃ…。

「なあ弟」

 なんでしょうか、兄貴。

「おまえの嫁さん、怖いか?」

 ええ、すごく。兄貴んとこは?

「北、玲だぞ」

 あー…。


 眼前で分かりあってた美女2人にものすごい目で睨まれた。


 にしてもこれからは?

「スポーツのカタルシスと同じものはもういいわ。探さなきゃな」

 自分に言い聞かせるように言う日向さん。


 引退したらコーチをするもんだって言われたことありますよ。

「おまえ、なんか引退したの?」

 ええ、水泳。

「そういや日本チャンプだったな」

 …すごく遅いタイムのその年だけの1位ですけど。


「こじらせてんなー、少年」

 下手に優勝なんかするもんじゃありませんよ、ほんと。

「甲子園。出るんだろ?」

 あ、…はい。

「強いの?」

 化物ばっかですよ。ジャージ…かは知りませんけど、あそこにいる光太郎を筆頭に。


「ふーん…。面白そうだな」

 あれ。

「暇になりそうだし、玲の傍にはいたいし…。リハビリだけはしなきゃならなし、ってか。この場所はいつまでたっても好きになれないけどな」


 ここに住むか、と日向さんはあっさりと決断した。

 玲先生は幸せそうに微笑む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