第20話 世界で最初に確認された覚醒者は、旅館の娘だった
東雲小春が、世界で最初に確認された前駆覚醒者になった。
未来掲示板を見た俺だけなら、その意味を理解できる。
けれど今この場にいる小春本人にとっては、ついさっきまで一本だった鉄製の手すりが、触れてもいないのに真っ二つになっただけだ。
だからこそ、俺は未来の知識で勝手に話を進めないようにした。
「東雲さん、そこから動かなくて大丈夫です。怪我はありませんか?」
「はい……何ともないです。でも、これ、本当に私がやったんでしょうか」
「その可能性はあります。ただ、今はもう一回やってみようとはしないでください。どういう条件で起きたのか分からないので、まず周りを安全にします」
小春は戸惑いながらも頷いた。
九条には周囲へ誰も近づけないよう頼み、凛には小春の身体に目立った変化がないか確認してもらう。瀬尾はすぐに、さっきまで使っていた観測機器を源泉設備の外へ運び出した。
旅館の裏手に響いた金属音を聞きつけ、小春の父親も間もなく駆けつけてきた。
「小春! 何があった!」
「お父さん、私にも分からなくて……これが急に」
地面に落ちた手すりを見るなり、父親の表情が強張る。
切断面は、俺が近づいて見ても異常だった。
錆びていた表面まで含めて、一本の線を引いたように真っ直ぐ切れている。工具で切断したなら熱や削れた跡が残るはずだが、それらしいものは何もない。
「佐伯さん」
瀬尾が小型観測器をこちらへ向けた。
「さっきまで三倍前後だった前駆粒子の反応が、切断が起きた瞬間だけ六倍近くまで跳ねてます。今はもう二・七倍まで下がりました」
「東雲さんの近くだけ?」
「確認します」
瀬尾が慎重に測定器を移動する。
小春から五メートル。
三メートル。
二メートル。
表示はほとんど変わらない。
「今は本人から何か出てる感じではないですね。場所の反応もさっきより落ちてます」
「じゃあ、地下の異常と同時に起きた?」
「可能性は高そうです」
未来では、覚醒はダンジョン発生日以降に起きる。
少なくとも、俺が最初に見ていた未来ではそうだった。
ところが今は違う。
ダンジョンそのものが発生前から地下で形成されていることを知り、その前駆接続まで観測した。そして、その近くにいた小春が一年近く早く力を発現した。
偶然で片付けるには、出来すぎている。
「榊原さんと神代さんに連絡します。ただ、その前に……東雲さんのお父さんにも説明したほうがいいですね」
俺がそう言うと、小春の父親は娘の前へ半歩出た。
「説明って、どういうことですか。あなたたちは何を調べていたんです?」
当然だ。
宿泊客として来た人間が旅館の地下を調べ、その夜に娘の周りで説明できない現象が起きた。
俺が父親なら、まずこちらを疑う。
「全部を証明できる段階ではありません。ただ、地下で今まで知られていなかった異常現象が起きていることは間違いありません。八王子と横浜でも同じ系統の現象を確認しています。俺たちは、その調査をしています」
「その異常と、小春に起きたことが関係あるんですか?」
「今はまだ可能性としか言えません。ただ、俺は関係していると思っています」
「危険なんですか?」
答えに迷った。
未来の小春は、この力を使って世界第四位になる。
十年後まで生きている。
能力そのものが彼女を殺す未来は、俺の知る限りない。
けれど。
それを今の安全保証に使うべきではない。
「分かりません。だから、今夜はこれ以上何も試しません。東雲さんにも無理に力を使ってもらうつもりはありませんし、旅館の地下も改めて専門の機材で調査します」
父親は俺を見たあと、小春へ視線を移した。
「小春、お前はどうしたい?」
「私?」
「お前に起きたことだ。怖いなら、明日からでもここを離れていい。旅館のことは俺たちで何とかする」
