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約束(エンゲージ)  作者: 千歳瑠璃
呪縛歌
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現実

目が見えないほどに輝いてた光は少しずつ晴れていく。夢を構築していた魔力は少しずつ弱くなり、もうすぐ魔法が解けるのだと理解出来る。


 俺は〝みんなが笑い合える世界〟という異常な世界を諦めないことに決めた。どんなに異常な世界であろうとこれが俺が望んだ世界だ。他の召喚者が異常な願いや死者蘇生を願いにしているのと同じく、これが俺自身が心から願った願い。


他の人に異常など想われても関係などなかった。自分が決めた道……願いなのだから前に進んでいくしか方法はない。人間をやめてまで叶えたいと願った夢を簡単に諦める訳にはいかない。


 それに、俺にはこの異常な世界を応援してくれる二人の大切な人が居るではないか。小さい頃からずっと隣に居る、幼馴染である凜奈や、〝約束エンゲージ〟を結んだ白雪。この二人が俺の夢を肯定してくれるのであれば、他の誰に何を言われようが関係なかったのだ。


 迷った自分が馬鹿だった。世界が壊れるなど大した問題でもないことを悩んだ自分が馬鹿だった。そして何より、二人が肯定してくれているという事実に気が付けなかった自分が馬鹿だった。


 異常な世界だというのなら俺が直せばいいだけの話し。世界が壊れるなどという小さな可能性など気にしている場合ではない。可能性など言っていたら何も出来ないし前には進めない。


 俺が今やることは一つしかない。願っている願いを叶えようとすることと、肯定してくれた二人と共にこれからも戦っていくことだ。そして、勝者となり、自分が願った世界で生きていくということを目指すだけだ。


「だったこれから本番だ……〝呪縛歌ナイトメアソング〟との直接戦闘になる……」


 願いを叶えるためには召喚者と戦闘し、魔術蒼石マテリアルブルーを手に入れる以外の方法は存在しない。夢の世界を抜け出した程度ではどうこうならない相手なのは、感じる魔力で理解出来る。


 俺が願いを叶えると決めた時点で、戦闘は避けれない。なぜなら〝呪縛歌〟にも叶えた願いがあり、戦争に参加し、攻撃をしかけてくるということは決して譲れない願いがあるということだからだ。


 譲れない物があるのに戦闘を避けるという行動は決してしないはずだ。絶対に叶えたい願いを叶えることに一歩近づくのだから戦わない理由がない。だが、それは俺達も同じだ。


 白雪は母親を蘇生させて、また一緒に暮らすという願いがあり、俺にも〝みんなが笑い合える世界〟を創るという願いが存在する。互いに譲れない願いがある中で戦闘は避けることは決して出来ない。


「だが、大丈夫だ。俺達は今までも勝利してきた」


 危ない場面も多く有りながら、こうして俺、白雪、凜奈は生きている。今回の戦闘も勝てる見込みなど皆無に等しいが、力を合わせて戦えば、勝利することが出来るはずだ。いや、勝利するのだ。


 そして、このまま三人で一緒に戦っていき、俺達は願いを叶える。俺にはこの未来しか見えていないし考えたくもない。


「俺達は三人で戦っていくんだ」


 〝呪縛歌〟がいくら強いとはいえ、一人で戦う敵に負けることなど絶対にありえない。


「俺達は今回も誰の犠牲も出さずに敵を倒す!」


 夢を構築していた魔力が消えていく中、俺の視界は少しずつ晴れていく。そして、今回も犠牲を出さないという決心をした俺は、目の前に居る〝呪縛歌〟の顔が一瞬だけ視界に入った。


 その顔は頬の筋肉が上がり、笑顔だった……。








************






 夢の世界から出た瞬間に、違和感を感じた。


 場所はイベントが行われていた同じ駅前なのに、夢の世界に行く前と何かが違うという違和感。だが、違和感の正体が魔法であるという可能性は極めて低いが、何かが違う。


 こんな違和感をずっと住んでいる町に抱くなど、ありえないことだ。別段変化した場所はないが、違和感だけは決して拭えない。周囲を見渡しても魔法陣すら浮びあがっていない。


