知己のためのResolution
増援として現れたディック。その存在は、横須賀基地側からすれば、かなりマズかった。
アンカーランスという特殊な得物は、ただの槍では不可能な間合いと扱いを可能とするため、格闘戦主体の田中親子では相性が悪い。
加えて、親衛隊長である彼の一喝と指揮により、ルーナ側の兵士は士気と統制を取り戻した。
これにより、基地のノーマルス部隊の6割が壊滅。唯一、ディックとまともに戦える恋が奮戦してはいるが、雲行きは怪しくなってきている。
そんな厳しい戦いが繰り広げられている中、学生達はようやく基地に到着。シェルターへと続く道は長蛇の列となっていた。
「うわ、すっごい人……。あたし達、入れるかな?」
ごった返す人混みに、友子は不安を口にするが、冴月は、基地の外の様子が気になるらしく聞いていない。
「冴月? どうかした?」
「あ、ううん。なんでもない」
(向こうで戦ってる機体から聞こえた声って、もしかして……)
ディックと優花らの会話がオープンチャンネルで交わされていたことで、誰が戦っているのかわかった冴月は、このままシェルターに入っていいものかと悩んだ。
今はまだ挽回できそうだが、もし、増援が追加されたら、ここも安全とは言えない。何より、こんなところで彼女達を死なせるのは、あまりにも――
それだけの理由があれば、冴月が決心するのに
十分だった。
「……ごめん、友子さん。先にシェルターに行ってて」
「冴月? え? ちょっと、どこ行く気?」
「知り合いを助けてくる」
戸惑う友子の問いに簡潔に答えた冴月は、シェルターへと向かう列から離れて、格納庫へと駆け出した。
そこには、恋に言われて逃げたはずのシルヴィオ達が、まだ残っていた。
「何をしてるんだ! 早く!」
「待ってください! あと少しでデータのコピーが――」
「そんなものは後でいい! 死にたいのか!」
機体のデータを何としても残しておこうとする開発チームの者を叱り、退避を促すシルヴィオ。大事なのはわかるが、責任者であるシルヴィオの方がよっぽど現実が見えている。