小春はすぐには答えなかった。
切断された手すりへ目を向け、自分の右手を開いたり閉じたりしている。
未来で《断界》と呼ばれる探索者。
けれど今は、突然理解できない力を持たされた二十一歳の女性でしかない。
「……怖くないって言ったら嘘になるけど」
やがて小春はそう言った。
「でも、うちの下で何か起きてるなら、知らないままにしておくほうが嫌かな。お客さんも来るし、お父さんとお母さんもここにいるし、おばあちゃんだっているから」
「だからって、お前が調べる必要はないだろ」
「うん。自分で地下へ行ったりはしない」
そこで小春は、俺たちのほうを見た。
「佐伯さんたちが調べてくれるなら、私も分かったことはちゃんと話します。それでいいですか?」
「もちろんです」
その答えを聞いて。
俺は、少しだけ安心した。
世界第四位を手に入れた、とは思わなかった。
むしろ逆だ。
この人の生活を壊さずに。
必要なところだけ一緒に調べられる。
今はそれでいい。
◇
『やっぱり起きた』
電話越しの榊原は、驚くより先にそう言った。
「やっぱりって何ですか。予想してたんです?」
『予想というより候補の一つ。前駆粒子が一年半前から存在するなら、人体側への影響だけダンジョン発生日まで完全にゼロって考えるほうが不自然だった』
神代も通話へ入っている。
『ただし、実際に能力発現まで確認されたとなると話は別だな。東雲さん本人の体調は?』
「今のところ問題ありません。意識も普通ですし、痛みもないそうです」
『能力を再現させようとはしたか?』
「してません。怖いので」
『それでいい。今夜は身体的な異常が出ないか観察して、本人が眠れるなら休ませたほうがいい。能力の再現試験は日を改めて、場所と手順を決めてからだ』
未来では今日から何年も能力を使い続ける人物だ。
そんなことを知らない神代が、俺と同じ結論を出したことに少しほっとする。
「ちなみに、前駆粒子の数値が一瞬六倍まで上がったみたいです」
『記録を送ってくれ』
瀬尾がデータを転送すると、数分ほど二人とも黙った。
先に口を開いたのは榊原だった。
『能力が発現したから粒子濃度が上がったのか、粒子濃度が上がったから能力が発現したのかは、これだけじゃ分からない』
「そこ重要ですよね」
『かなり。もし後者なら、高濃度環境へ人を置けば覚醒を早められる可能性が出る』
九条が反応した。
「じゃあ俺らも、あの地下にいれば――」
「駄目です」
俺と凛がほぼ同時に言った。
九条が顔をしかめる。
「最後まで言わせろよ」
「言わなくても分かります。意図的に高濃度の場所へ入って覚醒できるか試そうとか考えたでしょう」
「可能性の話だろ」
「横浜で無人機一台消えてるのに、人間で実験する気ですか?」
「しねえよ。聞いただけだって」
九条は不満そうだったが、榊原も通話越しに続けた。
『佐伯が正しい。現時点で意図的な暴露試験は反対。東雲小春に何の後遺症も出ない保証もないし、覚醒条件が前駆粒子濃度だけとも限らない』
凛が小春を見る。
「東雲さんの場合、何をしているときに起きたんですか?」
「普通に歩いてただけです。ただ、手すりが邪魔で、服が引っかかりそうだったから……切れたらいいのに、とは思ったかもしれません」
「切れたらいいのに」
俺はその言葉を繰り返した。
未来の《断界》は。
境界そのものを切断する能力。
未来掲示板の説明では、何でも無条件に切れるわけではない。
本人が「何と何の境界を切るのか」を認識する必要がある、とされていた。
未来の攻略記事を思い出し。
俺はすぐそこで思考を止めた。
今、それを小春へ教えるべきか。
知らないほうが。
自然な発現条件を調べられるのではないか。
「佐伯君?」
