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約束(エンゲージ)  作者: 千歳瑠璃
炎氷舞
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世界

飛行機から出て俺達を迎えたのは街にいた時とは全く異なる冷気だった。空港の中を出ていないためさほど寒くはないが、ボーディング・ブリッジ……飛行機と空港の結ぶ通路には少し隙間が存在するため、そこから入り込んでくる冷気によって、北海道の寒さが伺える。


 少しだけ肌寒さを覚えるのは街から北海道までは半袖だったためで、九月後半に北海道に来たので、既に俺達が居た場所とは気温が違う。北海道の九月といえば、初雪が観察されたりする季節で、俺達からすれば北海道の九月は冬だった。


 空港から出た俺達は肌寒さに各自持ってきていたパーカーなどの長袖を上に羽織る。さすがに何枚も着込むほど寒い訳ではないので、俺も上から一枚羽織るだけで住んでいるが、後一ヶ月もしたら寒くて無理だろう。


 俺はバスで隣に座っていた白雪を目を向ける。白雪は空港を出てからも俺の隣に居て、バスの中では半袖だった姿も今は、俺が贈ったパーカーを着ている。


 普段の白雪なら魔力を調節して寒さや暑さなどを防ぐが、受け取ってくれた白雪は俺が贈ったパーカーを着てくれる。そのことは素直に嬉しく、そして似合っていて可愛いため自己満足もしている。


 空港にある場まで持ってきた荷物を抱え向かう。凜奈は友達と話しをしているため声を掛けないが、三人で買出しに向かった時に買った新品の服を着ていて可愛かった。


 バスに荷物を乗せて、再び隣に座ってくる白雪に、俺は紙に書いて気になることを一つ聞いた。空港に着いてから真っ先に思った疑問で、明らかに可笑しい現象が起こっている。


『なぁ……どうして一面に雪が積もっているんだ?』


 北海道は日本で寒いことで有名だが、九月後半に一面に雪が積もるほど雪は降らない。そもそも、北海道は寒いが、俺達が住んでいる街も冬になればこれ以上に寒くなる。


 その寒さでやっと雪が降るかどうかの境目で、さすがの北海道も九月に大雪になることなど決して無い。せいぜい、山岳などに初雪が降るぐらいで、一面に雪が積もっている状態など誰がどう見ても異常の一言だった。


『ええ。絶対に可笑しいわ……それに、この異常な事態に誰一人気がついていない』


 今もバスの外を見ると雪がふ降っているのにそのことにつ着いては誰一人触れない。お互いに凜奈に視線を向けるが、凜奈も気がついている様子はなく、これも異常だった。


 俺達人は始めて見る物や見慣れない物を見ると不思議と騒ぎたくなる生き物だ。俺だって生で有名人などを見ると何らかの感想を持ち、傍に知り合いが居れば間違いなく誰かにそのことを報告するだろう。


 しかし、今のクラスメイト達は誰一人そのことをしない。俺達が住んでいる街では雪自体が珍しいにも関わらず、しかも今年はニュースなどでも雪が降ったなどという情報は一切流れていないにも対して、クラスメイトは誰一人騒がない。


 普通、誰か一人は雪に対して触れても良いのにこの時期に一面銀世界になっていることが当たり前のように感じている……いや、もしかすると俺達以外の誰も雪が降っていること自体に気がついていない可能性が存在する。


『もしかすると、私達が可笑しくなったという可能性も否定できないけど……』


 召喚者の俺達には雪が降っているように見えて、人間であるクラスメイト達には雪が降っていないように見えているという状況で、真っ先に可笑しいと思われるのは俺達二人だ。


 そもそも、召喚者である凜奈すら気がついていない状況なので、人間も召喚者も関係ない状況で、一体何がどうなっているのか理解出来ない。だが、大多数が見えていない状況で俺達だけが見えるという状況は、自然に俺達二人が可笑しくなったか……もしかすると夢でも見ているかもしれないという考えにいたる。


 ローネは英雄ジークフリードとの戦いで約束エンゲージの効果……一人が死ぬともう一人が死ぬという決まりによって死んだため、〝風読み〟のような物理的干渉ではなく、精神的干渉のような魔法を使われたという可能性は排除してもいいだろう。


