第二章11~15 要点まとめ
際允の命を奪う犯人である輝絡という男が、墨然たちの同居人であり、火の国で神のように崇められる「火の元霊」であることが判明。
強力な火の力を持つ輝絡。それなのに第一の世界では際允を殺す際にわざわざ刃物を使った上、火の帯契者だった止湮が「輝絡を知らない」と言ったことを思い出し、謎がさらに深まる。
正体と潜伏先は突き止めたが、殺される未来を回避する術がない。際允は「知らないふり」をしながら情報を集めるしかない。
皮肉なことに、輝絡が偶然買ってきた夜食のチョコレートケーキが、明日殺される際允の「十八歳の誕生日ケーキ」として振る舞われることになる。
ろうそくはないが、火の国の習慣として誕生日のお願い事はできる。そこで際允は、
――止湮が、ずっと幸せに生きていけますように。
と心の中で願いを呟く。
日付が変わった瞬間、「火の感謝の日」でもあるため花火が打ち上がる。
そんな中、契約成立のサインが浮かび上がる。際允は輝絡と視線を交わし、人差し指を口に当てて「しっ――」と合図する。
常に無表情な輝絡が、際允の不意の行動に初めて驚いたように目を見開き、仮面がひび割れるような反応を見せる。
止湮の「家族と一緒に見てやれよ」という言葉を重ねつつ、明日自分を殺す敵や見知らぬ同居人たちと花火を見上げている今の状況に、深い寂寥感を覚える。
輝絡は際允の三つの契約ともに、その存在・内容・契約相手・経緯までなぜかすべて把握していたことを明かす。
際允が「輝絡との契約内容を最優先で知りたい」と口にしたことで、墨然は「自分が大切に想う家族・輝絡こそが、際允を殺す犯人である」という残酷な真実に気づいてしまい、青ざめた顔を見せる。
すると、輝絡が「俺の部屋で寝よう」と際允を誘う。第一の世界での殺害当日である今日、犯人と同室になることは際允にとって致命的なリスク。
そこで墨然が強引に介入し、「自分が責任を持つ」と際允を自分の部屋へ連れ帰ることを決定する。際允を守り、かつ「殺人犯」の件について二人きりで話し合う決意を固める。
際允が墨然の部屋に入る直前。何も知らないから「輝絡は本当に良い人だから疑わなくて大丈夫」と際允を励ます由心。
その純粋な善意を前に、際允は「その善人が人殺しである」という残酷な事実を飲み込み、「わかっています」と静かに答えるしかなかった。




