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どちら様ですか?~ナクソス島に置き去りにされたギリシャ王女、日本の神々に溺愛されました~【第一部完結済】  作者: 夜見猫
第六章 アテナイの英雄、真の凱旋と受難

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第66話

本作は情景や心理描写を丁寧に描いているため、長めの文章構成になっています。

お忙しい方は、会話文「  」、キャラクター名、心の声( )を中心に追っていただくだけでも、テンポよくストーリーをお楽しみいただけます。

「うっ……! あ、アリアドネちゃん、


神社であやつが本気で涙を流して無礼を詫びておる姿を見たら、妾も急に現実味を帯びてきて、なんだか本当に身震いが止まらぬのじゃ……っ!


奴のあの真っ直ぐな瞳の急成長、まこと侮れぬぞ……!」


「あいつ、三島大社で姉貴たちに挨拶まで済ませたか。礼儀まで身につけちまうとはな。


姉貴もアリアドネちゃんも、そんなに抱き合って震えなさんなって。次は熱海か小田原だ、俺がちゃんと見ててやるから」


素戔嗚尊様が温かいお茶を二人の前に差し出しました。


「けど姉貴、ほんとに怖いのか? いくら成長してると言っても、最近生まれた若造だぜ?


どんなに逆立ちしても、生きているうちに俺より強くなったり、姉貴を支えられるようになるとは思えねえがな」


素戔嗚尊様がしごく真っ当な一言を放ちました。


八岐大蛇を退治し、数々の武勇を誇る日の本最強の闘神。


その絶対的な自信にリビングの張り詰めた(?)空気が一瞬で和らぎます。


「…… そ、それはそうじゃな! 素戔の申す通りじゃ」


天照大御神様はハッと我に返りました。


「あやつがどれほど信長や家康の理を学び、明治の剣客の奥義をボソボソ唱えようとも、神代よりこの日の本を統べる妾に敵うはずがないわ!


そもそも妾を支えるなど、あと何万年修行しても不可能な話じゃ!


ふはははは!


妾としたことが、アリアドネちゃんのパニックに巻き込まれて少々取り乱してしまったわ!」


主神としての絶対的なプライドを取り戻し、冷たいビールをグビッと煽って豪快に笑い飛ばす天照大神様。


「はわわ……っ! そ、素戔嗚尊様、流石ですわ……っ!」


アリアドネも瞳をキラキラと輝かせ、抱きしめていたクッションから顔を上げてホッと深く胸をなでおろしました。


テセウスの脅威など、この日の本の闘神と最高神の前には、カブトムシの羽ばたきにすら及ばないのだとようやく心の底から理解し、飴をもらった子供のようにふにゃりと表情を緩めます。


「あっ、けど奴も神の端くれか。今現在のギリシャで3000年間修行してきたヤツがオリュンポスにいたらそうはいかねえかもなぁ」


素戔嗚尊様が少しだけ真剣な眼光をリビングの空間へと向けました。


「え……?」


その一言に、先ほどまで「ふははは!」と高笑いしていた天照大神様がぴたりと動きを止め、アリアドネも瞳をパチクリとさせて素戔嗚尊様を見上げます。


「スサノオ様、それは一体どういうことですの……?」


「いやな、アリアドネちゃん。あいつはギリシャの神話じゃ人間の英雄王ってことになってるが、アテナイの礎を築いた男だ、あっちの世界の理じゃ神の血筋の端くれだろ。


もし仮に、あいつがナクソス島でアリアドネちゃんを置き去りにしたあの古代のままじゃなく、あの後から現代(2026年)に至るまでの『3000年間』


オリュンポスの山にでも籠もって死に物狂いで神としての修行を積んできたようなヤツだったら……話は少し変わってくる、ってことさ」


素戔嗚尊様はの鋭い理(ことわり)を口にします。


「もし、3000年分の神力をその身に宿したヤツが、この日の本のB級グルメでさらに魂を開眼させて、姉貴のあの時の挑発を本気にして七里ヶ浜へ乗り込んできたら……。


まぁ、さすがに俺でも片手でヒョイってわけにはいかねえかもなぁ」


「ひ、ひぃえぇぇぇえーーーーっ!!! や、やっぱりまずいですわ天照大神様ーーーっ!!!」


その最悪のシミュレーションを聞いた瞬間、アリアドネのやきもちと恐怖のボルテージが再び大爆発しました!


天照大神様に全力でしがみつきます!


「テセウス様は3000年物のカブトムシになるのですわよ!?


そんなヤツが、不殺の誓いと泰平の世の理を極めて、お姉様に抱かれに(蹂躙しに)戻ってきたら、わたくしたち今度こそ本当にノックアウト(ハグ)されてしまいますわーーーっ!!


怖いですわーーーっ!!」


「うっ……! お、おのれ素戔、一度安心させておいて、そんな恐ろしい仮説をまことしやかに囁くでないわ! 3000年修行した神の気骨など、妾もまだ受け止めたことがないわーーーっ!」


天照大神様も顔を真っ赤にしてそわそわと身を縮こまらせ、神子と一緒にクッションを抱きしめてブルブルと面白おかしく怯え惑っています。


「ふふ、素戔はまこと意地悪じゃのう。二人の可愛い怯え顔が見たくて、わざと煽っておるのじゃろう?」


イザナミ様だけが笑みを浮かべていらっしゃいます。


「いや、お姉様。可能性の話をしてるんだよ。


今この世界にいるあいつはただの若造だ。

しかしヤツが元の世界に戻った時は3000年前に戻るんだぜ?


で、その歴史の中で今現在のギリシャがあって成長したヤツが、今実際にいるかも知れないって話だよ」


素戔嗚尊様が冷静にこの世界の時間と歴史の構造(ループの可能性)を指し示しました。


「……はわわわっ!?」


アリアドネは瞳を点にして、完全にフリーズしてしまいました。


今ここにいるテセウスは、比叡山で一年の修行を終えてお豆腐の味に感動している「ただの若造」のテセウス。


しかし、もし彼がこの日の本の旅を終えて古代ギリシャへ戻ったとしたら、彼は日の本で得た「泰平の理」や「不殺の誓い」を胸に、歴史をやり直すことになります。


そしてそのやり直した歴史が3000年以上紡がれた結果として、現代(2026年)のギリシャのどこかに、すでに「究極の真の王」へと進化したテセウスが存在しているかもしれない――。


「ということは、あやつは古代に戻って3000年間、妾のあのセリフを胸に抱きながら、今もどこかで修行を続けておるやも知れんということかえ……っ!?」


天照大神様は顔をみるみるうちに林檎のように真っ赤に染め上げました。


プライドを完全に恥ずかしさが置き去りにし、心臓をバクバクと高鳴らせて激しくそわそわし始めます。


いつもご愛読いただき有難う御座います。

スサノオ様の「3000年間アマテラス様の煽りを胸に修行したテセウスが現代にいるかも説」により、再び大パニックに陥る七里ヶ浜。


「スサノオ様ここぞとばかりに姉をいじってる?」、「アマテラス様、恋する乙女の反応をやってみたかっただけ?それともマジ?」と思った方は【評価(★)、ブックマーク登録】をお願いします。

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