復讐
魔女というのは元来色々な言い伝えがあるが、詳しい説明など要らないだろう。皆が知ってる通り、魔法の箒に乗って空を飛んでいる愉快な魔女などではなく、黒いトンガリ帽子を被り、動物の頭や虫などを煮込んで怪しげな物を作ったり、超能力のような力で人間が害をだしたりする魔女の方だ。
童話などで出てくる魔女も不思議な力を使って悪さをする役が多い。魔女と聞いたら大半の人がこのような姿が想像されるだろう。
そして白雪の目の前に居る黒いローブを被った男もまた魔女なのだ。魔女と言う存在は女が多いが、一般的に知られていないだけであって、男の魔女だって存在する。魔女というのは昔から総じて厄介とされている。
召喚者である魔女は魔力を媒体にしてあらゆる自然現象を操ることが出来るとされている。白雪が飛ばされた時のように魔力を使い風を起したり、瞬時に氷を出したり炎を出したりなど色々なことが出来る。しかも、詠唱が必要ないためいつ、どこで何をされるのかが見当がつかない故、一回目の戦争ではもっとも厄介で、出会ったら逃げるのが最適と言われている存在だ。
前回勝者で願いを叶えたとされる二人はこの魔女を様々な方法で倒したとされているが、現段階の白雪にはそれは出来なかった。
「そうだ、私は魔女と言われる存在だ。だから言ったのだ。お前らでは勝てないと」
確かにもっとも厄介と言われている魔女ならば自信があって当たり前だ。あらゆる自然現象を操る魔女に大して普通の召喚者が太刀打ちできるはずがないのだから。しかし、そうだとわかっていても白雪は逃げることはせず戦うことにする。
願いを叶えるために自分の命など捨てると決めている白雪には関係なかった。ただ、いつから戦うことになるのだから今、逃げたところで何も変らない。いや、下手をするとさらに強くなって戦うことになってしまうかもしれない。魔女というだけでも厄介なのにそれ以上強くなられたら太刀打ちできなくなってしまう。
「なるほどね。だけど、勝負はまだ始まったばかりよ。諦めるには早すぎのわよね!」
白雪は周囲にあった雷を魔女目掛けて飛ばすと同時に動いた。正面から突破するには無理があるので雷をうまくコントロールしながらそれに意識が行くようにして背後に回る。魔女は自身の周囲にあった水で雷を防ぎ、半径十メートルほどに炎の柱が上がる。
背後に回っていた白雪は既に魔女に鎌が届く範囲に居たので炎に当たりそうになるが、瞬時に魔力を爆発されて雷鳴を迸らさせて炎を防ぐぎ、首軌道で鎌を振るったが、魔力で生み出した風に乗り、素早い動きで後退した。
だが、それは予想済みだった白雪は振るった鎌から雷を圧縮した玉を飛ばし、魔女に直撃した。しかし、前に戦った時のようにバリアを張り、無傷で佇む魔女に再び突撃した白雪。白雪は魔女より圧倒的に速度が速いため、雷の玉が直撃した直後には動きだして鎌とバリアが触れ合う。周囲にバチバチと雷鳴を出しながら力ずくで鎌を押し込む。
「前よりは重い一撃になったようだな。しかしその程度か」
鎌で対峙している白雪は魔女の目が光ったような気がした。その瞬間、攻撃をすぐにやめて右に避けた。魔女は地面から剣のように鋭く尖った岩を出して白雪に攻撃したのだった。
無理に避けたので着地に失敗した所を見逃すほど甘い存在ではない魔女は周囲に何本もの岩剣を出し、白雪に襲い掛かる。
「っ!」
何とか直撃は避けたが、腕から血が滲んできていた。しかし、その程度は怪我のうちに入らない。すぐに攻撃を仕掛けようとする白雪の目の前で炎の爆発が起こり、それに飲み込まれた。
『大丈夫か、白雪』
吹き飛ばされて工場に激突した白雪に声を掛けるロー。廃墟のようになっていた工場は衝撃に耐え切れなく、積み木のように崩れてしまった。
「大丈夫。けど強いわね……」
