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約束(エンゲージ)  作者: 千歳瑠璃
呪縛歌
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 いつも通りの朝を迎える。俺は目覚ましを止めてベットから体を起し、閉じているカーテンを開けた。


 今日は昨日とは違い、雲ひとつ無い快晴の青空で、昨日降った大雨は嘘のようで、まだ五月だというのに夏のような暑さだ。汗の雫が頬に流れる感覚がむず痒くて俺は汗を拭った。


 少しシャワーを浴びたい気分だったが、今日も学園があるため、断念する。風呂場にあるタオルで体の汗を拭い、俺は学園に行く準備を始める。


 俺と凜奈が二年生に進級してから一ヶ月が経過した。季節は四月から五月に移り代わり、一ヶ月前よりも少しだけ暑くなり、夏が近づいてきているということが分かる。


 凜奈と同じクラスになった俺だが、特別変った出来事もなく、一年の時と同じような距離間で学園生活を満喫している。クラス替えにより、今まで知らなかった人との交流も増え、人気のある凜奈は女友達と一緒に居ることが多い。


 俺はといえば、一年の時に同じクラスだった奴と話すことが多く、新しくクラスになった生徒とはあまり会話をしていない。だが、凜奈の好きなタイプや好きな物などは多く聞かれる。


 本人に直接聞けばいいのにとも思うのだが、容姿も性格もいい凜奈が人気があるのは仕方ないことで、周囲に敵がたくさん居るので幼馴染の俺に凜奈のことを聞きにくるのだろう。


 だが、俺と凜奈が幼馴染だということはほとんどの生徒が知っている事実なので、そういった質問は良く来るため、あまり効果はないように思われるのは秘密だ。


「よし、顔も洗ったし、後は凜奈を待つだけ……」


 凜奈に言われた通りに前日に準備をしている俺は特に準備するものがないため早く終わる。顔を洗ったり寝癖を直したりなど身だしなみのことばかりだ。


 少し早く目覚ましを設定している俺は準備をすることがないため、凜奈が来るまでテレビを見て過ごすことに決めた。


 ダンボール机の前に座り、リモコンでテレビを付けるとニュースが報道されていた。内容は喜ばしい物で、有名なスポーツ選手が世界の大会でメダルを獲得したという内容だった。


 大会が行われる前にメダルを取ると宣言していたこをを実行したということだ。それも世界で一位という金メダルで、世界大会を勝ち抜いたのである。


「日本の大会でもいい成績のこしてからなーーー」


 時々見るニュースで知識として持っている。今のスポーツ報道では一番大きく取り上げられていたことなので、大半の人は知っているだろう。


 スポーツ報道は終わり、画面が移り変る。先ほどは喜ばしいニュースだったにも関わらず、今度は殺人事件のようだ。たくさんの警察がテレビ画面に映っている。


『午前、4時頃に遺体が発見されました……遺体は死後数日経過しています。近所の方が、悪臭がするという連絡があり、部屋を開けてみたところ、遺体が発見されました』


 遺体が発見された場所は俺が住んでいる街からはかなり離れている場所だった。電車やバスを乗り継いで行かなければ行けない場所で、森や川に囲まれ、自然が多い場所。


 秋や春になると綺麗な自然を見に来る人が大勢居る場所。そんな自然が多く存在する場所で、小さな女の子……八歳の女の子が何者かに殺害されていたと報道している。


『お腹の部分に刃物のような切り口があるため、警察は殺人事件として捜査を進めていくようです』


 ニュースキャスターは満面の笑みで報道している。小さな女の子が殺されたニュースはたとえ、その女の子のことは他人である俺でも悲しくなってくる。き

っとニュースキャスターも同じだろう。


 今の日本は毎日のように殺人が起きる。朝、ニュースをつけると高確率で殺人のニュースや良くない報道がされていることが多数ある。そのつど、笑顔で操作する警察官はとても大変だろうと考えていると、呼び鈴が鳴り響き、テレビを消すと同時に玄関に向かう。


