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怖い顔と安心

読みにくいということなので少し行間を開けてみました。

「ご主人様―? なんだかずっと怖い顔してるよー?」

 フリーダさんから話を聞いてから、ずっと僕は気分がふさぎこんでいた。

 近々里を出るという話が出ていたのはゲーリングだから、この町に立ち寄るのはきっと奴だろう。

 またガイストで脅されるのか。


 村で味わってきたいじめの記憶がフラッシュバックする。

 呼吸が荒くなり、体の震えを抑えるのに一苦労だ。


「そんなに悪い奴なら、任せておいて! 私がやっつけちゃうんだから!」

 ゴモリはそう言いながら拳を空中で振る。


 そうだ、今の僕は一人じゃない。精霊召喚に成功した立派な精霊使いだ。

 さらに50年ぶりというレアな技術、送還術を成功させた。


 ゲーリングなんかよりよっぽどすごい…… はず。

「まあ会わなければ何事もないだろうけど。もしいざこざになったらよろしく頼むよ」

 ゴモリが何気なく接近して、ガイストかゲーリングに能力を使えばいいだろう。





 それから十日ほど、僕とゴモリは組んで仕事をしていた。

 ゴモリの力で人の意識に入り込めば、何を考えているかわかるので浮気調査などを主に請け負っていた。

 普通なら何日もかけて対象を尾行し、証拠を突き止める必要があるけれどゴモリの力で意識をのぞき、待ち合わせの時間や相手を特定できればすぐに証拠があがる。

 僕はそれに加え、ティーアの討伐も行なっていた。

 ドロップする毛皮や牙、食材はいい収入になるし、それにゴモリに頼りきりだとヒモになったみたいで落ち着かない。



 それにこうやって日ごとに収入を稼いで暮らしていると、収入がある日もあれば1ニ―ロも入って来ない日もある。安定した職につけていないと将来の不安があるけれど、体を動かしていると多少は不安がまぎれた。



 送還術は近くに使う対象がいなかったので、ドゥンケル以降送還していない。

 ドルトムントの近くにはいないようだけど、遠出をして探しに行くにはお金がない。

 だからどっちにしろ貯金しないと。

 そのために何日か野宿したけれど、野宿が続くと疲れが取れないし体調にも悪いので、ここ数日は安宿に止まっている。



 ある日、仕事を終えて宿に帰ると、天蓋と御者のついた立派な馬車が宿の前に止まっているのを見かけた。

 馬車は光沢のある高級な材質でできており、庶民が利用する屋根なしか幌だけの荷馬車や乗合馬車とは明らかに違う。

 庶民が行きかうこの通りで、馬車だけが明らかに浮いていた。道行く人も何事かと馬車の周りに人だかりを作っている。


「ゲーリングかな……」

 大貴族に招かれたって言っていたから、貴族の馬車がリンツ近くまで迎えに来たのだろう。よく見ると馬車に家紋らしき文様が彫られている。

 僕の居場所を突き止めてわざわざこんな安宿に御足労してくれたってわけか。気分が滅入ってくるな…… みぞおちの辺りがきゅんとする。


 でも妙だな。ゲーリングがこんな場所にまで来るだろうか?


彼だったら、「こんな場所は俺に似つかわしくねえ!」とか言って足を向けそうもないけど…… そんなに僕に嫌がらせしたいのか?

「ご主人様! 格好いいね!」


 あれこれ考える僕を尻目に、ゴモリは馬車を見て目をキラキラさせている。

 ゴモリの外観が小さな子供なせいか御者の人もその様子をほほえましげに見ていた。


 すごくほっとする光景だ。

 ゴモリを見ていると、勇気がわいてくる。僕は幾分楽になったのを自覚しながら、宿の中に入っていった。


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