 ここが現実ではないということは理解している。けれど、先ほどのように夢の世界ではなく、単純に召喚者以外は立ち入れない場所にしているのだろうが……それも魔術閉鎖空間イージスを展開できる俺達が違和感を覚える理由にはならない。


「う……一体……」


 声が聞こえた方向に目を向けると、白雪が倒れていた。俺と凜奈が夢の世界に行かされた時は近くに居なかったはずの白雪が、どうして傍に居るのかなど考えなくても理解出来る。


 巨大な魔力反応を感じて、飛んできたのだろう。これだけ近くに居るとなれば、夢の世界で、頭に響くような声が聞こえたのもなんとなくだが理解出来る。


「っ……海人……?」


 頭を押さえながらゆっくりと立ち上がる白雪。少しだけ眠そうな顔をしているので、白雪も何ならかの世界に行ったのだろうという予想だけは容易につく。


「ありがとうな白雪。すぐに駆けつけてくれたんだろ??」


 俺は白雪に近づき、そっと頭を撫でる。さらさらした銀髪は枝毛もなく、柔らかい。ずっと頭を撫でていた気分にさえなってくるほどにさわり午心地が最高だ。


「な……頭を撫でるな!」


 顔を真っ赤にして、そう言いながらも決して頭を撫でている手を払おうとしない辺り、素直で可愛らしい。普段、雷を纏いながら鎌を振るっている人物と同じとは思えない。その姿は紛れもなくただの女の子だ。


 少しだけ頭を撫でてから手をどけると、俺は周囲を見渡した。そこには誰も居らずに、ただ人が居ない駅前が広がっているだけだ。だが、先ほどからずっとある違和感だけはまるで正体がわからない。


「海人……何か可笑しいわ。なんだか理解は出来ないけど……可笑しいわ」


「白雪も感じていたか……」


 どうやらこの違和感を感じているのは俺だけではないようだった。俺だけならまだ勘違いかもしれないという考えに至るのだが、白雪も違和感を覚えているとなるとそれは勘違いではないはずだ。


 この駅前には何かがあるということだろう。


「間違いなく〝呪縛歌〟の何かだと思うから注意してね」


「ああ。勿論だ。何かあってからでは遅いからな……」


 命を掛けた戦いでは一度の失敗も許されない。やり直しの利く……次がある、は絶対に無いのだ。一つの失敗が命を落とす可能性がある中で、少しでも違和感があれば細心の注意を払うのがあたり前だ。


 RPGのように蘇生アイテムなど現実には存在しない。死んだ味方を蘇生させる魔法など存在しない。不可能を可能にするためには生きて、戦争の勝者になる以外の方法はない。


「そんなことよりも凜奈はどこに居るの??」


 白雪は駅を見渡すが、そこには凜奈の姿は見当たらない。それどころか、気配すらも感じられない。


「俺と同時に倒れて、夢の世界に行ったのは確実だと思う……突然現われた〝呪縛歌〟に眠らされた時は隣に居たから……」


「けど、今はどこにも居ない……」


「ああ……」


 ずっと違和感があるこの状況では心配になる。単純にまだ起きてきていない……可能性は確かに高いが、倒れた時は隣に居たのだから、まだ夢の世界に居るのだとすれば体だけは倒れているはずだ。


 だが、今は近くに居る気配すらも感じない。起きていないというのは少しだけ可笑しな話だ。


「何かとてつもなく嫌な予感がするわ……今までに経験したことがない事態になりそうな……」


 真剣な顔で言う白雪を見ながら俺は周囲を見渡す。だが、依然として凜奈を見つけることが出来ない。


「二手に分かれて探しましょう。気配が感じられないから居ない可能性が高いけど、無いもせずに待っているよりはマシなはずよ」


「ああ……その方がいいな」


 一応のために今居る場所を集合場所と決めて、凜奈を探すために動き出そうとした瞬間、馴染み深い気配を感じた。


「凜奈の気配!?」


 俺と白雪は気配する方に目を向けると、今まで居なかった場所に、倒れている凜奈の姿が現われた。駆けて近づくが、特に怪我などもしている様子もなく、一定に呼吸をしているため、単純に寝ているだけのようだ。