「今あけるからーー」


 朝から呼び鈴を鳴らして俺の部屋に来るのは凜奈以外に居ないと過信していた俺は、スコープを覗かずに鍵を外し、ドビラをあけた。


「……誰だ」


 目の前に居たのは可愛い幼馴染ではなく、ローブをかぶった人だった。黒いローブで全身を包んでいるため、顔や性別は変らない。ただ、全身から漂う空気から普通の人ではないということだけは理解出来る。


 もっと……人間の上の存在。人間と比べるにはあまりにも高い壁がある存在。俺にはそんな風に感じられる。


「お前は一体誰だ?」


 俺は強気な態度で出る。もちろん、相手から出ている空気で体が動かなく、恐怖を覚えているのを相手に察知されないためだ。


「そんなに恐怖を覚えなくても問題ない。私はお前に何かをするつもりでここに来た訳ではない。今はまだ何もしない」


 普通の人間である俺から見て異質な存在であるローブは、そんな俺ことなど当然理解している。この相手には何を隠しても、何をしても通用しないと……普通であればありえないと理解していながらも、頭では納得している状態。


 まるで、俺はこの存在を詳しく知っているかのような錯覚に陥る。さっきまで、普通の人間として暮らしていた俺が、こんな異質な存在を知っている訳ないと理解していながらも、納得できない。まるで、数学の式が間違っているが、答えだけは正解している可笑しな感覚だ。


「……まだ気が付かないか……姿を見せて尚、世界の異常性に気が付かない。まぁ、それほどこの異常な世界を望んでいたということになるが……まぁ、いいだろう。実際に目の前で体験しなければ理解出来ないか」


「何を言って……」


 ローブが言っている意味が理解出来ない。この世界の異常性?なんだそれは。決して長くはないが短くもない十七年という月日を生きてきた俺だが、この世界が可笑しいなど思ったことはない。


 いや、もしかすると十七年生きてきたから異常性というものに気が付かない可能性が存在する。生まれた時からずっと同じ環境に触れていれば人間というのは適応する。


 そもそも、自分の認識している世界と人が認識している世界とは大きな違いが存在するかもしれない。なんだって、人が世界をどう感じているかなんてその人本人しか理解出来ないもので、他人がどうこう口にする物ではないからだ。


 人それぞれに違う考え方や感性が存在するように見えている世界もまた別。過去に天才と言われた偉人たちはきっと俺達のような凡人とは見えている世界が違ったのだろう。


 その人しか見えない世界。認識しているものが違う。常識なんて後からいくらでもついてくる。しかし、見えている世界にはきっと大きな違うが存在するよういに俺が見ている世界とローブが見ている世界はきっと全くの別物。


 俺はこの世界に異常性を感じない。けれど目の前にいるローブは異常だと言っている。それはきっと俺には理解出来ない見え方があるのだろう。


「初めて接触したこの日。きっと今までの一ヶ月より楽しい日になりそうだ……」


 当然のように俺の考えを読んだであろうローブが、小さく笑ったような錯覚に襲われた瞬間、ローブは姿を消した。


「あれ?トビラ開けてどうしたの??」


 声が聞こえた方を向くと、そこには笑顔でお弁当を抱えている凜奈の姿があった。






*************************







 凜奈が持ってきたお弁当を食べ終わると、俺達は学園に向かった。入学当初からずっと待ち合わせ場所にしている学園のシンボルである巨大な木で合流してから一緒に向かう。


 いつも通りの時間。入学した時や二年生に進級した時からずっと同じ時間に登校している俺達はいつもと変らない風景を見ながら登校した。特に面白い会話などもなく、ほとんど無言に近い状態。けれど、不思議と嫌な空気ではなく、どこか落ち着く空気。


 これが俺達二人の距離だと俺も凜奈も理解している。互いに小さい頃からずっと一緒に居る存在。近くに居るからこそ見つけることが出来る癖や相手のいい所……そして距離間。


 恋人に間違われるということが起きるのはたぶんそれが原因ではないかと思っているが。これが二人の距離なのだから仕方ない。十年間以上もずっと同じであることを変えることなど今更出来ない。


