表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
約束(エンゲージ)  作者: 千歳瑠璃
炎氷舞
48/107

炎の虫

 ホテルに着いた俺達は荷物を持って部屋に向かう。さすがに今回ばかりは白雪と凜奈と分かれて、クラスメイトの男子と同じ部屋に向かう。


 部屋は四人ずつで、広々とした中に外から見える景色。外装から漂っていた高級感は中までしっかりしていて、期待を裏切らなく、クラスメイトの三人は部屋の中を物色している。


 俺は自分が管理しやすい場所に荷物を置いて、鞄からこれから必要になる物だけを取り出す。北海道旅行と言っても学園側の主催なので、基本的には学園側が行く場所を決めて、生徒はそれに従うことになっている。


 だが、学園側もそれでは生徒に不満が溜まるのを理解していて、適度な自由時間を作ったり、最終日には好きな者同士で小樽観光が出来て、お土産なども買えるようになっている。


 俺は外の風景を見る。そこには北海道の広い大地が見え、様々な建物や、山などが見える。普段住んでいる町では見ることがない風景にも関わらず、物凄く既知感を覚える。


 初めて来た土地にも関わらず、つい最近来たことがあるような感覚……それは間違いなく俺達が何度か世界を繰り返している証だろう。繰り返される世界の中で着たことが無い場所なのに着たことがある感覚を覚えているのだ。


 第三次開放トリプルアクセスは自分が望んだ世界を渇望する。それは自分がどんな世界に居たいか、自分がどの様な存在になりたいかという物を心の底から望んでいる物を世界に表す技で、ループをさせる技ではないとサクは言っていた。


 けれど実際にこの世界はループしている。していなければ俺達召喚者三人だけではなく無関係なクラスメイト全員が死んでいるはずだからだ。人間であるクラスメイトは覚えてないようだが、俺達は殺されたという事実を覚えている。


煉獄の世界では全ては溶けて消えていった。それは俺達召喚者も同じで、何も出来ないまま死んで行った。しかし、煉獄で死んだはずの俺達はこうやって生きている。


 理由は全く理解出来ないし、殺そうとすればいつでも殺せることが出来る力の差があるにも関わらず、俺達はこれで三度目の世界に居る。圧倒的力を持っているだろう相手が何を考えているのかまるで検討を着かない。


「海人。もう行くぞ?」


 窓の外を見て考え事をしているとクラスメイトが呼ぶ声が聞こえたので振り返ると、物色していた三人は既に荷物を置いて、必要な物だけを持って行く準備が出来ている。


 俺は部屋についている時計に目を向けると、学園が指定した集合時間までもう少しでなりそうだった。気付かないうちにかなり時間が経過していたようだった。


「ああ。分かった」


 クラスメイトと共に部屋を出て、バスに向かう。そこで担任である長井先生に点呼をしてもらいバスに乗り込む。


 バスの中で中で渡されたのはこれからの予定表だった。表紙には〝北海道旅行のしおり〟とボールペンで書いてあり、手抜き間が否めないが、急遽決まった旅行で明確な予定が出来ただけでもすごいが。


 教室で教えて貰った時は小樽でしか大きな自由時間が無いという情報だけだったので、しおりがあればかなり楽に行動出来るはずだ。


 他のクラスメイトと自由時間を過ごす場所をずらせば、この世界について調べることが出来るかもしれない。その点に関してはしおりは重大な役目を補うことが出来る。


 バスの隣には白雪が座り、そしてバスは動き始める。


 俺と白雪は周囲に警戒して、常に外の風景を見ている白雪と魔力を感じることに徹する俺でわかれる。今まで二度死んだ俺達は死んだ経験からバスの中に居る時に第三次開放トリプルアクセスの世界に入ることが多いことが判明している。なので、バスに乗っている時が一番警戒していた方がいいので、俺と白雪は警戒しているのだ。


 空港からホテルに行く間に二回死んでいる俺達だが、三回目はなぜだかホテルに辿りつけた。その事実から考えるに今乗っているバス移動の時に何らかの行動がある確立が高い。


 何か世界について知れることがあるかもしれないという期待感もあるが、何もない無いことに越したことはない。警戒していればもしかすると一度目、二度目には出来なかったことも出来るかもしれないが……。


「白雪、何か可笑しなところあるか?」


 外を向いていた白雪は顔をこっちに向けないまま、


「特に何もないわ……海人の方は?」


「俺の方も特に無いもない……まぁ、気付かないだけかもしれないけど」


 相手は英雄ジークフリードよりも遥かに格上。英雄の魔力自体感じ取れなかった俺が、第三次開放トリプルアクセスという召喚者で最も高みに上った存在いである者。気が付かない可能性の方が遥かに高い。


