存在を明かすLight barrier
たった1機の新型。しかもパイロットは殺しに慣れた犯罪者とはいえ、機体での戦闘はほぼ未経験の一般人。
そんなのが加わったところで何になると思うかもしれないが、敵が冷静さを取り戻し、真っ向勝負となってからも、冴月が駆るガデセリナの強さは変わらなかった。
たまに火器管制に手間取ることはあるが、丁寧な操縦技術と射撃技術で、ほとんど被弾することなく敵を撃墜。
仮に倒しきれなくても、歴戦の女3人がトドメを刺すため、戦況は一気に逆転。圧倒的優勢となった。
こうなると、あの男も余裕ぶってはいられない。
「好き放題やってくれる。ならば――!」
ディックはアンカーランスを構えると、機体の頭部ほどの大きさの光の力場・ピンポイントホーリーバリアを槍先に集め、
「受けよ。シャイニングブレイク!」
と言って、ガデセリナめがけて突貫した。
雑魚に気を取られていた冴月は、反応が遅れてしまった。咄嗟にガードするが、機体の胴体に直撃する。
「冴月!」
「目障りなのだよ。貴様は」
残酷な槍が冴月の命を再び奪った。ガデセリナの後方にいた優花達はそう思い、怒りの視線をムーンパラディンに向ける。
しかし、
「同感です」
「な!?」
「私もあなたのことをそう思ってました」
冴月は死んでいなかった。
それもそうだ。槍は機体を貫通するどころか、装甲にへこみすら与えられなかったのだ。
「冴月さん! ほんとに平気!?」
「うん。どういうわけか、これが私を守ってくれたから」
冴月が言う『これ』の正体を確かめようと、3人はガデセリナの前方へと回り込む。
そこにあったのは、ムーンパラディンが攻撃に転用していたものとは違い、機体前面を覆うように展開された光のバリア・ホーリーバリアだった。
「バカな!? 何故、ガデセリナがホーリーバリアを?」
ディックが驚くのも無理はない。
現代の技術によって、人間が乗るヒューマノイドでもピンポイントホーリーバリアまでなら張ることができる。それはムーンパラディンやムーン、それにノーマルスでも同じである。
だが、ホーリーバリアは違う。ただ範囲が広くなっただけでなく、耐久性も比べ物にならないそれを展開することは、いくらガデセリナの装甲がエンジェメタリウムだからといっても不可能に等しい。
あれは、天使やそのハーフである天人、または天使が中にいる人間しか扱うことができないのだから。