 癖などを変えることが出来ないようにたぶんこれからずっと変えることが出来ないであろう距離間。俺はこの距離間をずっと大切にしていきたいとなぜだか理解出来ないが思っていた。


「海人??学園着いたよ?」


 俺は自分が今いる場所を確認した。場所は学園の前で、考え事をしていたために到着していることに気が付かなかったようだ。


「どうかしたの??うわの空だったような気がしたけど……」


 ほとんど無言だったにも関わらず、相手のことが分かる存在。たぶんだが、これ以上の存在が現われることはそう無いだろうと思う。


「特に何もないよ。それより教室に行こうか」


「そうだね。まだ遅刻しない時間だけど、早めに行っておいて損はないしね」


 俺達は上履きに履き替えて、同じ教室に向かう。初めは一年の時から教室の位置が分かったので違和感が少しだけ存在したが、今ではそれにも慣れて、足が勝手に教室へと向かわせてくれる。


 見慣れた廊下。しかし入学当初は中学校とまるで違う風景に新鮮さを覚えていた。他にも巨大な木や、トイレの綺麗さ、屋上の存在など、数えるとキリがないほど新鮮さを覚えていたにも関わらず今では普通になっている。


 一年の初めは良く屋上に足を運んでいたが、今ではほとんど行かなくなった。たまに屋上でお弁当を食べたりすることがあるが、ここ何ヶ月は屋上に行かなくなったり、綺麗だと思っていたトイレは今ではたまに汚いと思うようになった。


 今では何もかもが普通で見慣れた光景。一年と少しという短い時間の中でも新鮮さというのは失われていく。それは仕方ないことで、人間なれだれでも体験することだろう。見慣れた風景……毎日のように見ている風景だからこそ、普通に変っていく。二人で教室まで行く廊下は全てが普通だった。


 だが、それは突然普通ではなくなる。だが、新鮮さというのとは全く違うもので、それは一言で言えば異常……いや、恐怖とい言えばいいのだろう。俺がその場で見た光景はまさしく異常で、恐怖に満ちたものだった。


「きゃぁ!!!!!!!!!!!!」


 二年生の教室があるのは三階なため、凜奈と並んで階段を上っている時に悲鳴が聞こえた。


「一体なんだ??」


 女の子は良く、カッコイイ人などを見たりすると甘い声を上げたりするが、それとは違う声。恐怖と狂気を浴びたような声が学園に響き渡ったのだ。


「とりあえず行ってみようよ。たぶん、三階からだと思うし……」


 俺達は早歩きで階段を上り、声がした方向に向かうと、そこには人だかりが出来ていた。制服から見るに三階に教室がある二年生だろう。同じ年の生徒が大勢廊下に集まってきていたのだ。


 普段はほとんどの生徒が教室でHRが始まるのを待機している時間にも関わらず大勢居ることと、先ほどの異常な叫び声を考えると相当なことが起こっていると考える方がいいだろう。


 俺達も生徒の集団に混じると同時に固まった。そこで見た光景は普通の学園では見ることの出来ない風景だったからだ。


 大勢の生徒の中心には一人の女の子が倒れていた。そして、野球部から持ってきたのか自分の家から持ってきたのかは分からないが、金属バットを右手に抱えている男。そして、バットには大量の血が付いており、男にも返り血が大量に掛かっている。


 廊下に倒れている女の子を見ると、制服からして一年生だった。そして、倒れている女の子からは男が浴びている血よりも何十倍もの血が流れていた。


 あまりの光景に俺は動くことも出来ずに、言葉を発することも出来なかった。生徒の集団が固まっているのも理解出来る。こんな光景、ニュースなどでしかしらずに実際に見ることは初めてのはずだからだ。


 だれもが非日常的な光景を見て固まっているのは仕方ないだろう。俺と凜奈が階段を歩いている時に聞いた、恐怖と狂気が混じったような叫び声の理由が理解出来た。見た光景が異常だからあのような叫び声を上げることが出来たのだろう。