神代の声で我に返る。
「すみません。未来に能力の詳しい情報があるんです」
『なら、今は東雲さん本人へ全部教えないほうがいいかもしれないな』
「やっぱりそう思います?」
『本人の安全に必要な情報は伝えるべきだ。ただ、再現条件まで未来の答えで誘導すると、現時点の能力が本当に同じものなのか確認できなくなる』
未来でそうだったから。
今も同じ。
そう決めつけるのは危険だ。
凛の腕を救ったときから。
未来はもう変わり続けている。
「東雲さん」
「はい」
「未来のあなたについて、俺は少しだけ知ってます」
小春の目が丸くなる。
とうとう言った。
全部ではない。
それでも。
「ただ、今ここで詳しく話すのはやめます。今起きたことを未来の情報に合わせようとすると、逆に危ないかもしれないので。ただ一つだけ、今の時点で知っておいてほしいことがあります」
「何ですか?」
「未来のあなたは、この力を使っても生きています。少なくとも十年後までは元気です」
小春はしばらく俺を見た。
「……十年後?」
「そこから先は、今日は勘弁してください」
「ものすごく気になるんですけど」
「俺も言いたいんですけど、研究者二人に怒られそうなので」
『正しい判断だ』
神代の声がスマホから聞こえる。
『それと佐伯君。十年後に生きているから今安全だ、とは考えるなよ』
「分かってます」
「本当に?」
凛まで聞いてくる。
「なんでそこだけ確認されるんですか」
小春が笑った。
ほんの少し。
緊張が解けたように見えた。
それで十分だった。
◇
翌朝まで、小春の身体に異常は出なかった。
俺たちは予定していた観光をほぼ取りやめ、旅館側の許可を得て源泉設備周辺の追加測定を行った。
もっとも、設備室の中へ長時間留まることは避け、センサーだけを設置して大半の時間は離れた場所から数字を確認している。
前駆粒子濃度は夜中に一度だけ三倍台まで上がったものの、再び急上昇することはなかった。
そして小春の能力も。
朝になっても。
勝手に何かを切ることはなかった。
「ちょっと安心しました」
朝食後、小春は自分の右手を見ながら言った。
「寝返り打ったら布団が真っ二つになってたらどうしようかと思って」
「俺も少し考えました」
「考えてたんですか」
「だから念のため周りから刃物とか割れ物減らしてもらったんですよ」
「佐伯さんが父に頼んでたの、それだったんですね……」
本人には言わなかった。
余計に不安にさせると思ったからだ。
結果的に何も起きなかったので、過剰だったかもしれない。
でも。
過剰なくらいでいい。
横浜で。
安全圏だと思っていた場所そのものが消えた。
あれを見てから。
「たぶん大丈夫」は。
以前よりずっと信用できなくなった。
「それで、今日は一回だけ試してみます?」
小春が聞いた。
「……怖くないですか?」
「怖いです。でも昨日みたいに、知らないうちに出るほうがもっと怖いので。自分が何をすると起きるのかくらいは知っておきたいです」
俺は凛を見る。
凛も反対しなかった。
瀬尾はすでに神代と榊原へ連絡している。
なら。
安全な条件を作って。
一回だけ。
確認する価値はある。
◇
試験場所に選んだのは、旅館から少し離れた東雲家所有の空き地だった。
周囲に人がいないことを確認し、背後には何も置かない。
対象は。
段ボール箱。
それも空箱だ。
「世界初の能力実験が段ボールかよ」
九条が言った。
「鉄で試してどこまで切れるか分からなかったら怖いでしょう。最初はこれくらいでいいんです」
「木の枝でも良くない?」
「箱根の自然を無駄に切らないでください」
瀬尾が笑っている。
小春は緊張した面持ちで、五メートルほど先に置かれた段ボールを見ていた。
昨夜は手を振っていない。
触れてもいない。