「良かった……」


 俺は安堵のため息を漏らす。だが、同じく駆け寄った白雪は先ほどよりも警戒している。急に姿が見えたためか、何か起こるのではないかと警戒しているのだろう。


「おい、凜奈?大丈夫か??」


 寝ている凜奈の方を軽く揺すると、ゆっくりと閉じていた瞼が開く。


「っ……?海人……??」


 目が少しだけ虚ろなので、まだ寝ぼけている状態なのだろう。けれど、俺のこともわかるようなので、とりあえずは大丈夫だろう。


「起きのね」


「うん……確か駅前で誰かの魔法で眠らされて……」


 凜奈の記憶はそこで途切れている様子だった。俺は夢の中での出来事も覚えているので、色々なことも把握しているが、どうやら凜奈は普通に眠らされていただけの様子だ。


 精神的な攻撃を受けたような魔力も感じられないので、覚えていないのではなく、そこまでしか知らないというのが正しいのだろう。


「ああ。〝呪縛歌〟に眠らされて居たんだ」


 知らないのであれば本当のことを言う必要もないだろう。それに、駅前で願いをことを話していたのに、夢の中で諦めようとしていたなど、あまり言いたくない。ただ、凜奈が応援してくれているという事実を自覚しただけで充分だ。


「そうなんだ……だから今、歌が聞こえるんだ……」


 凜奈は納得したように頷き、立ち上がる。だが、俺達は凜奈が言っている意味がよく分からなかった。


「歌??そんなの聞こえないわよ。海人は聞こえる?」


「いや、俺も聞こえない。さっきも言ったけど違和感は感じるが……」


 〝呪縛歌〟が展開したであろう世界には確かに違和感がある。それは白雪も感じているものなので、この違和感は確かな物なのだろう。だが、凜奈が聞こえると言っている歌は俺達には聞こえていない。


「どんな歌なんだ??」


「うーんと。歌って言うか、言葉が聞こえるの……聞こえた通りに口に出すね」


 そう言って、凜奈は目を閉じると、口を開く。


ーーーーーー全てを締め付ける者よ。私の望んだ物さへも締め付けるのか……。


ーーーーーー汝はいかにして私の物を締め付けるのか。私は汝に締め付けてなど頼んではいない。締め付ける者は私ではなく、他の者にしてください。


 凜奈は目を閉じたまま口を開く。その言葉の意味は全く理解出来ないが、なぜか危険な香りがする。そう、まるで〝呪縛歌〟が発していた言葉に似ているからだ。


ーーーーーー全てを締め付ける代償。それは私ではなく他の誰かに。私は呪われることなど一切しては居ない。汝はなぜに私を締め付ける。それは、呪いだったはずなのに……。


「凜奈……もういいわ。口を閉じて!なんだか物凄く嫌な予感がするわ!!」


 だが、目を閉じたままの凜奈は白雪の言葉が聞こえていないかのように言葉を発し続ける。


ーーーーーー呪い……それは私が受けるべき物ではないと、汝も理解しているだろう。しかし、いかなる理由で汝は私を呪うのか。なぜ、汝は人を呪うのか。


「おい、凜奈!やめろ!!俺達の声が聞こえないのか!?」


 俺は凜奈の肩を激しく揺すった。少し痛いかもしれないが、大声で叫んでいるにも関わらず反応がない凜奈を見ていると、これぐらいしなければ反応がないのではないかと思うからだ。


「っ……」


 激しく揺すったことにより、凜奈の口から理解出来ない言葉は止まり、凜奈はゆっくり目を開き……。


「人を呪うことは咎があることではない。人は人を呪う、恨むことなど多くあり、ありふれた出来事なのだから……けれど、どうして汝は私の呪うのか。汝に呪われることなど……私は咎がある行為など一切していないのに……」


