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軍事的知識

「軍の配置ってどうなってるの? それに敵軍の動きは? 騎兵と歩兵の割合は? 城壁をさっき見たけどまだ防備は固めてないね。野戦で決着? それとも籠城? それがわからないと対処しようがないよー」

 ゴモリはすらすらと軍事の情報を並べたので、フリーダさんは目を丸くした。

「ここは兵士志願者も集まりますし、お教えできる範囲でお答えしてもかまいませんが…… ゴモリさんはお詳しいですね」

「まーね。何と言っても精霊だしね!」

 ゴモリはドヤ顔で胸を張る。体を反らしながら胸を張るものだから、大きな胸がさらに強調された形になる。

 でも僕は鋼鉄の意志で目を反らし、フリーダさんが地図を持ってくるのを待った。



「と、大体このような配置になっておりますが」


 フリーダさんが地図の上に味方と敵の兵を現したコマを置きながら、僕たちに説明してくれる。といっても輜重の集積場所とか指揮官の位置とかははぐらかして教えてくれなかった。フリーダさんにも知らされていないのか、機密情報だから明かせないのだろう。


 僕やヒアはとりあえず敵の兵が多いということとどこにいるのかということくらいしかわからないけれど、ゴモリはぶつぶつと呟きながら地図と格闘していた。

 その様子はとても真剣で、普段のゴモリからは考えられないくらいインテリな感じがした。


「おかしい」


「おかしいって、何が?」


「平原だって言うのに兵の配置がばらけすぎだよー。山岳戦でもないのに兵隊が小隊規模、場所によっては分隊規模で配置されてるうえに距離が離れすぎてる。各個撃破してくださいっていってるようなもんだよー、これ」


「敵の指揮官が無能ということでは? もしくは急造の軍で、統率がとれていないのかも」

 フリーダさんの指摘にゴモリが首を横に振る。


「どんな間抜けな指揮官でも、接敵と思しき所で兵隊を横に並べるくらいはする。そうしないと一斉射撃でも突撃でも火力と打撃力を活かせない。地形の制約がある場所は別だけど」


「散兵戦術では?」


「それは良質な銃と訓練された兵隊が大前提だし、地形と兵の間隔に規則性が見当たらない。こりゃ、バラバラなだけだよー」


「……でもそれなら、こちらが与しやすいということ。こちらにとってはいいことでは?」


「それだけじゃない気がするー。いままで隣のウェルス領主の軍が攻め込んできたことなんてあった?」


「いえ。王軍に比較すれば微々たる兵力ですし、こんなことをすれば王軍に踏みつぶされておしまいです。飢饉の年でもないですし、わざわざ危険を冒してまで攻め込んでくる理由が正直分かりません。気が触れたとしか思えないくらいです」


 そこまで聞いて、ゴモリが目を見開いた。


「まさか…… フリーダさん!」

「は、はい!」

 いつもと違って迫力あるゴモリの口調に、フリーダさんが襟を正した。


「私とご主人様で、今晩偵察に行ってくるー。幸い今日は雲が多いし、夜になれば月が隠れて平原でも敵に見つかりにくいから、絶好の機会」

「それは無理です。先ほど申しましたが、城門は閉ざされています。城の外に出ることは難しいでしょう」



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