戦いは始まったばかりでまだ探り合いだといえ、白雪とて手を抜いている訳ではないし、手を抜いて戦える相手だとも思っていないが、突然現れる攻撃にどう対処すればいいかまだ良くわからないのだ。
「初めて戦うのが痛いわね」
白雪は過去に何度も実戦をしてきたが、魔女と戦ったのはこれが初めてだ。この戦争に魔女が出てくる可能性は考慮して色々読み漁ったりなどはしていたが、実際に交えてみるとシュミレーションなどまるで役に立たないことがわかった。
「本当にその程度か……よく勝てると思ったな」
魔女は本当に失望したように言う。白雪は全力を出していないが、魔女とて全力を出してない。そもそも、魔力で炎などを生み出しているだけで、武器自体を召喚していないのだから、実力は魔女の方が上だ。
しかし、白雪は第二次開放という技も残っている。そのことを考えると互角と考えてもいいはずだ。ただし、魔女が第二次開放を使えないことを前提としての話だが。
もし使えるとしたら白雪には勝ち目はない。
「うるさい!私はあなたを殺す!それまでは絶対に諦めない」
お母さんを殺されたことで心がボロボロになりながらも生き返らせることを諦めなかったように、私は諦めないことに慣れていると心の中で言う白雪。そのことには強い想いが宿っている。想いは召喚者に強い影響を与えるものとされている。もしそれが本当のことならば私にもなんらかの影響があるだろうと考えている白雪。
しかし、そんなものに期待するほど落ちぶれてなどはなく、勝手に降りてくる奇跡や力などはいらない。いつだって自分で戦って掴み取る。
雷を自身の周囲に集めて、白雪は魔女に向かった。魔女までは一秒も掛からないほどの速度で向かったにも関わらず、風に体を預けて右に避ける。魔女は白雪の動きや速度を完璧に見切っているようだった。
「お前は早いが、それでも俺にはお前の動きが見えているぞ」
その言葉を言った瞬間に、白雪の体が吹き飛ぶ。木に激突しそうになるが、空中で回転して木を強く蹴って再び魔女に向かった。地面から土壁が出てきたが鎌に魔力をこめて振るい、真っ二つにした白雪は高速で動きながら相手を翻弄させようと動きまわる。しかし、魔女の視線は白雪が動いた方向へと動いている。
「そこだ」
動く速度とタイミングを合わせて巨大な氷柱を出したが、鎌で粉々にして魔女に向かおうとした瞬間、粉々になった氷が空中で停止して白雪に襲い掛かった。周囲に雷鳴を放出して防いだが、そこには魔女の姿がなく、周囲を見渡した。
「こっちだ」
声が聞こえた方を振り向くと反対側から炎と雷が襲い掛かった。体を捻ることで何とか交わしたが、そこで攻撃は終わらずに石つぶてほどの石を風に乗せて攻撃してきた。
雷を放出することによって石つぶてを破壊して、強く地面を蹴り突進した。魔女には白雪の動きが完璧に見えている。しかも正面から攻撃などして当たるはずもない。ギリギリまで引き連れて風に乗って回避しようとした瞬間、白雪の全身から大量の雷が迸る。周囲十メートルは雷によって木や草を完全に焦がして燃え上がる。
しかし、魔力を一気に込めて風の勢いを強くするとこによってギリギリ回避した魔女は、余裕そうに周囲に燃え上がっている火を水を出して消す。その行動に白雪はイラっとしたが、すぐにその気持ちを消す。
そして再び思考を巡らせる。魔女と白雪の実力差は思っていた以上にある。雷鳴の力を借りて素早く動くことが武器の白雪にとって、自分の動きが完璧に見えている魔女は戦いにくい。それに雷を自由に操ることが出来ても、相手は炎や水、風に土といった他のものまで自由に操ることが出来る。普通に戦っても勝ち目はなさそうだと自覚した白雪は迷う。
今、第二次開放を使うかどうかを。使わないで戦うと勝ち目はないが、使っても勝てない可能性が高い。魔女が武器を召喚して、もし第二次開放まで使えるとしたら最悪の場合殺されるだろう。しかし、使わないと勝てる見込みはない。
