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どちら様ですか?~無人島に置き去りにされたけど最強の女神たちに溺愛されました~【全話執筆済】  作者: 夜見猫
第二章 海辺の日常と、大母神の華麗なる三行半

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15/21

第15話

本作は情景や心理描写を丁寧に描いているため、長めの文章構成になっています。

お忙しい方は、会話文「  」、キャラクター名、心の声( )を中心に追っていただくだけでも、テンポよくストーリーをお楽しみいただけます。

この充実した日々のなかで、天棚機姫神様から教わった現代のコスメや、美をより際立たせるお化粧の研究も徹底的に行われました。


鏡の前に並んだのは現世の魔法の小瓶たち。アリアドネが桜色の艶やかなリップをふっくらと乗せると、たちまち顔全体に血色感が花開きます。


イザナミ様は、深みのあるボルドーのマットリップと、繊細なゴールドパールが煌めくアイシャドウを纏い、洗練された大人の色香を完全に我がものにしておられました。


化粧水が肌に吸い込まれるたび、みずみずしく潤うお肌の感触に、女神たちの胸は高鳴り続けています。


天照大御神様にあれこれとアドバイスを受けながら、最新の化粧品を試していくイザナミ様とアリアドネ。


元からの気高さに加え、現代の洗練された装いの術を完璧に身につけた二人は、もはや「霧の衣」をかけていても、その内側から溢れ出る神聖さと絶世の美しさを、とても隠しきれないほどの輝きを放つようになっていたのです。


素戔嗚尊様は、そんなかしましくも美しさに磨きをかけていく三柱の女神たちを、毎日せっせとエスコートし、時には荷物持ちとしてプロデュースに加担していました。


しかし、日々美しさを増していくイザナミ様とアリアドネの姿、そして時折、楽しそうに


「あのイザナギパパの驚く顔が楽しみじゃのう」


と悪戯っぽく笑い合う女神たちの様子を見つめるたびに、素戔嗚尊様はただ一人、心の中で静かに確信を深めていました。


(これ……もし将来、親父の前にこの2人があの霧の衣を外してダイレクトな姿で現れたら、一体どうなっちまうんだ……?


親父の圧倒的な敗北しか未来が見えねえぜ……)


素戔嗚尊様はまだ見ぬ父神の哀れな行く末を予感し、一人でやれやれと肩をすくめるのでした。


そんな予感をよそにリビングにて、作戦の「仮想標的ターゲット」として、不運にも素戔嗚尊様が選ばれることとなりました。


プールサイドに面した広い部屋の中央に椅子が置かれ、そこに素戔嗚尊様がぽつんと座らされます。


これは、究極の美を完成させたイザナミ様とアリアドネがとる誘惑のポーズに対して、素戔嗚尊様がどこまで冷静さを保っていられるかという終わりが見えない恐ろしい試みでした。


「おいおい、勘弁してくれよ……」


頭を掻きながら座る素戔嗚尊様は、最初のうちは余裕の表情を崩していませんでした。


二人がおずおずとポーズをとる姿に対しても、現世の流行りのアニメのキャラクターのモノマネのような大袈裟な仕草をして、「おっ、なかなか様になってるじゃねえか!」などと冗談を飛ばし、おどけて見せていたのです。


しかし、日が経つにつれて、部屋の空気は一変していきました。


天照大御神様にあれこれと指南され、さらに現代のコスメや洗練された身のこなしを完全に研究し尽くした二人の仕草は、見る見るうちに劇的な進化を遂げていったのです。


すべてを見透かすような艶やかな大人の微笑みを浮かべるイザナミ様。


そして、潤んだ青い瞳でそっと上目遣いにこちらを見つめてくるアリアドネ。


洗練の極致へと達した二人の流れるような美しいポーズと、ダイレクトに放たれる絶世の魅力が素戔嗚尊様を真っ正面から直撃します。


「……っ」


先日までアニメのモノマネをしておどけていた素戔嗚尊様の動きがピタリと止まります。


彼の耳たぶから頬にかけて、見る見るうちに明らかな赤みが差し始めます。


いくら奇稲田姫様という最愛の妻がおり、紳士として教育されているとはいえ、目の前にいるのは世界を滅ぼしかねない美貌を持つ二人の美女。


その本気の誘惑を至近距離で受け続け、冷静でいられるはずがありませんでした。


それを見た天照大御神様は、我が意を得たりとばかりにパチパチと手を叩いて大喜びです。


「うむっ! これならパパ上なんぞ、いつでもドロドロの骨抜きになりますぞ!」


天照大御神様は嬉しそうにキャッキャと声を上げ、イザナミ様やアリアドネと一緒になって、少女のように大はしゃぎしています。


ですが、標的にされた素戔嗚尊様にとっては、たまったものではありませんでした。


目の前で繰り広げられるのは、二人、いや、楽しそうに笑う天照大御神様も含めた、三人の絶世の美女による終わりのない魅惑の波。


強烈すぎる美の暴力に晒され続け、素戔嗚尊様は額にじっと冷や汗をにじませ、視線をどこにやっていいかも分からずに硬直していました。


奇稲田クシナダや……頼むから助けてくれぇぇぇ……っ!!)


さすがの荒ぶる神も、心の中で声にならない悲痛な叫びを上げながら、早くこの恐ろしくも美しい練習時間が終わることを、ただひたすらに祈り続けるしかないのでした。


三人の絶世の美女による終わりのない美の暴力に晒され、限界を迎えつつあった素戔嗚尊様は、真っ赤になった顔を隠すように咳払いをし、必死の思いで一計を案じました。


「なあなあ……。流石にその天棚機タナバタのドレスをずっと使うってのは、いくらなんでも反則じゃねえかなぁ。


……そうだ、今から別の服屋さんに行こうと思うんだが、みんなで行かないか?」


「ほほう! 服屋とな!?」


その言葉が響いた瞬間、天照大御神様、イザナミ様、そしてアリアドネの三人が、ほぼ同時に身を乗り出して素戔嗚尊様の提案に食いつきました。


銀座の高級ブティックとはまた違う、現代の日の本の別の服屋という響きは、彼女たちにとって何よりも魅力的な誘惑だったのです。


「あ、あぁ。……今現世で大流行りの服屋さんだ。興味があれば行こうぜ!」


服屋さんというあまりにも魅惑的な提案に、三柱の女性陣が食いつかないわけがありません。


この提案は、素戔嗚尊様にとって、あの恐ろしいまでの誘惑の練習から逃れ、ほんの少しの小休止を得るために捻り出した苦肉の策でした。


しかし、これが結果的に、この後に素戔嗚尊様をさらなる「二重の苦しみ」で襲うことになるとは、この時の彼はまだ知る由もありませんでした。


さっそく一行は車に乗り込み、鎌倉からほど近い大船にあるプチプラ服屋さんへと向かいました。


お店に足を踏み入れた瞬間、まず3人の目を奪ったのは、銀座の格式高い雰囲気とは全く異なる、どこまでも明るい照明と、壁から棚に至るまで所狭しと並べられた色鮮やかで可愛らしい服の数々でした。


いつもご愛読いただき有難う御座います。

現代コスメで美を手にいれたイザナミ様とアリアドネちゃん。仮想ターゲットのスサノオ様は、美の暴力の前にあえなく撃沈します。


「ガチ誘惑にガチ悶絶するスサノオ様が良き」、「美スサノオ様の思いつきは地獄への片道切符」と思った方は【評価(★)、ブックマーク登録】をお願いします。

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