天使と人のHalf machine
従来の主力量産型ヒューマノイドであるノーマルスは、戦車等に用いられる軍用特殊装甲板を装甲とし、核融合炉を動力として動いている。
そのため、生産コストが低く、装備次第では、どんな状況やパイロットにも対応できる高い汎用性が持ち味となっている。
反面、スペック面では、まだまだ異種族の機体に劣るため、異種族相手では太刀打ちできないのが現状だ。(それでも、戦車や戦闘機に比べればマシだが)
対して、エンジェルファイターは、エンジェリウムという天国にしかない自然環境を再生する力を持つ核物質を動力とし、装甲もエンジェリウムと鉄を化合したエンジェメタリウムという特殊な金属が使用されている。
その2つとパイロットである天使の光の力が合わさった時の相乗効果は極めて高く、量産機と言えど、ヒューマノイドとは比べ物にならない性能を有し、エース専用のワンオフ機ともなれば、どれもこれもが一騎当千の力を持つ高性能機となっている。
ただ、その分、素材が希少なため生産コストが高く、その上、天使かその混血、あるいは瞳のように天使が中にいる人間でなければ起動すらしないため、乗り手を選ぶ。
そこで、装甲をエンジェメタリウムに、動力を核融合炉にすることで、両者の長所を持った機体として完成させたのが、このエンジェヒューマノイド・ガデセリナである。
燃費の問題から、武装はビーム兵器無しのほぼ実弾のみとなっているが、課題だった性能面はヒューマノイドを凌駕している。
また、一般兵でも動かせるよう設計されており、前述したような天使と関わりがある者ならば、性能を限界まで引き出すことも理論上は可能となっている。
といっても、装甲の関係上、生産コストが上がってしまったのは言うまでもなく、想定していたスペックを発揮するかどうかは、今のところ未知数なのだが。
「ということは、下手をすれば、欠点ばっかり補い合って本末転倒な機体になる、ってことか」
「そうならないために、これから試験運転して検証するんでしょ?」
娘の懸念に対し、瞳は至極真っ当な言葉で返した。
「そゆこと。ところで、テストパイロットは?」
「この基地に所属している経験豊富な兵士が務めます。本人は女性型に乗ることに抵抗を示していたようですが」
まぁ、男性兵士がそういう反応をするのは、ある意味自然なのかもしれないが、シルヴィオも伊達や酔狂でこんなデザインにしたわけではない。ちゃんとした理由がある。
「それでは、1時間後にテストを開始しますので、それまでどこかでお寛ぎください。休憩室は、ここから右手に真っ直ぐ行って左の棟の1階にあります」
「ありがとうございます」
代表して感謝の言葉を述べた恋は、2人を連れて休憩室へと向かったが、ここに友人達を連れて来訪したのは、ただの興味本位だからではない。この機体の開発について、確かめたいことがあるからだ――――