「おい!ふざけるなよ!!お前……おい!!」


 金属バットを持っていた男が再びバットを振り上げる。そして、廊下に倒れている女の子の頭に直撃し、大量の血が飛び散り、頭の形が変る。


「はっは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 男は何度も何度もバットを振りかかぶり、女の子を殴る。何度も何度も何度も……そして、回数が二桁に突破した辺りで、男は振り上げるのをやめる。疲れたのかどうかは理解出来ないが、バットを手から離し……集まっている大勢の生徒の方を見て、口を斜めにして不気味に笑う。


 そして、それを境に大声を上げて大笑いする。まるで、この状況が世界で一番楽しいかのように大声を上げて笑う。下手をすると学園全土までに聞こえるではないかというぐらいの声で笑う。


 この男は誰から見ても異常だった。そして、顔を良くみるとそいつは、今のクラスメイトだった。


「一体どうなってやがる……どうしてあいつが……」


 まだ、クラスメイトになってから一ヶ月程度しか経過していないが、そいつがどんな奴程度かは知っている。


 いつも静かで一人で本を読み、お弁当なども一人で食べている静かな奴。あまり友達なども多いイメージはなかったが、それでも頭が良く、頼られる一面も何度も見たことがある。


 俺の中ではこんな異常なことをする奴には見えなかった。仮に嫌なことがあっても誰にも相談せずに一人で解決しようとする奴に見えていた。


 そこで俺は一ヶ月前にクラスメイトが話していた話を思い出す。大人しい奴が凶変して暴力を振るったという事件。あれからそういった話は一切聞かなくなっていたので終わったのかと思っていたが……今発生しているのはまさしくそれではないだろうか。


「おい……凜奈。これってーーーーー」


 そこで隣に居た凜奈の顔を見て恐怖を覚えた。なんと凜奈はバットを振りかぶっていた男のような顔で笑っていたのだ。


「おい、凜奈。一体どうしたんだ……」


 俺は始め、この異常で非日常的な光景を見て、凜奈が可笑しくなったのではないかと思った。ここに居る全員が間違いなく始めてみる光景を見て、心の方が壊れたのではないかと。普通の考えを持っている人は真っ先に思うだろう。


 この光景を見て、笑っていることの異常性を。


「おい……誰か!凜奈がーーーーーー」


 可笑しくなった、と口にしようとすると同時に周囲を見渡すと、そこには異常な光景が映っていた。なんと、そこに居る全員が凜奈同様に笑みを浮かべているのだ。みんな、何か楽しいことが起きているかのように。


「こいつら……どうしてこんな異常な光景を見て笑みを浮かべることが出来るんだ???」


 その言葉を発すると同時に、俺は全て気が付く。今までずっとこの世界が可笑しかったことに。


 今日、朝ニュースで殺人事件が報道されている時に、ニュースキャスターが笑顔だったこと。そして、悲しい事件を捜査しているはずの警察も、楽しいことをしているかのように笑顔だったこと。あの時は全く異常性など感じなかったのに今になって気が付く。


「なんだ……ここはどこだ??どうして俺はこんな異常な世界に居る……」


 今になって思うが、この世界はみんなが笑顔だった。怒っている時だけではなく嫌なことがあった時も笑顔。そして、悲しい事件の時や、今のような異常な光景。その全てをまるで楽しい出来事のように見ている。笑顔で。


