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どちら様ですか?~無人島に置き去りにされたけど最強の女神たちに溺愛されました~【全話執筆済】  作者: 夜見猫
第二章 海辺の日常と、大母神の華麗なる三行半

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22/24

第22話

本作は情景や心理描写を丁寧に描いているため、長めの文章構成になっています。

お忙しい方は、会話文「  」、キャラクター名、心の声( )を中心に追っていただくだけでも、テンポよくストーリーをお楽しみいただけます。

「はあ……妾は幸せじゃ……」


「私もですうー……」


大船の回転寿司屋さんを後にした車の後部座席では、イザナミ様とアリアドネが、お腹も心もいっぱいに満たされ、心地よい幸せの余韻に浸っていました。


そんな二人の様子をバックミラーで見守りながら、素戔嗚尊様は車を路肩に止めました。目の前にあるのは、現世の誰もが知る、ファストフード店です。


「ちょっと待っててくれよな!」


そう言い残して素戔嗚尊様がお店へと入っていき、数分後、大きな紙コップにカラフルなストローが刺さった飲み物を人数分、両手に抱えて戻ってきました。


「ほら、お三方。寿司の後のデザート代わりだ」


手渡された冷たい紙コップを手に、アリアドネが不思議そうにストローをくわえました。しかし、いつものジュースを飲む感覚で吸おうとするものの、なぜか中身が重くて上がってきません。


「な……なんか、吸っても何も出てきませんわ?」


アリアドネがストローをくわえたまま目を丸くしていると、運転席の素戔嗚尊様が楽しそうに笑いました。


「ハハハッ! それは普通のジュースじゃねえんだ。『シェイク』って言ってな、少し頑張ってキューっと強く吸ってみな!」


「ふむ……。こうかえ?」


イザナミ様が、少し小首を傾げながら、その可愛らしいお顔でストローをキューっと強く吸い込まれました。


その瞬間、ひんやりとした優しいイチゴ味のシェイクが、お口の中に滑らかに飛び込んできます。


「なんとまぁ……! ほんに、冷たくて美味しいのう……。お口の中でとろけるようじゃ」


お姉様の幸せそうな言葉を聞いて、アリアドネも再びストローに挑みます。


「えっ?! こうですか……?」


アリアドネもまた、一生懸命にキューっと頬をすぼめ、必死に吸ってみました。すると、お口の中に一気に広がる、濃厚で冷たいイチゴの甘み。


「ふわぁーーーっ! 冷たくて、甘くて、とっても美味しいですわ〜〜〜!!! お寿司の後に、こんな素敵な魔法の飲み物があるなんて……!」


アリアドネは、頭のてっぺんまで突き抜けるような冷たさと美味しさに、瞳をこれ以上ないほどキラキラと輝かせて大喜びです。


助手席の天照大御神様も、ストローを器用に吸いながら、弟の見事すぎるB級グルメのエスコートに深く感心されました。


「ふーーーむ。そなた、本当に『ないすちょいす(ナイスチョイス)』をするのう!」


「えっ?!」


姉神の口から飛び出した「横文字(英語)」での褒め言葉に、素戔嗚尊様は一瞬だけ驚いて目を丸くしました。


「まあ……奇稲田クシナダといつもデートしてるとよ、こういうのを喜ぶんだなぁってのが、大体わかるようになったんだよ。……あいつが喜ぶ顔を、いつも見てるからさ」


少し耳のあたりを赤くしながら、恥ずかしそうに答える素戔嗚尊様。


その不器用ながらも、最愛の妻への深い愛に満ちた紳士の横顔を見て、アリアドネもイザナミ様も、そして天照大御神様もとても温かいぬくもりをその胸に感じていたのでした。


「今日は美味い魚をたっぷり堪能したのう。素戔スサよ、褒めて遣わす! 明日以降もそなたのエスコート、期待しておるぞよ!」


鎌倉の邸宅に戻り、三柱の女神たちはリビングのふかふかのソファーで再び「キャッキャ」と声を弾ませていました。


イザナギパパへの痛快な大勝利の思い出と、大船で堪能したお寿司や冷たいシェイクの美味しさ。楽しかった一日の出来事に、いつまでも華やかに花を咲かせています。


そんな賑やかな彼女たちの横で、素戔嗚尊様はひとりリビングのテーブルに現世の地図とスマートフォンを広げ、次なる計画を黙々と立てていました。


どうやら彼は、この鎌倉を起点とし、歴史ある「東海道」の道をじわじわと西へと進みながら、日の本が誇る至高のB級グルメを堪能し尽くすための、これからの道のりを考えているようです。


