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壊されたPeaceful days

 その頃、ミスコンの実行委員会から文化祭当日についての説明を受けた冴月は、部屋を出るや否や深い溜め息をついた。


(はぁ……やっぱり憂鬱。こういう目立つことって、あんまり好きじゃないんだけどな)

 とはいえ、応募した友人の手前、断るのも悪い。

 過度にアピールしなければいいか。そう考えた冴月は気持ちを切り替え、何気なく窓の外を眺めた。



 その時だった。上空からのビームによって横須賀基地内の施設が破壊。大きな爆発が起こった余波で、校舎の窓ガラスが砕け散った。


「つっ!」


「な、何!?」


「何だ!? 何が起きたんだ!?」

 直接被害を受けた基地や大学だけでなく、町全体が恐怖と混乱に包まれる。

 そんな人々に更なる追い討ちをかけるように、空から見たことがない機体群が降下してくる。


「何……あれ?」

 住民や学生達が怯えた表情で見つめる中、辛うじて無事だった恋と瞳と優花だけは違っていた。


「お母さん、あれ!」


「あぁ、見りゃわかるよ。あの機体に描かれた三日月をモチーフにしたマーク。間違いない」

 早々に敵認定し、睨みつける瞳達。

 そんな彼女達に『正解だ』と言わんばかりに、隊長らしき機体のパイロットは、オープンチャンネルで自らの所属を明かした。


『地球の者共よ、聞け! 我々は月面帝国ルーナ。女王ディアナ・ルナティアスに代わって、ここに宣戦布告をする!』

 名乗りを上げた敵の正体に、3人は『やっぱり』といった反応をする。

 それもそのはず、彼女達は月面帝国ルーナのことを知(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)のだ。


『既にここだけでなく、世界中の各都市を我々は攻撃している。抵抗しても無駄だ。国連軍も民間人も大人しく投降するがいい!』


「あいつら、好き勝手言ってくれちゃって」


「ですが、大変なことになりました。襲撃自体もそうですが、先程の攻撃で破壊された施設に、例のテストパイロットが」


「え!? じゃあ……」

 無事ではない。少なくとも、重傷は確実だろう。シルヴィオは無念そうに小さく頷いた。


「マジか」


「どうしましょう?」


「とりあえず、シルヴィオさん達は非戦闘員を連れて安全なところに避難。最悪、ガデセリナが壊れたらしょうがない。命あっての物種だしね」

 指示に了解したシルヴィオは、すぐに移動を開始した。


「瞳と優花は手伝ってくれる? 兵士がいるとはいえ、あいつらの機体相手にノーマルスじゃ分が悪いから」


「オッケー」

 田中親子は快諾すると、恋と共に外へと駆け出した。



 と、田中親子や軍人達は、こういう修羅場に慣れていたり、日頃からの訓練のおかげもあってか、比較的冷静だったが、一般市民は常に非常事態に備えていたわけではない。月からの侵略者の突然の侵攻に、学生達はパニックを起こす。


『皆さん、落ち着いて最寄りのシェルターに避難してください。繰り返します。最寄りのシェルターに――』


「最寄りってどこだよ!?」


「避難訓練で行ったでしょ! 横須賀基地の地下よ」


「は!? 攻撃されたとこに避難しろってのか! 冗談じゃねぇよ!」

 至極真っ当なリアクションだが、他に機体の攻撃に耐えられるような頑丈な避難場所はない。学生達は我先にと、混雑する廊下や門を抜けようとする。

 そんな彼らにもみくちゃにされながら、冴月も途中で合流した友子と共に避難していた。

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