↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者を二人も召喚してしまいましたが、何故か二人とも上半身裸です。  作者: ネコ雲


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/24

肉弾戦専門勇者


「グルァァァッ!」


グラトンが三人の冒険者へ向かって爪を振り下ろす。


一人が横へ飛んでかわし、そのままグラトンの横へ回り込む。


「おらっ!」


武器を叩き込む。


ガキンッ!


「やっぱり手強いな」


しかし、冒険者に焦った様子はない。


グラトンが振り返る。


その隙に、別の一人が背後から攻撃を仕掛ける。


「こっちだ!」


グラトンが向きを変える。


三人は互いに声を掛け合いながら、グラトンの攻撃をかわしていく。


「すごい……」


エリーが呟く。


「グラトン相手に、あんなに余裕があるなんて」


「こいつは初心者冒険者にとっての登竜門みたいなもんだからな」


一人の冒険者がグラトンの攻撃をかわしながら言った。


そして、優太と勝平を見る。


「手を貸そうか?」


その言葉に、優太と勝平が顔を見合わせる。


「登竜門か!」


優太が拳を握る。


「それなら、このくらい倒せなきゃ勇者じゃねぇ!」


「そうだな!」


勝平も頷く。


二人が剣を抜いた。


「俺たちも行くぞ!」


「おう!」


二人がグラトンへ向かって走り出す。


その後ろから、ミッシェルが声をかけた。


「二人とも、待ってください」


「ん?」


優太が振り返る。


「私たちはまだ、身体が思うように動きません」


ミッシェルが自分の腕を動かす。


「キノコの胞子の影響が、まだ残っています」


アリンも自分の身体を確認する。


「私もです。まだ少し動かしづらいですね」


優太が二人を見る。


「そういうことか」


勝平がグラトンを見る。


「なら――」


優太が拳を握る。


「俺たちに任せろ」


勝平も頷く。


「ここは俺たちがやる」


二人は剣を握り直した。


「行くぞ!」


二人がグラトンへ走り出した。


「おおおおっ!」


優太が剣を振り下ろす。


ガキィン!


剣がグラトンの身体に弾かれた。


「硬っ!」


勝平も横から斬り込む。


ガキィン!


「こっちもか!」


二人が距離を取る。


グラトンが二人を睨んだ。


「グルァァァッ!」


次の瞬間、グラトンが地面を蹴った。


「来るぞ!」


優太が剣を構える。


巨大な身体が一気に迫る。


「おおおおっ!」


優太が剣を振り下ろす。


ガキンッ!


パキッ。


「……え?」


優太の手元で、剣が折れた。


「嘘だろ……」


折れた剣を見つめる。


その横では、勝平の剣も――。


パキンッ!


「俺のも折れた!」


二人が顔を見合わせる。


その直後。


グラトンが二人へ向かって突進した。


「うおっ!」


優太がとっさに腕を交差する。


ドンッ!


グラトンの体当たりが直撃する。


「ぐっ!」


優太の身体が大きく吹き飛ばされた。


「優太!」


勝平が叫ぶ。


しかし、グラトンは止まらない。


「くそっ!」


勝平が拳を握って立ち向かう。


「うおおおっ!」


拳を叩き込む。


ドンッ!