「なんじゃ素戔、妾にも見せてみい」


ふらりと近づいてきた天照大御神様は、弟の逞しい頭と肩にぐいっと体重をかけて寄りかかり、手元の画面を覗き込みました。


そして、そこに組み立てられている、次なる目的地の完璧なグルメのルートを目にした瞬間、その美しい目を爛々と輝かせました。


「素戔よ。 そなた、まじでヤバいやつじゃな」


「えっ?! ……いや、そんな現世の若者みたいな言葉遣いをしてる姉貴の方が、まじでヤバいんだけど……」


素戔嗚尊様が至極真っ当なツッコミを返した、まさにその瞬間。


「褒めてやっておるのじゃ! 生意気抜かすなーーーっ!」


ガシィィィッ!!!


天照大御神様は顔を真っ赤にして叫ぶと、再び恐るべき素早さで素戔嗚尊様の背後に回り込み、二度目となる「コブラツイスト」を容赦なくガッチリと炸裂させました。


「ぎゃああああああっ!? またそれかよ姉貴ぃ! 痛ぇって、せっかく真面目に次の美味い店のルート考えてやってんのに、理不尽だろーーーっ!?」


「うるさいわっ! 妾の褒め言葉を素直に受け取らぬバカへの制裁じゃ!」


鎌倉の静かな夜の波音が響くリビングの真ん中で、再び始まった最高神による怒濤のコブラツイストと、必死にタップを連打する弟の大騒ぎ。


ソファーの上でお腹を抱えて涙を流しながら大爆笑するアリアドネと、ワイングラスを傾けて「ほんに、飽きぬ奴らじゃのう」と上機嫌で微笑むイザナミ様。


四人の「東海道・西進B級グルメツアー」。そのあまりにも楽しみなこれからの旅路を予感させながら、鎌倉の隠れ家の夜は、どこまでも温かい笑い声と共に更けていくのでした。


楽しげな夜が更け、鎌倉の邸宅に静かな眠りが訪れました。


翌朝、まだ周囲が静まり返る中、素戔嗚尊様は一足早く起きて台所に立っていました。三人のために彼が用意しているのは、これぞ日の本の由緒正しき朝食。


ふっくらと炊き上がった白米、お出汁の香る温かい味噌汁、香ばしく焼かれたシャケの切り身、瑞々しいほうれん草のお浸し、そして民が愛する納豆です。


トントンと小気味よい包丁の音が響く中、パジャマ姿のアリアドネが、目をこすりながら起きてきました。


「おはようございます、素戔嗚尊様!」


「おう、おはよう、アリアドネちゃん。よく眠れたかい?」


振り返り、爽やかな朝の微笑みを浮かべる素戔嗚尊様。どこまでも紳士的で優しいその佇まいに、アリアドネは、この大男が闘神であることを、すっかり忘れてしまいそうになります。


続けて、天照大御神様が長い髪を少し乱したまま、「おふぁよー……」と、いかにも眠そうな声を漏らして降りてきました。


「おう姉貴、おはよう。もうすぐ飯ができるからな」


「そなた……主婦じゃな」


ジト目で鋭いツッコミを入れつつも、至れり尽くせりな優しい弟の姿に、内心では深く感心しておられました。


そして最後に、階段を静かに降りてきたのはイザナミ様でした。朝の柔らかな光に照らされたお姉様は、寝起きでありながらも息を呑むほどの妖艶な美しさを放っています。


お姉様はリビングに入ると、調理中の素戔嗚尊様のすぐ後ろへと、音もなく歩み寄りました。そして、何の前触れもなく、その大きな背中へと両腕を回し、後ろからぎゅっと抱きしめたのです。


「えっ?!」「ええっ!?」


これには素戔嗚尊様だけでなく、天照大御神様も、アリアドネも、全員が同時に驚愕して目を丸くしました。突然の出来事に、台所の時間がぴたりと止まります。


当のイザナミ様は、驚く周囲の視線を気にも留めず、こともなげに鈴のような声を響かせました。


いつもご愛読いただき有難う御座います。

スサノオ様の完璧なエスコートから一転、翌朝の台所で予想だにしない大事件(?)が発生。


「スサノオ様みたいな主夫が欲しい」「超絶美女の姉だったらバックハグして欲しい」と思った方は【評価(★)、ブックマーク登録】をお願いします。

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