『だけど、それだと可笑しくなった人がもう一人存在することになる』


『ええ。そうね……』


 俺達は同時にある人に視線を向けた。それは行きのバスの中で英雄ジークフリード以上の圧迫感を放って、召喚者である俺達すれも恐怖させた相手である水瀬先生だ。


 先生は北海道に着てから一言は話さずにただ、外の風景を見ていた。そして今も誰とも話さずに外の風景を見ている。


『水瀬先生はたぶん雪が降っていることが見えていると思う……白雪はどう思う?』


『私のそう思うわ……ただ、どうして人間である先生が私達にしか見えていない雪が見えているのかという所が一番の謎ね』


 真っ先に疑われることは俺達と同じ召喚者であるということだが、一年半もクラスの担任でお世話になった俺だが、人間離れした召喚者のような仕草は一回も見ていない。それに、魔力反応も一度も感じていない。


 俺は〝魔女狩り〟で魔力に敏感になっているため、普通の召喚者よりは魔力に反応するとこが出来るのだが、そんな俺でも水瀬先生からは魔力の欠片も感じられず、ただの人間にしか思えない。


『魔力は感じないのよね?』


『ああ。全く感じない……人間と同じだ』


『だけど、バスで感じたあれは人間の物ではなかったわ。私達とは別……召喚者に近い存在なんで聞いたこともないし……』


 召喚者に近い存在が居ないとなすと、水瀬先生は魔力反応がないため人間である可能性が極めて高い。人間は召喚者とは違い、魔力を欠片も持っていないので、反応が無ければ間違いなく人間ということになるが……そうでない可能性も存在する。


 一度俺達はローネのことを見破れなかったという過去が存在するので、反応が無いだけで決め付けるのは軽率だろう。バックに英雄ジークフリードような……いや、それ以上の召喚者が居る可能性だって捨て切れないのだ。


 もし、そうであれば俺達が気が付かない可能性が高い。げんに、英雄ジークフリードの時は全く気が付かずに普通のクラスメイトとして過ごしていた過去があるので、注意は必要だろう。ローネが居た時に白雪が疑っていたよりも深い注意が必要だ。


『人間と召喚者が同じ所なんて人の形をしているという点だけだから……けど、先生は周囲……召喚者である凜奈すら気が付かない雪の損じ亜に気がついている……』


『ああ。何がどうなっているのか全くわからない……』


 魔力の反応は人間で、圧迫感や召喚者であろ俺と白雪しか気が付いていない雪が見えている水瀬先生。今までそんな相手に遭遇したことがないため知識が全くない。情報がない未知と出合った俺達には何をしていいのか見当もつかないのだ。


〝相棒。一つだけこの現象について説明出来る可能性があるが聞くか?〟


〝うむ。あくまでも私達の可能性だが、この状況を一言で説明出来る〟


 ローとサクが心の中に話しかけてきた。俺達より戦争について情報を持っていて、召喚者のことに遥かに詳しい知識を持っているローとサク。先代が勝者になった時から居る二人。


 今思えばローとサクに聞いた方がよかったことを思い出した。白雪が持っている知識はローが与えた物なのだから、俺達だけで考えるより何倍も良かったはずだ。


〝教えてくれよ。俺達では全く理解わからない〟


 同じくローとサクに心の中で話し掛けた。


〝うむ。主は本当に魔力を感じないのだな?〟


 俺は再び集中しい水瀬先生から魔力を探ってみるが、結果は同じで一切魔力の反応がない。周囲に座っているクラスメイトと全く同じで、違いなど見当たらない。


〝うむ。なるほど……であればあの女が召喚者であれば……〟


〝相棒より……いや、世界中の中でも最強クラスの召喚者だという可能性のがある〟


 サクがそう言った瞬間、乗っていたバスが振動した。地震にしては短く、誰かが意図的に揺らしたとしか思えない揺れをしたバス。


 先ほどまで楽しいそうな声に満ちていたバスの中は急に起こった揺れに対して悲鳴や戸惑いの声を上げたが、直ぐに揺れが収まり、その声も次第になくなっていく。


 俺は不自然な揺れが気になり、周囲に注意を向けて怪しい動きなどが無かったか探る。先ほどの俺達の会話内容を考えると真っ先に浮かんだのが召喚者の力だったからだ。それなら不自然な揺れも納得が行く。


 しかし、怪しい動きも異常んば所も見当たらず、とりあえず水瀬先生の方を見ようとした瞬間、


「海人!水瀬先生が居ない!!」


 背後から聞こえた声に俺達は素早く反応して水瀬先生が居た方に視線を向けたが、そこにはつい先ほどまで座っていた水瀬先生の姿がどこにもなく、まるで初めから空席だったかのようになっている。


 周囲に注意を向ける一瞬の間視線を外しただけにも関わらず、召喚者が三人も居るバスの中から気配も察知されずに姿を消すことなど普通の人間に出来ることではない。


 この瞬間、先ほどローとサクが言っていた世界最強クラスの召喚者という線が俺達の中で濃厚になり、さらに警戒を強める。


「凜奈!とりあえず、まだ周囲に気配がないか……」


 直後、バスは再び大きな揺れに襲われた。先ほどとはバスだけが揺れているような感覚ほどの揺れだったのだが、今回の揺れはまるで地震に襲われたかのような大きな揺れで、静まり返っていたバスの中に再び悲鳴が上がる。


