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歴戦のThree women

 基地に逃げてくる市民を守るべく、横須賀基地のノーマルス部隊は緊急出撃するが、先手をとられたのが痛かった。

 月面帝国ルーナが独自開発したヒューマノイド・ムーンからのビーム兵器の乱射を受けて、次々と撃墜。悪戯に被害を大きくするだけだった。


「隊長! このままでは!」


「泣き言を言ってるヒマがあったら反撃しろ! 同じヒューマノイドなんだ。あれだけドカ撃ちしていれば、いずれ向こうもエネルギー切れを起こすはず! そこを狙え!」

 必死に応戦する兵士は、希望的観測からそう予想するが、ノーマルスと比べて高出力の新型動力炉を搭載しているムーンが相手では、先にこちらが全滅してしまう。


 故に、彼女達の存在が大きな救いとなるのだ。


「こぉーいっ! ブラッディーッ!」


「来て! エンジェルファイター・ラディス!」


「蓮華! 私のところに!」

 3人が空に向かってそう呼びかけると、予め持ち込んでいた機体が起動。

 神秘的な赤紫色の機体・ブラッディが恋のところに、薔薇を彷彿とさせる真紅の女性の天使の形をした機体が瞳のところに、ピンクとグリーンのツートンカラーのエンジェルファイターが優花のところに来ると、彼女達はそれぞれの機体に乗った。


「こんなこともあろうかと、大阪から運んどいてよかったね」


「まったくです。ほんと、恋さんの勘は怖いですよ。それより、お母さん。やれそう?」


「誰に言ってんの? 確かに65のババァだけどさ、まだまだ若い奴には負けないっての」

 そう言うと瞳は、指と首をポキポキと鳴らした。


「それでこそ瞳だね。んじゃ、いっちょやるよ!」


「おー!」

 3人は威勢よくそう言うと、瞳と優花が駆る2機は正面から突っ込んでいき、ブラッディは胸部から具現化させた2振りの深紅の魔剣を手に構え、


「いくよ! 幻・魔・龍ーっ!」

 と、技名を叫びながら、東洋の龍の形をした赤紫色の斬撃波を放ち、直線上にいたムーンを一掃した。


「な!? ミスティックファイター・ブラッディだと!? 河合恋が何故ここにいる!」

 ミスティックファイター。妖魔の国で作られた妖魔専用機の総称である。

 装甲も動力も妖魔の国由来の独自の物を使っており、エンジェルファイターに引けをとらない性能を有しているが、妖魔の多くが機械音痴なため、技術者が少なく、現状では数えるほどしか製造されていない。

 その内の1機がブラッディである。


 彼女は、幼少期に不慮の事故で亡くなっていたのだが、当時の妖魔の王の戯れによって血を与えられ復活。(本来の年齢は瞳より5つ年上)

 以来、この世でたった1人の半妖として生き、妖魔の国で知り合った友人から譲り受けたこの機体と共に、50年以上戦い抜いてきた。

 なので、歴戦の名機として敵味方問わず、知られているのである。


 もっとも、それは彼女の機体に限った話ではないが。


「恋だけじゃないよ! 龍神(りゅうじん)落地脚(らくちきゃく)っ!」


「そういうこと。余所見厳禁! 蓮華掌(れんげしょう)っ!」

 格闘戦主体の機体であるラディスの強烈なカカト落としと、蓮華の両手掌打が炸裂する。


「脱出した?」


「ちゃんとしてたよ」


「よかった。こんな状況でも、人殺しは嫌だもん」

 安堵する優花の言葉に、瞳と恋も同感する。

 戦とはいえ、同じ人間。殺したくないのは当然の心理である。


 けれど、だからといって、戦うこと自体を躊躇するつもりはない。

 3人は命を奪わないよう、極力、コックピットや動力を避けながら手当たり次第に蹴散らしていく。

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