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約束(エンゲージ)  作者: 千歳瑠璃
幻獣創造
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心重ねる

「やっぱり、人多いな……」


 電車がいっぱいになるほどに人が乗っていたので、多いことは予想出来ていたが、入場口まで来ると、予想よりも人が多い。土曜日ということもあって、会社が休みの人が多いことが原因だろう。小さな子供を連れている家族連れが多いものそれが理由だろう。


「それにしても、遊園地なんて、数年ぶりに来た……前に行った時の事をほとんど覚えてない」


 その時は確か……そうだ、凜奈の家族と、俺の家族とで遊びに行った事を思い出した。この遊園地では無かったはずだが、小学生低学年の時に、凜奈が駄々を捏ねて連れて行って貰った記憶がある。


 一度も行ったことがない遊園地を、テレビ放送でたまたま目にした凜奈は、行きたいと駄々を捏ねたのだ。昔からしっかりとしていたが、そいうい部分は子供だった。今思うと、凜奈が駄々を捏ねたのはその、一回きりだった。


「海人!!何ボーっとしてるのよ。列に並びましょ」


 遊園地を前にして、さらにソワソワしている凜奈は、早歩きで列の最後尾に並ぶ。遊園地に入るためにはチケットが必要になるため、買わなければならない。そのために列に並ぶ必要があるのだ。


 だが、その列は長い……チケットを買うだけなので、比較的早く順番が来ると思うが、こうして並んで居る人数を見てみると、かなりの時間が掛かりそうに見える。しかし、並ばなければ入れないので仕方ない。


「ところで、海人は遊園地に来たことがあるの??」


 体が触れ合う距離で、居る白雪が聞いてきた。微かに香る花のような甘い香りに、ドキドキしながらも、質問に答える。


「覚えているので一回だけだな……昔、凜奈が駄々を捏ねて、家族ぐるみで来たきりだ」


 昔は、全く遊園地には興味なかった。人が多いだけで、全く楽しそうに見えなかったのだ。だが、どんな場所かというのは気にはなって居た。自分の行ったことが無い場所だから気になるのは仕方ないことだろう。


「ふーん、やっぱり凜奈が居るんだ……」


 そう呟く白雪は少し寂しげだった。そう考えれば、小さい頃にどこかに行く時は常に凜奈が隣に居た。少し、遠い公園に遊びに行く時や、何かする時は常に凜奈が居た。旅行する時も、家族ぐるみで出かけることが多かった。


 それは、小さい頃から幼馴染だという理由だけではなく、家同士が仲が良かったこともあって、そういうことが多かった。凜奈が死んだ事によって、どのような影響を受けたかは知らない……知りたくも無い。


 ずっと、凜奈を事を思って、大切にしてきた二人を見ているので、凜奈を忘れた二人など見たくはなかった。少なくとも、今は見る勇気は無かった。


「特別な事じゃない限り、凜奈はずっと居たぞ?なんせ、幼馴染だからな」


 そうだ、俺と凜奈は幼馴染だ。決してそれ以外の関係ではない。少なくとも、白雪が心配しているような関係ではない。家族に近い感覚ではあるが。


「だからそれ以外に何もないよ……白雪が心配している……いや、この場合は嫉妬か??」


「なっ……!」


 頬を急激に赤く染めて、恥ずかしそうに口をパクパクししている白雪。今まで見ることが出来なかった新しい白雪の一面を見たようで、嬉しい。後、物凄く可愛い。


「私は別に、嫉妬なんかしてないわ!!何勘違いしてるのかしら!!」


 ぷいっっと顔を背ける、姿は子供が拗ねた時のようだった。身長が小さいので、余計に幼く見えて可愛い。凜奈も、遊園地に行きたい!といい出した時に、似ている。


「そう、拗ねるなって……。それで、白雪は遊園地行ったことあるのか??」


 大体予想は付く。きっと、行ける暇など無かったに違いないと。けど、聞いてみることにしたんだ。意味なんて、特にない。ただ、少しでも白雪の事を知れたらいいと思っただけだ。