『それは仕方ないだろう……相棒でも気が付かない魔力なら第三次解放を使える者にしか気が付かないはずだ。だから気にすることはない』


『ああ。気にしても仕方が無い。俺が未熟なだけだから……』


 心の中で話しかけてくるサクに返事をして再び警戒心を強める。気が付かない可能性が高いとはいえ、もしかすると気が付く可能性もあるかもしれないので、その希望にかける。


それからしばらくバスは走るが全く異常はなく、バスの中はただの旅行気分だった。


 俺達はずっと警戒していたにも関わらず、バスは目的地に到着して、順番に降りた。







************







バスを降りるとそこは山に囲まれた小さな駐車場だった。地面はコンクリートではなく小さな石は転がっている駐車場で、前には下に下っていける道がある。


 緑に囲まれた場所は心が落ち着き、少しだけ警戒を弱める。元の北海道通りに少し肌寒い風が肌を刺す中で、山に囲まれた場所というだけで余計に寒く感じる。


 全員がバスから降りると遠くに見えるドーム型の施設に向かうということらしいので、俺達は通行人などの邪魔にならないように二列になり、話ながら施設に向かう。ドーム型の施設までは草道を通り、その道を通る時には綺麗な川の流れが聞こえてくる。


「一体ここで何をやるの?」


「さぁ……」


 白雪の問いに俺は首を傾げる。バスの中ではずっと警戒していて配られた〝北海道旅行のしおり〟には全く目を通して居らず、ここがどこなのか?など今から何をするのか?と言った情報は一切持っていない。


「何言ってるの?今からするのはラフティングだよ?」


 友達と居た凜奈がいつの間にか横に居た。片手にはしおりも持っており、俺達の会話を聞いてしおりを鞄から出してくれたようだった。


「ラフティングか……」


 ラフティングというのは直接的に言えば川くだりだ。流れがきつい水流などでゴムボートに数人で乗り、急な流れをゴムボートに乗りながら楽しむといった物で、日本の中でもラフティングが出来る川を多い。


「川を下るのは知ってるけど……面白いのそれ?」


「さぁ……正直やったことないからわからん。けど、面白そうだけどな」


 流れが強い所をゴムボートで流れるので、ジェットコースターとかと同じではなく、自然の水の流れを楽しみというラフティングは、動きが予想静ライのではないだろうか。予想出来ないジェットコースターと考えると面白そうな気がする。


「まぁ、別にいいけど……」


「今からやるんだから直ぐに分かるよ」


「そうんだな……やってみれば面白いかするにわかるし」


 水の流れる音が聞こえる草道を五分ほど歩くと、周囲が山に囲まれた草原が姿を見せ、その草原の中にドーム型の施設がそびえたっている。あそこでラフティングの準備をするだろう。


 施説の中に入るとそこにはゴムボートなどが壁に飾られていたり、小さな食堂のような物があったりと、ラフティングをする専用の施設のようなつくりになっている。見た目と違って中身はさほど大きくないが、ラフティングをする専用ならば十分だろう。


 俺達は食堂のような場所で、インストラクターの召喚と、ラフティングについての簡単な説明。さらに諸注意などをされて、十分ほどで話しが終わり、ラフティング専用の服を借りる。


 その服は小さめに作られており、中に水を入れないような構造になっている。水泳選手の水着のような肌に吸い付くような感覚をずっと感じ、それに動きにくいが濡れないようにという理由があるので仕方ない。


 全員は服を着終わると、ドーム型の施設までの道のりを動きづらい服で歩き、バスが止まって居る場所まで来る。そして、初めに見えていた下に下りていく道を降りうとそこには綺麗な川があった。


 水の流れる音が心地よく、イライラしていれば心が落ち着くであろう音。川のほとりに一旦集合して、近くに用意してあるゴムボートに数人乗り、一つのゴムボートにインストラクターが一人付くといった感じの乗り込む。


 ゴムボートに乗るメンバーはしおりに書いてあるようなので、しおりを見て乗り込んだ。全員がクラスメイトなのでメンバーはどうでもいいが、初めてするラフティングは楽しみで仕方がなかった。


「それじゃ!行くぞ!!」


 インストラクターが持っているオールを上に掲げて言う。それに合わせて俺達も各自一つ持っているオールを掲げて、


「おー!!」


 その掛け声と共に岸からゴムボートを離し、川の流れに任せて進む。


 初めはゆっくりと落ち着いた感じで進むゴムボートだが、たまに急に下ったりする場所や一気に速度が上がったりする場所などがあり、そのいう場所になるとクラスメイト達が一斉に悲鳴を上げたり、ボード同士が接触したりするとオールで水をかける指令が出たりと、盛り上がる。


 前日に雨が降ったらしいので水の速度が速く、運が良かったというインストラクターの言う通り、ゆっくりだった川はだんだん速度を上げて、楽しくなってくる。


そして川の半分ほどが終わり、ゆっくりと流れる川をゴムボートで漂いながら山に囲まれた風景や、住んでいる街ではあまり見られない緑を見ていると、

視線の中に一匹の虫が飛んでいた。


 その虫は俺が居る場所から少し離れていて、小さいため普通の人間には見えないはずだ。しかし、虫はある特徴がある。


仄かに紅く光る虫……それは人間の目ではある一つの現象にしか見えない……。


「あれ見ろよ。あそこにあるのって小さな火の玉じゃね?」


 小さな虫は人間の目に見えるほどの明かりを放つ炎を纏っている。さらに虫が纏っている炎は普通の炎などではなく、前回巻き込まれた第三次開放トリプルアクセスの煉獄に似ており……。


「おい!大きくなったぞ!!」


 炎を纏った小さな虫は突如巨大な炎の虫に変化した。



読んでくださりありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Twitterやつまているので、よろしければフォローお願いします!!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