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白王と黒王  作者: ブルースライム
第3章:レーヌ小国群

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第143話:神に感謝を

 朝、触れが回った。


 二行だった。


     *


 陛下は昨夜、急に身罷られた。


 そして、戻られた。


     *


 私はそれを、廊下で聞いた。読み上げたのは書記官で、声が震えていた。


 震えていたのは、後ろの一行のほうだと思う。


 父のところへ行った。


「父上は、ご存じだったのですか!」


「その場にいた。それ以上は聞くな」


「……はい」


     *


 昼前に、謁見の間へ集められた。


 カルロス王が、座っておられた。


 三日前と、同じ席。同じ座り方である。


 違うのは、小さく見えないことだった。


 臣下が、順に入った。


 泣きながら膝をつく者もいた。名を呼びながら進む者もいた。


 四十一人が入り、三十八人が前へ出た。


     *


 三人は、扉のところから動かなかった。


 うち一人の顔に見覚えがあった。


 ファティマ様と一緒に戻ってきた兵士で、荷車から怪我人を降ろしていた男だったと思う。


 確か、四人が起き上がるのを近くで見ていた。


     *


 エリアス王も、おられた。


 列の後ろのほう、柱のそばに立っておられる。前へは出られなかった。


 ファティマ様が近くにいらっしゃった際、エリアス王が声をかけられていた。


「よかったですね」


 ファティマ様はゆっくりと頭を下げてこう言った。


「はい、我が偉大なる神に感謝を」


 優しい表情だ。エリアス陛下も喜んでいた。


 ただ、何か違和感を感じた。理由は分からない。


 改めて、謁見の間に集まった人々に対して正式に通達が為された。


     *


 一つ、カルロス陛下は昨晩、急な病に襲われ身罷られた。


 一つ、奇跡によって、現世にお戻りになられた。


 一つ、早急に国難に対処をしていく。


     *


 気づいたことがある。


 医師を見なかった。


 昨夜も、今朝も、この城の医師は一度も呼ばれていない。急な病で呼ぶ間もなかったのか。


 それとも、呼ぶ必要がなかったのか。


     *


 その日のうちに、使者が二人出た。


 持たされた文に何が書かれていたかは、父から聞いた。断りである。国は渡さぬ、娘もやらぬ、と。


 ファティマ様が、門のところで見送っておられた。


 私も横に立った。


「ライアン」


「はい」


「父は、決めましたよ」


「はい」


     *


 三日前は、決められない御方だった。

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