「行ったことあるわよ」


「え?」


 予想外の言葉が帰ってきて、素で驚いてしまった。俺の反応から、白雪はおおよその事態を把握したらしく、少し、不機嫌そうな顔をした。


「どうせ、行ったこと無いとか思ってたわね??」


 ジト目で見つめてくる白雪に、俺は少し居心地の悪い気分になり、素直に言うことにした。


「悪い……そんな余裕ないと思ってた」


 小さい頃に母親を亡くして、ずっと召喚者として生きてきた白雪には、娯楽を楽しむ時間など皆無だと思っていた。初めて出会った時の真剣な表情は、母親を蘇生させる事しか考えてなかったように見えていたのだが……。


「行った事あるって行っても、純粋に遊園地に行きたいと思って、行った訳じゃないわ。今、見えている乗り物とかにも、今まで一度も乗ったことないしね……」


「それなら一体、何を目的として来たんだ?普通、遊園地に来れば、乗り物には乗るだろ?」


 少なくとも、俺の知っている遊園地での遊び方はそれぐらいだ。乗り物以外にも様々な物があることは理解しているが、遊園地という醍醐味はやはり、乗り物だろう。ジェットコースターなど、普通では乗ることが出来ない乗り物を乗る場所というのが、遊園地という場所だ。


「別に、ただ、遊園地に戦ってた召喚者が逃げ込んだだけよ?〝魔術閉鎖空間イージス〟の中、だったから人間も居なかったし、乗り物も動いてなかったけど……」


 平然と話す白雪だが、俺は胸が締め付けられる気持ちだった。全く興味の無かった俺ですら行った事がある遊園地という場所……普通の人間であればほどんどが行ったことがあるだろう。


 普通に暮らしていれば、行く機会などたくさんあるはずだ。だが、それほどに白雪……俺と出会う前までの生活は厳しかったのだと、再確認してしまった。それほどまでに、白雪にとって母親というのは絶対的な存在だったのだろう。


「ひゃ!な、何??一体、どうしたの??」


 俺は、許可も取らずに白雪の小さな手を握っていた。男の手とは明らかに違う、柔らかくて小さな手。俺は、この手を一生守って行くんだ……十年間ずっと母親を蘇生させるために戦って来た白雪は、その願いを捨てて俺を選んでくれたのだ。


 変わりではないが……本来守って貰うはずだった母親の分も俺が守らなくては……これからずっと、寂しい想いや辛い想いをさせないためにも、俺自身が白雪を守らなくてはならないのだ。


「海人……」


 まるで、俺の考えが読めているような反応。実際に読めているのかもしれないが、俺には理解出来ないことだ。ただ、白雪は握られているだけだった手を、包むように握り返してくれた。そして、笑顔で笑ってくれた。それだけで、充分だった。


「今日、この一日は本当に楽しい物にしような。一日たりとも忘れないぐらいに、楽しい物にしような……」


「そうね……」


 力強く握り返してきた手を、俺も力強く握り返す。






**************






並び、チケットを買い終わった俺達は、さっそく遊園地の中に入る。チケットを買うのには少し時間が掛かったが、入るだけならほとんど時間は掛からなかった。


 今日は、一日中遊園地に居る予定なので、フリーパスを購入した。これで、今日、一日は乗り物を乗り放題になった。


「白雪はどれに乗りたい?」


 先ほどの話を聞いて、今日は白雪が乗りたい物を乗ろうと決めた。ここの遊園地に来るのは初めてなので、色々調べて、面白そうな乗り物などを調べたが、これは俺が楽しむためのデートではない。自己満足では決して駄目だ。


 優先的に白雪が楽しくては駄目だ。俺は、白雪が楽しければ、何だっていい。一緒に遊園地に来られるだけでも充分に楽しいのだから。ただ、最後の締めの部分だけは用意してある。