ただ。
邪魔だ。
切れればいい。
そう思った。
「同じ状況を意識してみてください。ただし、無理に出そうとしなくていいです。頭痛や吐き気、身体がおかしいと思ったらすぐ中止で」
「はい」
小春は箱を見る。
十秒。
二十秒。
何も起きない。
「……出ませんね」
「それで普通です。昨日のほうがおかしかったんですから」
「もうちょっとやってみても?」
「体調は?」
「何ともないです」
「じゃあ、あと一回だけ」
小春は息を整える。
そして。
段ボールへ視線を向けた。
「切る」
小さく。
言った。
何も。
起きない。
九条が首を傾げる。
凛も。
瀬尾も。
俺も。
その瞬間だった。
箱の中央に。
一本の線が入った。
上から下まで。
音はほとんどない。
数秒遅れて。
段ボール箱が。
左右へ分かれた。
「…………」
全員が黙った。
昨夜の鉄製手すりと同じ。
切断面は。
異様なくらい真っ直ぐだった。
「出来た……」
小春本人が。
一番驚いていた。
俺はすぐ瀬尾を見る。
「数値は?」
「前駆粒子、上がってません。周辺値の一・二倍。ほぼ通常範囲です」
榊原が通話越しに答える。
『なら少なくとも二回目は、高濃度環境が直接必要なわけじゃない』
神代も続けた。
『最初の発現にだけ、前駆領域の影響が必要だった可能性があるな』
つまり。
一度。
目を覚ましたら。
そのあとは。
ダンジョンがなくても。
能力を使える。
俺は。
切れた段ボールを見る。
一年前。
まだ世界には。
魔物もいない。
ダンジョンの存在すら知られていない。
そんな世界に。
本物の異能が。
もう存在している。
「今日はここまでにしましょう」
「もう一回やらないんですか?」
九条が聞く。
「やりません。能力が使えるって分かっただけで十分です。消耗があるかも分からないし、東雲さん本人の身体検査もしてない」
小春も素直に頷いた。
「私も、一回できたら十分です。というか……まだちょっと現実味がないです」
「ですよね」
「佐伯さんは、こういうの見慣れてるんですか?」
「未来では」
「ずるい言い方ですね」
「今は俺も初めてですよ」
それは本当だった。
未来掲示板では何度も読んだ。
世界を焼く炎。
鋼鉄を断つ剣。
傷を治す力。
空間を切り裂く能力。
でも。
実際に目の前で。
人間が超常の力を使ったのは。
これが初めてだ。
◇
帰る前。
俺は東雲家と一つ約束をした。
旅館を閉める必要は、今のところない。
ただし地下設備の観測は続ける。
異常値が一定ラインを超えた場合は、宿泊客を受け入れない。
必要ならアーク・フロンティアが避難費用や休業分も負担する。
「そこまでしてもらう理由がないですよ」
小春の父親にはそう言われた。
「あります。ここの地下を観測させてもらうのは、俺たちにも大きな意味があります。それに、危険だと分かっていて協力をお願いする以上、損だけ東雲さんたちに押しつけるのは違うので」
「会社として?」
「はい」
少し前まで。
金の使い方すら。
久世さんに怒られていた俺が。
こんな話をしている。
自分でも変な感じがする。
父親は少し考え。
最終的に。
手を差し出した。
「では、お願いします」
俺はその手を握った。
「こちらこそ」
社員ではない。
勧誘もしていない。
でも。
《旅館しののめ》と。
東雲家は。
今日から。
アーク・フロンティアの協力先になった。
未来より。
一年以上早く。
◇
東京へ戻る車の中。
俺は未来掲示板を開いた。
東雲小春。
検索。
昨日までの記事が。
また変わっている。
『東雲小春 世界初の前駆覚醒確認例』
正式な記録になっていた。
さらに。
『二〇二六年九月二十五日、能力再現試験成功』
『同日、《前駆覚醒安全試験基準》策定開始』