「何を考えている?もしかして諦めるのか?魔術蒼石を素直に渡すなら殺さないでやろう。たいした脅威にはならないからな」
挑発するようにいう魔女、しかし本当にそう思っているように聞こえる。魔女からしたら接近しなけらば脅威にならない白雪は遊び相手のようなものだろう。しかも接近できても攻撃が当たらないのであればなお更だ。
『白雪、挑発には乗るな』
「わかってるわよ」
白雪とて数々の実戦をしてきて時には殺されかけたこともある。そんな挑発に乗るはずもないが、白雪自身も魔女が本当にそう思っていると理解している部分もあるので余計に冷静になれる。だが、冷静になったところで状況は変化しない。
「厄介ね……このまま戦い続けても負けるし、これといった手もないわ」
探り合いでわかったとこは多いが、一番理解出来たのは勝てる見込みが少ないということだった。それに話や本に書いていた通りに、急に炎などを出せること。後、白雪の動きは見えていること。それぐらいだ。
「逃げるのか?まぁ、逃がしはしないがな」
「逃げないわよ。言ったでしょ?殺すって」
逃げるつもりは全くないが、仮に逃げたところで逃げれないことは白雪も理解している。捕縛結界も魔女ならば気付くことは出来なくても、破ることは簡単に出来てしまうはずだ。
「だったら早く殺してみろよ」
水、雷を出して蛇のように動きながら白雪に迫ってくる。そして左右に分けて挟み込むように襲い掛かってくる。
それをギリギリまで引き寄せて地面を蹴り、魔女に向かった。水と雷はお互いに相殺し合って消滅し、魔女は目の前に居る白雪に向かって白い霜のようなものを飛ばした。今までのような炎などに比べて何もなさそうに感じた白雪は警戒しないで鎌を振るおうとした瞬間、地面を見た。そこは霜のようなものに触れて完璧に凍結していた。そこで魔女の目的に気付き、素早く動きて背後に回り、雷鳴を放出させながら鎌を振るったが、魔女は霜のようなものを消して魔女はバリアのようなもので防いで、白雪は直ぐに距離をとった。
「地面が凍結していることに気付き、回避したか……」
霜のようなものが触れた場所は凍りついていて、周りにある木が数本凍りついていた。もし、白雪が地面に気付かなければ今頃同じようになっていただろう。
白雪は小さく息を吐いて、相手を見据えた。先ほどは危なかったが、一つだけわかったことがあった。弱点になるかどうかはわからないが、魔女は魔法を使っている途中に魔法を使うことが出来ないように感じた。初めに出した炎が消えるまで他のは使えないようだ。同時に出せるようだが、連続では出せないのだ。
だが、自分の弱点をわかっている魔女はうまく隠しながら戦っているようで、大きな弱点にはならない。だが、それに加えて今まで育ててきた認識があるので、それをうまく使えば鎌に当たるかもしれないと考える白雪。それが、失敗になればもう第二次開放を使うほかない。
「あなたの動きな段々慣れてきたし、それそろ行くわよ」
腰を低くして鎌を肩に乗せるようにして構える。魔女は怪訝そうな顔をしていて、言葉の本質は取れていないようだった。
「何を言っている。それならこれでどうだ」
水、雷、炎、氷を同時に出す魔女。それが四方向から一気に襲い掛かる。上下しか逃げ場がない白雪が選んだのは雷が襲いかかってくる正面だった。
「なっ!」
上に逃げると考えていた魔女をありえない行動に驚きの声を上げた。しかし、驚くのはここではなく、この先の展開だった。後ろで他が相殺しあって消える音がしたが、雷は白雪とぶつかり、鎌の雷と同調した。いや、白雪が魔女の雷に自身の魔力を流し込み、糧にする。しかし、それだけでは何もかわない結論を出した魔女土壁を出そうとした瞬間、表情が固まる。魔力を使って土壁が出せないことに。
「な、なぜだ!」
もう一度やってみたが、結果は同じだった。それもそのはずだ。魔女の出した雷はまだ残っているのだから。