「うーと、あれがいい」


 指を刺す方向を見つめると、同時に騒音と叫び声が聞こえた。レールの上を物凄い速さで駆け抜けて行く乗り物はジェットコースターだった。どこの遊園地でも人気のある乗り物だ。


「ジェットコースターに乗りたいのか?」


「この乗り物はジェットコースターって言う乗り物なのね。初めて知ったわ」


「とりあえず、並ぼうか......人気のある乗り物だから並ばないとな」


「そうね......列って、あれかしら??」


ジェットコースターの前にはたくさんの人が列を作って並んでいた。年齢、身長制限があるため、小さい子供は少ないが、小学生から大人まで様々年齢の人達が並んでいる。どの年代にも人気が高いようだ。


「たぶんな......」


チケットを買う時か、それ以上に人が並んでいるように見える。ジェットコースターに乗るだけで、時間がかなり経ちそうだ。


だか、白雪が乗りたいと言っているので断る理由は存在しない。今日のデートは白雪が楽しくなければ意味が無いのだから、俺は一緒に居るだけで満足来てしまうほど、白雪と一緒に居たいだけだ。


列に並び、三十分以待つと、俺たちの順番が回ってきた。ジェットコースターが発進するたびに、瞳を輝かせていた白雪だか、自分の番となると、さらに瞳を輝かせていた。本当に子供のようだった。


「そんなに、急いでも、意味ないぞ。他の人も待たないと発進しないから」


「そんなこと、わかってるわよ.......けど、楽しみなんだから仕方ないじゃな!」


柔らかく、小さな手は未だに握ったままだ。チケットを買う前に、握った手はずっと離さないままだった。手を、繋いだまま方がデートぽい......いや、違う。単純に俺が白雪と手を繋ぎたいだけだ。


 手を引かれながら列を進む。前にも人が居るため、どれだけ焦っても乗る順番や、速さなどに変化はない。しかし、楽しみすぎて、気持ちだけが先を行っている状態なのだろう。


 初デートを遊園地にしたのは正解だったようだ……ベタだと初めは思ったが、選んで良かったと、こういう白雪の姿を見ると、思わずには居られない。


「一番前ね!」


 そんな白雪の様子に、偶然も味方したのか、一番楽しめる最前列に座ることが出来た。俺もジェットコースターには始めて乗るので、初めてが最前列というのはラッキーだった。


 安全バーが降りてきて、店員さんが確認すると、音が鳴り始める。出発するのがもう直ぐだと気が付いた白雪は、笑顔で俺の方を見てくる。眩しく、可愛い笑顔は、純粋に楽しんでいるのだと理解出来る。


 ゆっくりと進み始めて上に昇っていく。大抵のジェットコースターは、一番初めが一番高い。急激に発進する物もあるそうだが、この遊園地のジェットコースターは、一般的な物のようだ。


 一番高い所まで上り、太陽の光が反射するのと同時に、騒音を立てながら急降下を始める。


 後ろから叫び声が聞こえると同時に、俺も始めてのジェットコースターを楽しんでいる。左右に上下に激しく動きながら進んでいく乗り物など今まで乗ったことはない。体がふわっと浮く感覚も、車の時とは大違いだ。


 そして、時間にして数分……あるいわ、数秒という短い時間でジェットコースターは終わってしまう。思っていた以上に楽しかったので、出発してから数秒も経って居ないように感じる。


「白雪!初めて乗ったけど、楽しかった……」


 ふと、楽しんで居たので忘れていたが、あれほど楽しみにしていた白雪の声が一切聞こえなかった。ジェットコースターは進むたびに騒音が聞こえるので、かき消されていただけかもしれないが、それでも、隣に居る白雪の声が聞こえないという状態にはならないだろう。


「おい、白雪……」


 隣を見ると、そこには笑顔の白雪ではなく、顔を真っ青に染めて、ガタガタ震えている白雪が居た。先ほどまでとは別人のようだった。


「どうしたんだ??」


 あんだけ楽しみにしていたのに、乗り終わると真っ青になっている。初めてのジェットコースターが予想以上に楽しくて、白雪を見ていなかった俺には、何が起きたのか理解出来なかった。


