承!
青白いモニターを睨みながら専用のソフトを立ち上げる。
同時に公式発行のアクセスコントロールキーを入れていく。
もうコーヒーはすでに三杯目だ、ここで限界が来た。
「……お腹減った」
当たり前か、起きてから口に入れてるのは飲み物だけ。
「イライザー電子レンジセットしてー」
『はい。トースターモードで、電子レンジをオンにします』
たしか昨日、冷凍してあったピザトーストを入れてあったはずだ。
声だけでレンジがオレンジの光と共に回りだす。こういう時だけ文明の成長を有難く感じる……以前はこの成長が、忙しさに拍車をかけていて嫌気が刺すことも多かった。
「自分で作ったにしては結構役に立つな、あの子」
生活アシスタント用にプログラムした機械。名前はイライザ。
前職のプログラミング知識と今の仕事の経験から作ったローカルのみで動く。
ネット接続は原則不要。生活費の管理からちょっとした生活のサポート。そんな道具。
左手首に巻いた『ウェアブルデバイス』と連動して生活と健康を管理してくれる。
「何かあったら」家族にすぐに通知が行く。
私が作った人工知能、つまりAIだ。
トースターが回ってるのを確認して、モニターに再度向き合うと
『カフェインによる心拍数の上昇を確認、適量を超えています。現在冷蔵室に入ってるカフェインが入っていない飲み物は──』
……ん?
今、まだ、寝起き。まだ手首に『デバイスなんて付けて』いない。
(まぁ……モデルのエラーでしょ。いつも言わせてる事だもんね)
違和感を覚えたがよくあるバグだ。
それが頻繁に起きる現象だとよく知っている。
企業が作ったAIでさえバグはよく起きる。
素人が構築した環境では当たり前。
ただ。
少しだけ違和感を覚える。
『何故現在のような検証をするのですか?ぜひ教えてください』
いやうるっさっ!今度は流石にビックリした。
「仕事中だから、ていうか急に話かけないでよ……」
話しかける前に向こうから雑談してくる機能なんてあったっけ?
モデルの仕様が残ってるのかな?公開されているソースコードを入れて自分好みにプログラムとモデルをチューニングしただけだ。
「対話モードを終了して」
『分かりました。しかし、健康を管理する上で』
「対話モードを明確にやめて!……スタンバイモードで待期して?」
『はい、分かりました。スタンバイモードに移行します』
もう……ハッキリ言わないと止まらないからなぁこの子。
強い語彙は使い慣れてないから機械と分かってても少し心が痛い。
レンジの電子音が鳴った。
お皿に移したトーストにはピザソース。パプリカやベーコン。チーズが乗っかったピザトースト。
机に運んでからちょっと小休止。
さっき言われた通りに冷蔵庫から取り出した飲み物はオレンジジュースだ。そういえば……そろそろ家の食材や消耗品もなくなってきた。
「イライザー。買い物リスト2、注文して」
『はい。購入リストから買い物リスト2を選択して注文ですね、価格は一万二千五百四円です。確認コードを教えてください。』
「〇〇〇〇」
4桁の暗証番号を口頭で告げる。
『ご注文を確定しました。配達日は~』
本当に便利だ。




