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重ね合わせの殺人  作者: 青空森


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7/12

重ね合わせの殺人4.1

4.


 目を覚ましたとき、最初に考えていたのは昨夜の事件のことだった。列車内で男が暴れ、刃物で周囲の人を切りつけた事件。詳細は聴取後なので、現時点で知っていることは容体不明の流血者が複数名いるという情報だけだった。

 電車内で殺人にあい、僕たちは同時に死んだ。変に冷静なのは、それが真実だと確信があったからだった。

 スマートフォンを手に取ると、アラームがなる前に目覚めたことを知る。

 それから日付を確認した。自分の死が避けられたなら、表示されているのは七月三日のはずだった。

 日付は。

 七月二日。

 目を疑う。同じ日を、また繰り返していた。

 なにが起きて……。

 雨坂が懸念していたように、そもそも繰り返していた原因からして違うのだろうか。

 しかし、それを前提にしないと……。

 理由もなく部屋を歩いた。すぐに無駄なことに気がついて、ソファへ座る。

 原因が特定できない。列車で殺されていたのかさえ、自信がなくなってきた。

 雨坂に連絡しようとチャットを飛ばす。返信は来なかった。時間帯が早朝とあって通話に抵抗を覚える。非常事態であることが後押しして、通話ボタンを押した。

 コール音が続く。

 待てども、雨坂は出てこなかった。

 再び部屋が静かになる。

 この後の過ごし方は。直感が、今日という日を、何もすることなくやり過ごすべきだと訴えてきた。少なくとも、繰り返す原因に自分の行動が関係するかを知ることができる。

 それが最優先事項?

 決めきれなかった。選択肢があまりにも無さすぎて、動くことができない。

 スマートフォンをテーブルへ置いて横になる。

 今日はダメかもしれないと、天井を見ながらそんなことを思った。


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