 たが、ガタガタ震えている様子から見るに、ただ事ではない何かが起こったのは間違いない。ほんの数分……ほしかすると数秒という時間の間に、白雪をここまで驚かす何かが存在したのだろう。


「…………」


 全く反応が無い白雪。安全バーが上がると、ふらふらしながら降りる白雪の後を追う。そして、近くのベンチに座ると、力尽きたように空を仰ぎ見る。


「怖かった…………」


 そう呟く。小さく呟いた声は、俺だけに聞こえる声だったが、空を仰ぎ見る白雪は、少しだけ視線を集めている。


「下で見ている時は楽しそうだったのに、いざ乗ってみると恐怖しか感じなかったわ……いつ落ちても可笑しくないじゃない……」


「は?怖かった??」


 聞こえた声が聞き間違いかと思い、聞き直してみた。そんなに速くないジェットコースターが怖いなど、白雪に限って無いはずだ。


「そうよ!怖かったの!!悪い!?」


「いや、悪くはないが……」


 けど、驚いたのは事実だった。あれほどの速度動く事が出来る白雪が、車程度の速度で恐怖を感じるなど、本来であればありえないことだろう。実際、俺は恐怖を一切感じなかったし、楽しかった。


「だったらいいじゃない!!私にだって怖い物ぐらいあるわよ!!今まで知らなかったけど……」


 遊園地に来たことが無い白雪なので、絶叫系を乗ったことなど無いだろう。だから、絶叫系が苦手だということが知らなかったということだ。


「とりあえず、少し休憩しましょ……お腹も空いたし……」


 時計を見ると、時刻は十二時前後だった。電車での移動や、待ち時間で思った以上に時間を割いていたようだ。時間に気が付くと、俺の腹の虫が鳴いたのを自覚した。


「わっかた。とりあえず、食べに行こうか」


 遊園地の地図を見て、食べ物が売っている場所に向かうことにした。ここからだと、少し距離があるようだが、少しぐらいであれば問題ないだろう。


「少し歩くみたいね……我慢できないほどじゃないし、ゆっくり行きましょ」


「そうだな……」


 離していた手を再び握り、俺達は歩き出した。






************





 ご飯も食べ終り、それから様々な乗り物に乗った俺達は、最後の場所に向かっていた。雲一つ無いほど、青かった空は茜色に染まっている。後、一時間もしないうちに辺りは暗くなるだろう。


 昼間にはたくさん居た人達も、今はそんなに多くは無い。活気があった遊園地も、今は少しだけ静かに落ち着いている。


 今、向かっている乗り物で最後にすることは、先ほど白雪にも伝えたので理解しているはずだ。そして、今から向かう乗り物や、そこで行うことも大体は理解しているだろう。


 先ほどから、握っている手が汗ばんでいる。たまに、何かに耐えるように強く手を握ったり、急激に弱くなったりと、不安定な白雪だった。最後と伝えてから、俺と白雪の間には一切会話は存在しない。だが、決して気まずい空気でもない。


「この時間だから、少し並んでると思ったけど、見た限りだと直ぐに乗れそうだな」


「ええ……」


 また、握っている手を強く握り締めてきた。それに答えるように強く握り締めると、体をビクッとさせて、俺の方を見る。だが、恥ずかしいのか、直ぐに顔を逸らして下を向いてしまう。


「二人でよろしいですか??」


 ウェーブが掛かった髪をしている女性店員が、聞いてきた。少しだけ不満そうにしているのは、気のせいだろうか?