 だが、言葉は進む。それは凜奈の口からではなく、第三者の口から言葉は進む。


「っ!!〝呪縛歌〟!!!!」


 駅前の中心から突如姿を現したのは、俺と凜奈を眠らせた召喚者……魔術蒼石マテリアルブルーを所持している戦争参加者である敵、〝呪縛歌〟だ。


魔女のような服を着て、宙に浮いている〝呪縛歌〟は、本を抱えている。そして、ページがめくれ、言葉が紡がれる。その声はまるで、駅前全てに響き渡るような声。だが、決して声が大きい訳ではなく、澄み渡った声で紡ぐ。


「汝に呪われるべき存在は私ではなく、目の前に居る存在。汝が恨む理由は汝の目の前に居る存在が呼吸をしているから。そして、汝は理解している。のろうべき存在を」


 言葉を紡がれる。先ほどから感じていた違和感は言葉が紡がれる事によって、さらに加速していく。だが、魔力は決して感じられない。だが、確実にこの世界には俺達が理解出来ていない何かが存在している。


 そして、それは大きな損害になるということも理解出来る。しかし、違和感という感覚でしか掴めていない実体に、行動を起すことなど今だに出来るわけもなく、警戒するほかない。


「海人!!準備はいい!?私達の願いを叶えるために殺すわよ!!!!」


 先に行動をしたのは白雪だった。白雪は声だけで合図をすると、〝呪縛歌〟に最短距離で突っ込む。手は上にかかげ、そこには光のシルエットが浮びあがっている。


「ああ。わかった!!」


 俺も少しだけ送れて白雪の後に続く。だが、〝呪縛歌〟はまるで焦る様子もなく、言葉を紡ぐ。


「理解しているなら呪え。私は汝の望みを叶える者ではない。汝は望みを叶えたいのだろう、恨みを晴らしたいのだろう。それらば、私ではなく、目の前に居る者を呪え。それが汝の救いになるだろう……」


 言い終わると同時に、抱えている本が光を放つ。危険を感じた俺と白雪は接近を諦め、動きを止めると同時に、距離を取る。白雪は召喚した〝三日月雷鎌ライトニングムーン〟を振るい、纏わせていた雷を放つ。


 しかし、回避する訳でもなく、光に弾き返される。俺は感じることが出来ないが、あの光には魔力が込められているのだろう。


「展開……起動。収束開放。汝の意味を理解せし者よ、全てを呪われろ」


 瞬間、足元には今まで無かった魔法陣が展開されており、見る限り駅前全土に展開されているように見える。まるで、あらかじめ魔法陣が展開されていたかのようにも感じる。


 回転する魔法陣の異常さには直ぐに気が付いた。けれど、魔法陣の存在に気が付いている今も、魔力を感じられない。本来であればこれほどの魔法陣を展開させるのであれば、大量の魔力を消費させるのだが、今回は全く魔力を感じないのだ。


「違和感の正体はこれか……」


 今まで感じていた違和感を今は感じられない。つまり、違和感の正体はこの魔法陣だったということだ。魔力は感じられないので、人とは違う他の部分で感覚として感じていたのだろう。そう、第六感という本来であれば持ち得ない感覚で。


「どうなってるの!?全く魔力を感じることが出来ない!それに、この規模の魔法陣じゃ、回避することも……」


 それはまさに感覚だった。誰かが指示をしてくれたかのように、頭の中に〝飛べ〟という言葉が流れてきた。それと同時に俺は飛び上がった。自分の感覚を信じて。


 隣を見ると白雪も飛び上がっていた。俺と同じように何かしら感じて飛び上がったのだろう。咄嗟に飛び上がったせいか、あまり跳躍出来ていないようだが、ビルの二階程度は飛んでいる。


