電子の蝶過去編~恋色万華鏡そのよんっ
「静江さんは・・・魔法を信じますか・・・?」白野さんは私の方を見つめるとただ一言そういった。
「魔法・・ですか?」
「どんな願いも叶える奇跡。人々を幸せにする力それが魔法だと僕は思うのです。」
「僕の一族は自らが生み出した魔法を一冊の本に閉じ込めました。でも・・・ある時その本はすべてのページが散らばってしまいました。」そういって白野さんは私の手を取る。
「飛び散ったページは土地に宿ったり、人に宿ったり、妖に・・静江さんにもそのページがあります。」
そういうと私の掌から淡い白い光が漏れだす。
「優しい光です。人に優しく、決して悪には染まらない綺麗な光です。」
白野さんは私の手を離すと自分の掌を見せる。白野さんの掌は暗い・・真っ暗な闇が広がっている。でも・・・中心には夜空に輝く星の様に小さな強い光があった。
白野さんの顔を見ると目に涙が滲んで声が震えている。
「僕の光は・・・ほとんど消えかけてしまってるんです。魔法は素晴らしいものです。人に笑顔を人に幸せを与えれば光は強くなります。でも・・・自分の私利私欲に使えば魔法は黒く染まります・・・僕は・・・ページを元に戻すのに人の悪意を吸い過ぎてしまいました。」
「でも、悪意を持った魔法は元に戻さないといけません。たとえ悪魔と契約しても、心が黒くしまっても・・・そうしないと、世界は終わります。世界は悪意で満ちてしまいます・・・だから・・・だから・・・」白野さんは今にも壊れそうなガラスのようだった。
嗚呼。そうか・・・だからこの人は・・・誰よりも世界が好きで人が好きで・・・
私は彼をそっと抱きしめた。今にも壊れそうな心を包むように。
「し、静江さん・・・あのっ・・・」白野さんの体温を感じる。心音も、吐息も、白野さんの全部を
だから・・・私は・・・・
・・・彼に恋をしたのだろう。
窓が突風で開く、風に誘われた無数の桜の花びらが私たちを包み込む。
「私が守ります。貴方の心を、貴方の夢を、貴方の希望を・・何があろうとも必ず。」
「はいっ・・・はいですっ・・・うぅ・・」
彼から助けてもらった命だ。最後まで彼のために使いたい。
私にすべて話して楽になったのか、白野さんはいつもの笑顔に戻った。そして、私に今日は1日ゆっくりしておくようにというと、部屋を出ていった。
「戦音ちゃん?」私は扉の外にいるメイド長に話しかける。
「なんだい?まぁ、言いたいことはわかるけどねぇ・・・」戦音ちゃんは部屋に入ると私の瞳をじっと見つめる。
「本当にいいのかい?ただ、あんたは巻き込まれただけだ、何もあの坊ちゃんに付き合うことはないんだよ?」戦音ちゃんは心配そうな顔で私を見ている。
「でも・・・私は彼のために、ううん、彼と一緒にいたいんです。」
「そうかい、恋する乙女は無敵っていうのかねぇ・・・しかし、あの坊ちゃんのどこがいいのか」
「まぁいい。じゃあ明日からメイド業務に加えて、私が色々伝授してやるから覚悟するんだね!」
戦音ちゃんはそういうと、私の方に手をかけた。
「ただ、無茶だけはしないようにしとくれ。もう、若い子に置いてかれるのもきついからねぇ・・」
戦音ちゃんは明日の七時に中庭に集合というと部屋を出ていった。
私は窓の外から空を見上げる・・・・
「力になれるかわからない・・・でも・・・それでも・・・」
今日の・・・・この気持ちだけは絶対変わらないから!!




