表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/46

もう死んでいる

 川から離れて歩を進めていくと、森が深くなっていく。

 木が密集してくると同時に葉が大きく厚い木が増え、空を覆い隠していく。そのため足元は薄暗く、空気が冷えてくる。

 すでに道らしき道はなく、膝まで草が生えている獣道と木の根を足掛かりに進んでいる感じだ。

 そのうちに、皮膚を伝う雰囲気がピリピリとしたものに変わっていくのを感じた。

「ゴモリ」

「うん。私とは種族が違うけど同じ精霊同士、なんとなくわかる。どんどん近付いている感じかなー」

 森の奥から感じる魔力の波長。

 召喚の儀で数多くの精霊の魔力を感じてきたから、精霊の魔力だってわかる。

 精霊と人間の魔力の違いはその波だ。人間は縦の波に近いけれど、精霊は横の波に近い。

 不規則な魔力の横波が、僕の肌をピリピリと刺す。

 同時に、鳥や獣の気配が消えていた。


 

 森の奥の湖に「そいつ」はいた。

 森にある湖というと陽光を水面が反射する金波銀波のイメージがあるけれど、この湖は苔や藻が水面から見える、淀んだ湖だった。

 精霊というけど動物や植物の形ではなく、またティーアのように瞳が赤いわけでもない。どちらかといえばゲーリングのガイストに近い外見だ。

 不特定の黒い影の塊が湖の中央にあり、時折影の一部が本体から切り離されると湖や空に落ちていき、一定時間周囲を暗く染める。だがしばらくたつと陽光に浄化されるように影の塊は消えていく。

 消える頃には再び影の塊が本体から切り離される。

 その繰り返しだった。

「確かにこれはよくないな……」

 こいつがいるだけで周囲が暗く、鳥や獣が逃げていってしまう。

 近付かなければいいだけの話だけれど森に生きる獣や狩人、ドルイドたちからすれば迷惑な存在だろう。

「それにしても、こいつを召喚した精霊使いはどうしたんだ?」

 僕は一人呟いた。

 精霊は、精霊使いが必ず側にいるはず。ヒアのフェアリーも、ゲーリングのガイストもそうだった。精霊は精霊使いの魔力でこの世界での存在が維持されているので、あまり離れられないというのもあるが。

「ご主人様。 多分、もう死んでるよ」

「死んでる? そんなはずないよ、だって精霊使いが死ねば精霊は自動的に送還されるはず」

 それが精霊と精霊使いのルールだ。精霊使いの魔力によってこの世に存在している以上、召喚した精霊使いがいなくなればこの世に存在を保っていることはできない。

「違う。この精霊が、だよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