「え?」


 だが、凜奈だけは飛び上がることが出来ていない。まだ、少しだけふら付いていることも理由にあると思うが、危険だ。


「ふっふふふふふふふふふ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 突如笑い出す〝呪縛歌〟に視線を向けると同時に巨大な魔力が放出される。英雄ジークフリードよりも巨大な魔力は、足元に展開されている魔法陣から放出されている。


「さすが〝魔女狩り〟と〝三日月雷鎌〟だな!!魔力を感じなくても感覚でこの呪いから逃れるか!!しかし、〝風斬円盤スカイエッジ〟はお前らのような才能も感覚も持っていない!だからこれを避けることが出来ない。だが、お前ら二人は初めから掛かるとは思っては居なかったが、一人だけでも充分だ。お前らに戦争の厳しさと、願いを叶える重さを教えてやる」


 飛び上がってからほんの一秒程度。空中では動くことが出来ない俺達は地面に着地するまで行動することが出来ない。だが、〝呪縛歌〟が待ってくれる訳などなく、魔法陣はより一層輝きをまし、停止する。


 そして、様々に展開されていた魔法陣は一つの場所で重なり、巨大な魔法陣に変貌する。魔法陣からは黒い鎖のような物が表れ、俺と凜奈には興味のないように凜奈の元に一直線に向かう。


「っ!!」


 危険を察知したであろう凜奈は地面を蹴り、移動をするが遅かった。既に〝呪縛歌〟の魔法に嵌っている。その程度の足掻きで逃げられるほど甘くは無い。


 伸びてきた鎖で足をつかまれ、凜奈の体を這うように上に上がる。そして、胸元辺りで停止した鎖は、一度だけ音がすると同時に驚愕の光景が目の前に浮かび上がった。


 血血血血血血血血血血血血血血血-------。まるで、全身を締め付けられたかのように、血が飛び散り、凜奈の周囲が血の海に変化する。そして、その血は紛れもない凜奈の血で……。


「凜奈……」


 あまりの理解出来ない光景に俺は名前を呼ぶ事しかできなかった。血に向けていた視線を、鎖に縛られた凜奈に向けると、そこには人と呼べるには無理がある姿の凜奈が居た。


 手が無かった。足が無かった。体に穴が空いていた。細かいところ言えば時間が掛かるほどに無惨な姿に変っていた。あの、幼馴染である俺すらも綺麗だと思うほどの姿はそこには無かった。


 ただ、首と胴体が、辛うじて繋がっているだけの……人形のような凜奈が鎖に縛られていたのだ。入れ替えている暇はなかった。つまり、あそこにある顔と胴体は凜奈本人のであるということを意味し……。


「一体どうなって……」


 白雪も何が起こったのか理解出来ない様子だった。ただ、鎖に縛られているのが凜奈だということだけは理解しているようだった。しかし、それ以外に理解が出来ない。どうしてそのような姿になったのかさえも理解出来ないのだ。


「お前達はこれまで……魔術蒼石マテリアルブルーを集まるために召喚者を殺してきただろ?ということは、こういう展開も予想はしていたはずだ。覚悟はしていたはずだ。自分達も殺されるかもしれないという覚悟を」


 確かにしていた。していたが……。


「まさか、自分達は大丈夫だとか夢みたいなことを思っていたのか??自分達は殺したのに?自分の身近な存在は殺されないとかいう夢みたい……馬鹿みたいなことを思っていたのか?」


 そうなこと一切思ってはいなかった。だが、瞳に映る光景があまりにも理解出来なくて……けれど、理解出来ることが一つだけあって……。


「これが現実だ。自分達だけなんてありえない。殺したのだから殺される」


 いつも隣に居てくれた幼馴染の凜奈は死んだということは理解出来た。


「さぁ、お前達も同じ場所に送ってやる」


 巨大な魔法陣が消滅すると同時に鎖も消滅し、凜奈の体は地面に叩きつけられる。さらに血を飛び散りさせながら。


「凜奈!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 それと同時に俺は、地面を強く蹴った。


 


 


 


 


 


 

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