 朝、部屋に来たローブが言っていた通り……この世界は異常だったのだ。誰もがどんな時も笑顔で居る。そんな世界まさしく異常以外他ならない。


「そうだ。異常だ。だが、これはお前が望んでいる世界だろ???〝魔女狩り〟よ」


 朝聞いた声が後ろから聞こえ、振り返るとそこは廊下ではなかった。大勢居た生徒は幻のように消え、ローブと何もない世界に二人で居るような感覚に襲われる場所。


 そこは周りに何もなく、ただ、暗闇が広がっている。だが、灯りなどは一つも存在しないにも関わらず、目の前に居るローブの存在だけははっきりと見えるのだ。


「俺は望んだ……」


「そうだ。戦争という願いを叶える戦いで、勝者となれば叶えたいと思っているお前の願いだ。そして、ここはその願いが体現された異常しかない世界だ」


 ここで俺は思い出す。俺が召喚者という存在で、人間ではなということを。そして、俺は勝者なればこの世界を望むということ。全てを思い出した。


「どうだ??お前が望む世界。命を掛けてまで叶えようとしている世界は地獄だ」


 ローブを脱ぐとそこには一人の老婆が立っていた。そして、この老婆が駅前で聞こえた声の持ち主だということを思い出す。


「お前……現実世界で事件を起した召喚者か……」


「そうだ。私は〝呪縛歌ナイトメアソング〟だ。知っていると思うが、歌で発動する魔法を使う」


 こうして敵である俺に発動魔法を教えるということはそれだけ自信があるということだろう。弱いとしても全ての魔力を斬ることが出来る〝魔女狩り〟に教えたのだから。


「それで?どうだったこの世界は??お前が望んだ異常な世界。ここで見せたのは全て現実に起きることだ。もし、お前が勝者になり、〝みんなが笑顔で居られる世界〟を望めば起きることだ」


「あの、大人しい奴は凶変して人を襲うこともか??」


「あたり前だ。お前が望んだ世界では、何事も楽しいという感情以外全て排除された世界だ。そして、人というのは楽しいと感じていてもストレスを感じることなど多々ある。それが、爆発したのがあの現状。ストレスが爆発した状態だ」


「……、」


「さらにこの世界では全てが許される。なんせ、楽しい以外の感情が無いのだからな。言葉では色々言うかもしれないが、誰一人として罪を攻めることもないが、そこは犯罪の無法地帯だ。なぜなら本人がしたくないことまでも、楽しいという感情で縛られるのだからストレスを感じない訳がない。本人には自覚が無くても心のどこかでストレスを感じているのだ」


 まさに無自覚。楽しいという感情以外は心に存在しないがために起こるストレス。人間というには嫌なことを楽しいことストレスを解消する。音楽を聴いたり体を動かしたりなどストレス解消方は人様々だろう。


 だが、俺が望んだ世界では本人がしたくないことまでも全て楽しいと感じる世界。楽しいことで解消できるはずのストレスが解消できない。無意識ではやりたくないと感じていることを楽しいという感情で潰されている状態なのだから。


 そして、全て楽しいと感じることで溜まるストレスが、発散できない。そして、ストレスが爆発して学園で起きたような事件が起こる。だが、それすらも楽しいと感じてしまうので、本人も善悪の区別がつけられなくなり、見ている周りも楽しいがために誰も止めない。


そして、人は死んだりすることすらも楽しいと感じてしまう世界だからこそ、誰も罪に問われることがない無法地帯になってしまう。


「ストレスが爆発した場合をお前は目の前で見ただろう?お前が望んだ世界はああいう世界だ。お前が見たのは学園という小さい中での異常だが、あれが世界規模になるのが戦争の勝者の特権。下手をすると世界丸々が壊れてしまう可能性がお前の願いにはあるのだ」


 仮に、例えるならストレスが溜まり、核爆弾などを乱射してしまう事件があるとしよう。その時点で終わりだ。周囲の人々は爆発で死に、生き残った人も放射線である病気や、大量の核爆発の影響で覆われや太陽。そんな世界で人は生きていけない。すぐに人類は滅亡する可能性がある。


 仮に、仮に、仮に……実際起こる可能性が極めて低い事件でも、俺は望む世界では起こる可能性があるのだ。俺のようなたった一人の人のせいで、人類七十億人が滅亡する可能性があるのだ。


「それでもお前は……戦争の勝者になり、〝みんなが笑顔で居られる世界〟を望むか??」


 その問いかけは、人類を滅ぼす可能性があるが、お前は自分の願いを叶えるために、七十億人の人を殺すことが出来るのか??という問いかけに等しく……。


「俺は……」


 そんなの選択肢は二択だが一つのような物だ。


 



 

 


 



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