白雪は確かに魔女の雷に魔力を同調させて自身の糧に変えたが、完全に魔力を同調させてなかったのだ。ほんの少しだけ魔女の魔力を残し、発動状態にさせて、魔法を使わせないようにさせていたのだ。
確かに魔女はうまく隠して、自身の弱点を補うように魔法を使っていて弱点にはならないはずだった。だが、弱点など自分で作ればいいだけの話だ。今までだってそうしてきて今回で出来ないはずはなかった。
魔法を発動出来ない魔女は接近武器を使う白雪よりはるかに身体能力は劣る。人間よりは遥かに高いが、飛び道具的なものを使う召喚者で身体能力が自分より高い者など見たことがない白雪は、そのことを疑うことはなかった。
わずか一秒で魔女の懐に入った。魔法を使えない魔女には白雪の素早い速度がまるで見えていないようで、懐に気付いた時に驚いた表情をしていた。
鎌を強く握り、雷鳴を放出させて鎌を振るう。青白い雷が音を立てながら魔女のローブを燃やし、魔女は痛みのため「ぐっ!」と声を漏らす。そして、鎌が振った瞬間、転げるようにして右避け、鎌を回避する。しかし、回避されることも想定していた白雪は、振るった鎌の影響でクレーターが出来ている地面に強く鎌の先端をさして、それを軸にして、魔女が逃げた右に回転して腹を蹴り上げて、体操選手など比べ物にらないほどの速度で、鎌を軸に左に回転して蹴り上げた魔女を再び蹴り飛ばし、追加に鎌から圧縮した雷を魔女に向けて飛ばした。
空中で蹴り飛ばされている魔女に回避などできずに、木にぶつかり三本ほど貫通した辺りで止まり、地面に尻をついた瞬間、圧縮した雷が直撃して辺り一帯が吹き飛んだ。
「……とりあえず作戦成功ね」
『うむ』
ローも満足そうな声で答えて、白雪は少し笑顔になった。魔女もあれぐらいでは死なないだろうが、かなりダメージは食らったはずだ。だが、もう同じ作戦は通用しないだろう。
しかし、白雪はまだ通用するかわからない策がある。今まで育ててきた認識をつかった策が。
再び追撃することも出来たが、何もしない白雪。決して相手を舐めているからしないのではなく、最大限警戒しているからこそ何も出来ない。魔女はもう魔法を使うことが出来る。普通に近づいても先ほどまでと同じ展開になるだけだと理解しているからこそ近づけないのだ。
「うまく隠していたつもりだったが、気付かれていたようだな」
「さっき、私を凍結させようとした時に気が付いたのよ。あなた、霜を直ぐに消してバリアを使ったのと、バリアを使いながら他ので攻撃してこないんだろうって」
魔女はゆっくりと歩きながらこちらに向かってきた。先ほどまでの余裕な声ではなく、少し怒気を含んだ声。それに黒いローブは燃えてほとんどなく、男の顔が丸見えになっている。
「なるほどな……だが、次は通用しないぞ。それに俺は今イライラしている」
「それも知っている。さて、次はどうしようかしら……」
先ほどまでされていたように挑発的な言葉と笑みを魔女に向けた瞬間、地面から土の柱のようなものが十本ほど出てきた。それを華麗に回避しながら後ろに少しさがり、一気に鎌を振るうと、土柱が全て砕けて、魔女は再び土を出す。だが、またすぐに砕いた白雪は先ほどと同じぐらいの速度で魔女に正面から突っ込んだ。
しかし、魔力を使える魔女には白雪の姿が完璧に映っている。鎌を振る姿もなにもかもが。風に乗って回避した魔女は氷柱を十本ほど出して白雪に攻撃したが、それも鎌で全て砕いた。
先ほどまで一方的だった戦いが、今は均等に見える……が、それは魔女がそう見せているだけだった。
今までに砕いた土柱や氷柱の破片が白雪を囲むようにして浮き上がる。
なぜ、土柱の破片が残っているのに氷柱を出せたのか……などは簡単で、土柱の破片は先ほどまでは普通の石になっていて、魔力を込めていなかっただけなのだ。
