第143話:神に感謝を
朝、触れが回った。
二行だった。
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陛下は昨夜、急に身罷られた。
そして、戻られた。
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私はそれを、廊下で聞いた。読み上げたのは書記官で、声が震えていた。
震えていたのは、後ろの一行のほうだと思う。
父のところへ行った。
「父上は、ご存じだったのですか!」
「その場にいた。それ以上は聞くな」
「……はい」
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昼前に、謁見の間へ集められた。
カルロス王が、座っておられた。
三日前と、同じ席。同じ座り方である。
違うのは、小さく見えないことだった。
臣下が、順に入った。
泣きながら膝をつく者もいた。名を呼びながら進む者もいた。
四十一人が入り、三十八人が前へ出た。
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三人は、扉のところから動かなかった。
うち一人の顔に見覚えがあった。
ファティマ様と一緒に戻ってきた兵士で、荷車から怪我人を降ろしていた男だったと思う。
確か、四人が起き上がるのを近くで見ていた。
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エリアス王も、おられた。
列の後ろのほう、柱のそばに立っておられる。前へは出られなかった。
ファティマ様が近くにいらっしゃった際、エリアス王が声をかけられていた。
「よかったですね」
ファティマ様はゆっくりと頭を下げてこう言った。
「はい、我が偉大なる神に感謝を」
優しい表情だ。エリアス陛下も喜んでいた。
ただ、何か違和感を感じた。理由は分からない。
改めて、謁見の間に集まった人々に対して正式に通達が為された。
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一つ、カルロス陛下は昨晩、急な病に襲われ身罷られた。
一つ、奇跡によって、現世にお戻りになられた。
一つ、早急に国難に対処をしていく。
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気づいたことがある。
医師を見なかった。
昨夜も、今朝も、この城の医師は一度も呼ばれていない。急な病で呼ぶ間もなかったのか。
それとも、呼ぶ必要がなかったのか。
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その日のうちに、使者が二人出た。
持たされた文に何が書かれていたかは、父から聞いた。断りである。国は渡さぬ、娘もやらぬ、と。
ファティマ様が、門のところで見送っておられた。
私も横に立った。
「ライアン」
「はい」
「父は、決めましたよ」
「はい」
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三日前は、決められない御方だった。