だが――。


「ぐあっ!」


勝平もグラトンの身体に弾き飛ばされた。


二人は地面を転がる。


「大丈夫か!」


三人の冒険者が声をかける。


優太は地面に手をつき、ゆっくり立ち上がった。


「……大丈夫だ」


勝平も立ち上がる。


「俺も大丈夫」


二人は自分たちの身体を確認する。


大きな傷はない。


しかし、二人の表情は悔しそうだった。


「……クソ」


優太が拳を握る。


「力負けした」


勝平も歯を食いしばる。


「俺たち、あいつに体当たりされて止められなかったぞ」


三人の冒険者が二人を見る。


「無理するな。こいつは俺たちが――」


「いや」


優太が顔を上げる。


「こいつは俺たちで倒す」


勝平も隣に立つ。


「そうだ」


二人は折れた剣を見た。


優太が折れた剣を地面へ落とす。


「剣じゃ無理なら――」


拳を握る。


「俺たちの身体でやる」


勝平が笑う。


「筋肉の借りは、筋肉で返す」


「……筋肉の借り?」


エリーが首を傾げる。


「細かいことはいい!」


優太がグラトンを睨む。


「行くぞ!」


二人が拳を構えた。


その時だった。


二人の目の前に、突然、半透明の画面が現れた。


「……え?」


優太が足を止める。


「なんだこれ?」


勝平も画面を見る。


そこには文字が並んでいた。


【ステータス】


「ステータス画面?」


「なんで今?」


二人の後ろでは、グラトンがこちらを睨んでいる。


「いや、今いらないだろ!」


優太が叫ぶ。


「邪魔だって!」


勝平も叫ぶ。


しかし、画面は消えない。


二人が動いても、目の前についてくる。


「なんで消えないんだよ!」


「俺に聞くな!」


グラトンが地面を蹴った。


「来るぞ!」


三人の冒険者が叫ぶ。


二人はステータス画面を避けながら、必死にグラトンの攻撃をかわす。


「こいつ、本当に邪魔だな!」


「戦闘中だぞ!」


その時、優太が画面の中に見慣れない項目があることに気付いた。


「……ん?」


「どうした?」


「スキルが増えてる」


勝平が画面を見る。


確かに、これまでなかった項目が追加されている。


【新規スキル】


【パワーブースト】


【身体能力を一時的に強化し、攻撃力を大幅に上昇させる】


【スピードブースト】


【身体能力を一時的に強化し、瞬発力と移動速度を大幅に上昇させる】


「俺のはパワーブーストか」


優太が呟く。


「俺はスピードブースト……」


勝平が自分のスキルを見る。


その瞬間。


【新しいスキルを獲得しました】


画面から声がした。


「…………」


二人が固まる。


「今、喋った?」


「喋ったよな?」


しかし、画面はそれ以上何も言わない。


そして、スッと消えた。


「……消えた」


優太が呟く。


「今さらかよ!」


勝平が叫ぶ。


グラトンが目の前に迫っていた。


「そんなことより、今はこいつだ!」


優太が拳を握る。


「スキル……どうやって使うんだ?」


勝平も拳を構える。


「知らない!」


グラトンが襲いかかる。


「うおおおっ!」


二人は左右へ飛び退く。


そして、もう一度グラトンへ向かう。


優太が拳を握り締める。


「スキル!」


何も起きない。


「パワーブースト!」


何も起きない。


「出ろ!」


何も起きない。


「なんでだよ!」


優太が叫ぶ。


その隙を狙って、グラトンが突進してくる。


「避けろ!」


勝平が叫ぶ。


優太が横へ飛ぶ。


地面が大きくえぐれた。


「くそっ……!」


優太が立ち上がる。


「もう一回!」


今度は勝平が拳を握る。


「スキル!」


何も起きない。


「スピードブースト!」


何も起きない。


「くそっ、どうやるんだ!」


二人は何度もスキル名を叫びながら、グラトンの攻撃をかわしていく。


しかし、なかなか発動しない。


「落ち着け!」


三人の冒険者の一人が叫ぶ。


「力を込めればいいってもんじゃない!」


「そんなこと言われても分からない!」


優太が叫び返す。


グラトンが再び突進する。


二人は左右へ飛ぶ。


その瞬間――。


優太の身体から、一気に力が湧き上がった。


「……!」


拳に力が集まる。


「出た!」


優太が叫ぶ。


「パワーブースト!」


ドゴンッ!


拳がグラトンへ叩き込まれる。


グラトンの巨体が大きく後ろへよろめいた。


「効いた!」


勝平が驚く。


「俺も!」


勝平がグラトンへ走る。


「スピードブースト!」


次の瞬間、勝平の身体が一気に加速した。


「速い!」


自分でも驚きながら、グラトンの横を駆け抜ける。


そして、その勢いのまま拳を叩き込む。


ドゴンッ!


グラトンがさらによろめく。


「やった!」


だが、グラトンは倒れない。


怒りの咆哮を上げ、二人へ襲いかかる。


「まだだ!」


優太が拳を構える。


勝平も隣に並ぶ。


二人は何度もスキルを使う。


「パワーブースト!」


「スピードブースト!」


今度は先ほどよりも早く発動する。


それでも、グラトンの攻撃を受ければ吹き飛ばされる。


二人は何度も攻撃をかわし、拳を叩き込んだ。


「くそっ!」


「こいつ、まだ倒れないぞ!」


三人の冒険者も隙を作るために攻撃を続ける。


「今だ!」


一人が叫ぶ。


グラトンの動きが止まった。


優太と勝平が同時に踏み込む。


「パワーブースト!」


「スピードブースト!」


優太の拳に力が集まる。


勝平の身体が一気に加速する。


二人は同時にグラトンへ飛び込んだ。


「うおおおおおっ!」


優太の拳がグラトンの身体を捉える。


ドゴォン!


グラトンの身体が大きくよろめく。


その直後、勝平が一気に懐へ入り込む。


「これで終わりだ!」


ドゴンッ!


二人の攻撃が同時に叩き込まれる。


グラトンの巨体が大きく吹き飛び、地面へ倒れた。


「…………」


誰も声を出さなかった。


グラトンは、もう動かない。


「……倒した」


優太が息を切らしながら呟く。


「俺たちだけで倒したわけじゃないけどな」


勝平が笑う。


三人の冒険者も武器を下ろした。


「よくやったな」


「最初はどうなるかと思ったぞ」


優太と勝平は互いの顔を見る。


「初めて使ったスキル……」


「まだ全然うまく使えないけどな」


「これから練習だな」


優太は自分の拳を握り直した。


「それと、今度は筋肉でも勝つ」


「そうだな」


勝平も拳を握る。


「……俺たち、剣いらなくね?」


「確かにな」


二人は折れた剣を見る。


そして、そのまま地面へ置いた。


「そういえば……」


優太がふと思い出す。


「さっきのステータス画面、もう一回見てみようぜ」


「おう」


二人が顔を見合わせる。


「ステータス!」


……。


何も起きない。


「ステータス!」


……。


やはり何も起きない。


「……」


「……」


二人は無言で顔を見合わせた。


「なんで出ないんだよ!」


「知らねえよ!」


その横で、アリンが倒れたグラトンを見つめる。


「ところで……」


アリンが呟いた。


「これ、食べられると思いますよ」


「本当か?」


優太と勝平の目が輝く。


エリーが頭を抱えた。


「結局そこなんですか……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。