「これを避けてみろよ」
白雪は土柱や氷柱の破片に強い魔力が込められたことを感じた。周囲に雷鳴を放出しても半分ほどしか落とせないだろう。確実に攻撃が当たってしまうのに白雪は余裕そうに笑ってこう言った。
「わかってるわよ。そんなの当たるわけないじゃない」
その言葉に魔女は視線を鋭くした瞬間、一斉に襲ってきた。周囲を囲うそうに襲ってくるので逃げ場はないと思われた。しかし、白雪は雷鳴を放出して氷柱の破片を全て落とし、魔女に向かって突撃した。なんとか、土柱の破片を回避した白雪はまた正面から魔女に向かうが、それでも魔女には白雪の動きが完璧に見えている。
先ほどまでとギリギリまで引き連れて、風に乗って回避しようとした瞬間、魔女の視界から白雪が消えた。完璧に捉えていたはずの相手が姿を消したことに驚きが隠せない魔女だったが、その驚きの顔は白雪の鎌によって痛みに歪んだ。
白雪の鎌は魔女に確実に捉えており、横腹辺りに直撃した。首を狙えば仕留めていたはずだが、この作戦にそんな無駄な動きは許されない。どこでもいいので最短で鎌が辺り位置にある横腹を狙うしかなかったのだ。
まるで風に流される紙袋のように飛ぶ魔女は何も見えていなかったので何もされたのか理解出来ないまま、工場の瓦礫に激突した。
横腹に激痛が走るのを感じながら立ち上がった魔女の前には挑発的な笑顔を向ける白雪が立っていた。
「何が起こったのか理解できないでしょ。でも簡単よ。思い込ませる認識を使ったのよ」
白雪がなぜ魔女と戦っている時、毎回接近戦に持ち込んで正面から突撃していたのだろう。雷を自由に操れる白雪は接近戦の方が得意とは言っても相手は自由に魔法を使って炎などを出す魔女だ。普通なら距離を置いて戦うだろうが、毎回同じスピードで突撃していた。それに動きが完璧に見切られていたにも関わらずだ。
それは相手にその速度が限界だと思い込ませるために白雪がしていたことだった。命を掛けた戦いで、しかも魔女相手に普通は全力に近い動きをするはずだ。しかし、正面から同じ速度で何度も突撃などしていたらその速度が限界と勘違いしてしまう。
白雪とて遅い速度で攻撃などしていなかったが、それでもずっと同じ速度を見ていた目は急に倍に近い速度で動かれると目は慣れていないので、白雪の姿が完璧に消えたように見えて、その隙を突いて攻撃したのだ。
それを魔女に説明すると怒気がこもった声で言った。
「ふざけやがって……魔術蒼石を渡したら見逃してやろうと考えていたが、もうやめだ。本気でお前を殺しにいく」
土壁を地面から出す魔女。それをバックステップで回避する白雪に合わせて足元に魔法陣が浮かびあがる。魔法陣はだんだん速度を上げて淡い光を放ちながら回転する。
「魔法召喚術式、魔法形成」
淡く光っていた魔法陣が強い光を放つ。掲げた手には白いシルエットには一本の剣が浮かびあがる。そして白雪はその剣を見た瞬間、金魚のように口をパクパクさせていた。その剣は見間違えることなどなく、白雪が幼い頃切られたことがある剣だった。
「召喚!」
強い魔力の波動と共に白いシルエットがなくなり、一本のレイピアのような剣が召喚された。その剣は幼い頃目の前で母親が殺された時に使われていた件だった。そして必然的にこの男……魔女が殺したことになる。
怒りのせいで歯軋りをしながらしかし、喜びの笑顔を浮べていた白雪。この魔女を殺せば魔術蒼石を手に入れられるだけではなく、長年目標にしてきた復讐も出来ることに喜びを感じていたのだった。
魔女は十年前に白雪の母親を殺した張本人だったのだ。
読んでくださってありがとうございます!今回で全部出そうとしていたのですが、自分が思っているより量が多くなってしまいそうだったのでやめておきました。
次回で海人の剣を出そうと思います。まぁ、気付いている人も居るかもしれませんが……