「二人で乗るのはいいですけど、絶対に事だけはしないでくださいね?個室だから匂い充満するし、十五分しかないから、後片付けとか入れたら全然時間ないですからね?」


 顔を近づけて、強く言ってくる店員の言葉を理解出来ずに、首を傾げると、


「全く理解していないようですのでいいです……男の方がその気が無いのだったら、間違いは起きないでしょうし」


 遠まわしな言い方なので、理解出来ないが、とりあえず、危ない事をしたり他人に迷惑を掛けたりは絶対にしない。一応、観覧車は、空中に浮いているので危ない。


「では、楽しんできてください」


 個室に二人で乗り込むと、ゆっくりと進み始める。ネットで調べたときには、一周十五分程度と書いてあった。逆に、十五分で言わなければ行けないということになる。


 緊張する。心臓が自分の物ではない見たいに動き回っている。動きすぎて、壊れてしまうのではないかというほどに、動いている。口の中が乾き、唾液を飲み込むことによって、潤す。


 学園の屋上で、白雪は一度伝えようとしてくれた。俺はそれを止めてまで、デートに誘って場所を作った。それは、デートに誘った段階で気が付いているだろうが、何も言わないで、答えてくれた。


 正面に座る白雪は、茜色の夕日に照らされて綺麗だった。膝の上で、両手を閉じて、強く握り締めている。顔が仄かに赤いのは、決して夕日のせいではないだろう。ただ、俺の言葉を待っている。


 そう思えば、白雪と出会ってからずっと隣に居た気がする。今まで凜奈しか隣に居なかったのに、召喚者になってからは、凜奈と居る時よりも、白雪と一緒に居る時間の方が長かった。召喚者関係で、隣に居ることが当たり前になっていた。


 戦っている時も、いつも二人で戦った。〝魔女〟や〝英雄(ジークフリード)〟など、様々な敵を強力しながら倒してきた。そして、互いを信頼して、命を預けて戦った。


(そして、凜奈が死んでからも、俺を支えてくれた……)


 クリスとニール……二人によって気が付くことが出来た想い。それは決して一時の気の迷いでもなく、他人から与えられた物でもない。俺の心の中に存在した想いだ。


 白雪を見ると、下唇をかみ締めて言葉を待っていた。白銀に輝く白い髪に、高くはない身長。綺麗な声に、白く、キメ細やかな肌。不意に見せる笑顔や、女の子ぽい仕草……全てが愛おしかった。俺の手で守りたかった。


 ずっと傍に居ることが出来なかった母親の変わりに、次は俺がずっと傍に居る。この胸に抱えている想いや決意は決して偽物ではない。俺が、自分決めた、抱いた感情だ。


「好きだ…………」


 不意に出た言葉。白雪を見ていると、無意識に出てしまった言葉。


 告白の方法は、デートに行く事が決まってから何度も考えた。何時間も考えた……そして、観覧車で……二人になれる場所で告白しようと考えた。


 告白の言葉も考えた。どれが、いいとか何を伝えようとか、様々な事を考えて、何時間も考えた言葉。そして、一日で全て覚えて、告白に望んだ……だが、多くの言葉はいらなかった。相手に伝える言葉の数が、想いの数ではない。


 多くの言葉が居る人もいるだろう……だが、俺達には全く必要の無いのもだった。なぜなら〝約束エンゲージ〟を通じて、伝わってきたから。短い時間だけど。命を掛けて、共に戦ってきた日々があるから……。


「海人……」


 白雪は口を手で覆い、涙ぐんでいた。それは悲しい涙なのだろうか……いや、そんなはずない。俺達の想いは一つなんだから。


「俺は白雪の事が好きだ……ずっと一緒に居たい。戦争が終わってからも、ずっと白雪の隣に居たい」


 一言で、想いを伝える……偽ることが出来ない想い。今、胸にある願いを告げる。


「うん……私もっ!私もずっと海人の傍に居たい……居させてください!」


 涙を流しながら言う白雪に、俺は我慢出来ずに抱きしめる。小さくて柔らかな感触……電車の中以上に密着しているため、より白雪を感じ取ることが出来る。


「俺と付き合ってください」


「はい……!」


 白雪の返事を聞くと、小さな唇にそっとキスをした。


 ちょうど、観覧車は一番高い所を回っており、俺達二人は茜色の夕日に包まれながら何度もキスをする。

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