『アーク・フロンティアは意図的な前駆粒子暴露による覚醒実験を全面禁止』
俺はその一文を見て。
少し安心した。
未来でも。
俺たちは。
同じ判断をしたらしい。
人を強くするために。
危険な場所へ押し込む。
そんな会社には。
ならない。
その下。
新しいスレッドがあった。
『〖歴史〗前駆覚醒が確認されたあと、アークが最初にやったこと』
開く。
『名無しの探索者:2036/09/25 15:21
能力者集めじゃないの好き』
『名無しの探索者:2036/09/25 15:22
「覚醒者が一人いたなら他にもいるかもしれない」』
『名無しの探索者:2036/09/25 15:22
で、全国の前駆異常と原因不明事故の洗い直し』
俺は姿勢を起こした。
瀬尾がこちらを見る。
「また何かありました?」
「あります」
今まで。
未来のランキング上位者ばかりを見ていた。
九条。
凛。
神代朔夜。
東雲小春。
未来で有名になる人間。
だから。
記録が大量に残っている。
でも。
もし。
小春以外にも。
すでに力が目覚めている人がいたら。
本人も。
周囲も。
それが能力だなんて分からない。
奇妙な事故。
原因不明の破損。
説明できない現象。
そんな形で。
すでに起きているかもしれない。
「瀬尾」
「はい」
「全国のニュースとSNSから、ここ半年くらいの原因不明事故を洗えます?」
「範囲広いですね。どんな事故です?」
「今までなら、嘘とか見間違いで片付けられてたようなやつです。突然物が燃えた。触ってないものが壊れた。人がありえない距離を飛んだ。怪我が急に治った。そういう、普通なら信じない話」
瀬尾の表情が変わった。
「覚醒者を探すんですか?」
「探します。ただし、集めるためじゃありません」
小春は。
能力が目覚めたあとも。
家族がいた。
俺たちがいた。
未来の知識も。
神代と榊原もいた。
だから。
初めての力を。
事故だけで終わらせずに済んだ。
でも。
他の人は?
もし。
誰にも説明できない力が突然出て。
自分で制御できなかったら。
未来で英雄になる人間だけが。
覚醒するわけじゃない。
「困ってる人がいるなら、先に見つけます」
九条が運転しながら、バックミラー越しに俺を見る。
「世界四位の次は、ランキング外か?」
「そうなりますね」
「効率悪くね?」
「悪いです」
俺は笑った。
「でも、たぶん必要です」
未来掲示板は。
十年後の有名人を探すためだけにあるんじゃない。
未来では。
名前すら残らなかった人も。
今なら。
まだ助けられるかもしれない。
そして、その考えを証明するように。
瀬尾のノートパソコンから。
数分後。
声が聞こえた。
「佐伯さん。これ……一件目、もう見つかったかもしれません」
「早くないですか?」
「三日前のニュースです。埼玉県の高校で、体育館の窓ガラスが一斉に割れた事故。原因不明で、怪我人なし」
「それだけなら普通の事故じゃないです?」
「問題はこっちです」
瀬尾が画面をこちらへ向けた。
生徒の投稿。
『窓が割れる直前、体育館にいた一年の子が「うるさい」って叫んだ瞬間、全部いった』
その下には。
動画まである。
俺は再生した。
体育館。
大勢の生徒。
誰かの叫び声。
次の瞬間。
左右に並んだ窓ガラスが。
ほとんど同時に。
外側へ吹き飛んだ。
九条がバックミラー越しに一瞬だけ画面を見る。
「……これ、マジか?」
「分かりません」
でも。
今までなら。
俺も偶然だと思った。
設備不良。
圧力。
何か別の原因。
そう考えた。
昨日までは。
世界に能力者なんて。
まだ存在しないはずだったから。
でも。
もう。
その前提はない。
ダンジョン発生まで。
あと三百四十一日。
世界は。
俺たちが思っていたより早く。
変わり始めていた。




