↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白王と黒王  作者: ブルースライム
第3章:レーヌ小国群

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

198/217

第198話(幕間):月末までに

「ドゥアルテ法官長様。三枚、揃いました」


 書記官が、紙を置いた。


 関の控え。村の触れ。境の報せ。


 置いた順は、届いた順である。


 関の控えには、行が二つあった。


 行き。司祭一名、供四名。


 帰り。司祭一名、供四名、子一名。


 そのあいだに、村の触れが入る。司祭様と供一名。


 四、一、四と子。


 同じ司祭である。名も、同じ字で書いてある。


「関の者は、数えましたか」


「数えた、と控えにございます」


 書記官が、控えの端を指した。


「一人ずつ、指で数えて書いた、と」


 子一名。


 欄には、数だけが書いてある。


 境の報せは、短かった。


 騎乗二十数名、境にて止まる。横木の先に、ヌオモの兵。その後ろに、セフォーの兵。


 紙は、そこで終わっていた。


 出したのは、私ではない。


「いかがいたしましょうか」


「いかがとは」


「……いえ。ご放念くださいませ」


 書記官は、三枚を揃えた。


 揃え終わってからも、手が少し止まっていた。


「書記官。ほかに、御用は」


「ございません」


     *


 三枚をもう一度置いた。


 子は、行きには居ない。帰りに居る。


 子は、横木の先へ出た。


 月末に、枚数が揃わない。


 押し方と、番号と、枚数。どれか合わなければ、突き返される紙である。突き返す側に、こちらは座っている。


 別の子に押させることを、考えた。


 番号は書ける。手のひらは、書けない。


 考えるのを止めた。


 答えの分かっていることに考えを巡らせるのは、時間の浪費以外の何物でもない。


 あの男には、まだ知らせない。


 貴族にも知らせない。


 知られた日に、旗が下りる。


 旗が下りれば、雇いの船は雇いに戻るだろう。


     *


 新しい紙を引き寄せた。


 恐れながら、と書き出した。


 『ヌオモの守りは厚うございます。押すのであれば、船をあと三十と、兵を八千は積み増さねばなりません。積み増した者が、みな戻るとは限りません』


 そこまでは、前に申し上げたとおりに書いた。


 そのあとに、一行だけ足した。


 『それでも、攻めるべきは今かと存じます』


 末に、ドゥアルテ・エスカランテ、と書いた。


 筆を置いた。


 使えるものは使えるうちに。


 月末までに、これを陛下の前へ上げる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。