第一話「毒乙女ちゃん編」そのじゅうに!!
さぁ、ついに結末です 一応終わりの方にエピローグもありますのでそちらの方もよければお楽しみくださいませ。
私たちは扉の前に立ちベルを鳴らした。「はーい」と女性の声が聞こえる。
ガチャと扉が開くと、綺麗な恰好をした女性がでてきた。
女性は「お待ちしておりましたどうぞ中へと」私たちを招き入れると、広い大きな広間に案内された。ここも冷房が効いているようですごく寒かった。私と白うささんは席に座ると、ニコニコと綺麗な恰好をした女性は話しかけてきた。
「私、茨の母で園ノ香苗といいます。どうぞ、よろしくお願いします。」ぺこりと女性はお辞儀をした。
「申訳ないのですけど・・・茨から皆さんにお話しがあるらしくて・・・茨!茨っ!来なさい!」ん?一瞬、香苗さんの目がきつくなったような?気のせいかな?
茨さんはおどおどと奥の方からでてくると、私たちのほうを向いて座った。心なしかいつもより悲しく澄んだ瞳をしているように見える。
「あっ、茨さんお仕事が決まったんですよ!貴方のやりたがってた絵本作家のお仕事です!」白うささんはウキウキとしながら茨さんに就職先や、仕事内容を説明している。茨さんは、ただ一言・・・・
「もう・・・いいんです・・・就職なんで面倒です・・・」一言だけ・・・そういった。
「え・・・?茨さんあなた絵本作家になりたいって言ってたじゃないですか!私と白うささんも一緒に探したんですよそれなのに!」私はつい声を荒げてしまった。茨さんがびくっと体を震わせる。
「やりたくないんです!・・・お仕事なんて・・・私にできるわけない!!」茨さんの目には涙が浮かんでいた。
「ごめんなさいねぇ・・・茨も変な気を起こしたみたいで、申訳ないのですけどそういうことでお願いできないでしょうか?」香苗さんは困った顔をしながら笑っていた。
場が静寂に包まれる・・・・私は茨さんに腹が立った。しかし白うささんは違った。
「本当にそれでいいんですか・・・?」一言静寂に包まれた部屋に白うささんの声が響いた。
「貴方は本当にそれでいいんですか・・・?」尚も白うささんが凛とした瞳で茨さんを見る。
「私・・・本当に・・・働きたくないんです・・・おかあさんと・・・いな・・・きゃ・・・」段々茨さんの声が涙ぐんだ声になる・・・もう今にも泣きだしそうだ。
「そ、そうよねぇ 茨ちゃんはお母さんのことを心配して・・・・」香苗さんの言葉を白うささんが遮る
「お母さんはちょっと黙っててください。今茨さんと話をしているので・・・」白うささんの冷たい声が響く。香苗さんの目つきが鋭くなった。今にも怒り出しそうな表情をしている。
「私は・・・私は・・・本当は・・・」茨さんの声に熱がこもる。
「そうです。茨さんボクは貴方の声が・・・あなたの気持ちが聞きたいんです。」
「私は・・・働き・・・たい・・・お父さ・・・んみたいな・・・絵を書き・・・た・・・」
「茨っ!何を言ってるの・・・化け物っ!育ててやった恩も忘れて!」香苗さんが逆上して茨さんに平手打ちをしようとしている。
パンッ!!鋭い音が響き渡る。そこに立っていたのは白うささんだった。
「香苗さん・・・あなたが茨さんの道を決める権利はありません。道を決めるのは茨さん自身です。毒乙女と言われようが、化け物と言われようが、茨さんは茨さんです!異能なんか関係ない。そこにいるのは1人の女性なのです!」頬が赤くなりながらも香苗さんを凛とした目で見ている。
「白うささん・・・なんで・・・なんで・・・」
茨さんは泣きながら床に崩れる・・・・
「ボクは異能の人でも普通の人でも、ただ安心してみんな幸せな世界が好きなだけなのです。だから行きますよ茨さん・・・」白うささんが茨さんの手をつかむ。
「えっ、どこに・・・・?」
「職業説明会なのです!もう準備は整ってます!」白うささんは茨さんに笑顔を見せた。
「私・・・幸せになって・・・いい・・の?毒乙女なのに・・・人形…なのに・・・・幸せになっていいの・・・?」茨さんのかすれた声が響く。白うささんはただ一言茨さんに笑いかけて
「はい、貴方には権利があります。誰にも侵せない貴方だけの権利です」
白うささんは茨さんの手を引いて家を出ようとした。香苗さんの声が後ろから響く・・・・
「茨・・・行っちゃうの・・・?お母さん・・・置いてくの・・・?茨だけ幸せに・・・うぅ、うわあぁぁぁ・・・」香苗さんの悲痛な声が家中に響き渡る。
入り口から出たところで茨さんが足を止めた。
「白うささん・・・待ってください。一つだけ・・・一つだけやり残したことがあります」茨さんの目は先ほどとは違う希望に満ちた綺麗な目をしていた。
「わかりました。ここで待ってますので行ってきてください。」茨さんはぺこっと頭を下げると家の中に入っていった。
すべては、あの時毒乙女を手に入れた時に始まった・・・・それからはずっと不幸・・・ずっと人形として生きてきた・・・・ずっと・・・ずっと・・・やっと今日幸せになれるんだ。やっとここから抜け出せるんだ・・・でも、これだけは・・・これだけは私の手で終わらせないと・・・・
「おかあ・・・さん・・・・」私は地面に伏せ泣いている母親に声をかける。
「まだ・・・いたの この化け物っ!あんたなんかどこへでも消えればいい!消えてしまえ!」母の言葉にいつもの怒りはない・・・ただ、ただ寂しそうな声だった。
「お母さん・・・ごめんなさい・・・・今までありがとう。お母さんとの暮らしはきついことも多かった・・・怖いことも、悲しいことも多かった・・・でも・・・でもね・・・見捨てないでくれてありがとう・・・・産んでくれてありがとう・・・一緒にいてくれてありがとう・・・」私は母親に感謝の言葉を述べる。
「今日私はここから旅立つけど、いつかお母さんと一緒に・・・お父さんと一緒に…あのころみたいに・・・だから、今はお別れですお母さん・・・ありがとう・・・大好きでした・・・」
「ふんっ・・・あんたなんかいなくてもやっていける・・・・早く出ていきなさい!・・・茨」
「うん、ありがとうお母さん・・・」
今日私は大人になる。ずっとずっと子供だったけど、今日冷たい檻からでて私は飛び立つんだ。きっと強い風も吹くだろう。恐ろしい怪物もできるかもしれない・・・でも、私は楽しもう。生きることを・・・それが自由を手に入れたってことなんだから。
「もう、いいのですか?」私のほうをみて白い兎さんは話かける。
「はい、ありがとうございました」私は白い兎さんについてく。そうだ・・・白い兎さんの本を書こう・・・誰よりも人の幸せを願う兎さんの物語・・・
もう、悲しむこともない・・・・・いっぱい、いっぱい悩めばいい・・・だって私の物語は・・・・たった今始まったんだから。
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