 バスは大きな揺れに左右に揺れながらも横転することはなく、進んでいく。何がどうなっているか理解出来ない現象に、野次や叫び声も飛んでくいが、人間であるクラスメイト達は立ち上がることすらも出来ない。


「凜奈はみんなが怪我をしないように見てきてくれ!」


「不自然な揺れだわ……私は外を見てくる」


 隣に座っている白雪は窓を開けた瞬間、クラスメイトに見られないようにするため一瞬で姿を消した。俺はそれに合わせて席から立ち上がり、運転手がいる場所に向かう。


「バスを止めてください!」


 これ以上バスを走らせるのは横転の危険があるので一旦バスを止めてから原因を追究してからの方がいいと考えたのだが、


「そんなものとっくににやっている!けど、ブレーキが利かないんだ!」


「ブレーキが利かない?」


 この揺れの中でバスを止められないという状況はまずい。俺や凜奈、白雪はバスがどうなろうが怪我などしないが、他のクラスメイトや運転手は大怪我を負うのは確実で、最悪の場合死亡する確実だってある。バスを止められたら外に逃げるという選択肢があるのだが、それすらも使えなくなった。


「揺れが起こる前までは普通に使えていたのに……全く何がどうなっているんだ!」


 俺は不意に外を風景を見た。相変わらず九月という季節に見合わず一面銀世界だったが、先ほどとは違う……異変に気がついた。


「どうなっているんだ?」


 先ほどまで……揺れが起こるまでは街中を走っていたバスはいつの間にか何もない場所を走っている。空港から出てまだ十分しか経過してないのだから風景は街や建物が無ければ可笑しいはずだ。なのだが、召喚者の視力を使っても周囲に見えるのは季節外れの雪が降っている銀世界のみ。それ以外には何ひとつとして存在しない空間になっていた。


 これは異常以外の他でもない。感覚で言えば突然別の世界に迷い込んだような感覚を味わっているのだから言葉ではうまく表すことなど出来ない。俺は異世界などに召喚されたり、そのような経験など一切していないからだ。ただ、わかっているのは異常だということだけだ。


「本当に訳がわからん!ブレーキは利かないし、だんだん速度は上昇していくし!」


「落ち着いてください。揺れは起きる前何か可笑しなことが起きませんでした?」


 俺の言葉を運転手は地震のように揺れるバスを運転しながら考えて、そして何か思い当たる節が見つかったかのように俺の方を見て、


「そいいえば、何か輝いた虫のような物が飛んでいたような……」


 運転手が口にした瞬間、俺は気配を感じて目の前を見るとそこには運転手が言った通りの光り輝く虫……正確には氷で出来たような虫が飛んでいて、まるで鏡に反射しているかのように輝いている虫は、一瞬だけ姿を見せるとそのまま消えた。


「海人!なんか可笑しい!」


 背後から聞こえる凜奈の声に反応して振り向くと、そこには先ほどまで居たバスとは違った光景が広がっていた。厳密には形などは一切変化が無いのだが

、車内だというにも関わらず、白い霧のような物が出ていて……。


「なんか、急に寒くなってきてない?」


 クラスメイトのさりげない一言で何が起きているのか理解した瞬間、今まで全く感じなかった魔力反応を察知した。それも姿を見ていないにも関わらず、全身から汗が溢れてくるような強大な魔力反応。一人の人の中に数万という人間が同時に詰め込まれたかのような圧倒的な存在感は英雄ジークフリードを遥かに凌いでいる。


 一瞬で感じる遥か上の存在の気配に言葉を失うが、止まっている訳にもいかずに俺は今バスの中で起きている現象をどうにかすることにした。


「はずいわ!バスが段々凍ってきている!」


 外を見に行っていた白雪はいつの間にか戻ってきており、バスがどうなっているか説明してくれたが、事態はそれより遥かに深刻だろう。


「ああ!けど、この氷はまずい!まず過ぎる!」


 〝魔女狩り〟の特徴として魔力を敏感に感じ取れる俺はこの氷の異常差直ぐに感じ取ることができた。〝魔女〟も氷を使ってきたりなどしたが、そんなもの子供レベル以下の氷だと断言できる。


 このバスを覆ってきている氷は何かが決定的に違う。見た目は対して変化はないが、普通の人間と召喚者との間ほど差が空いていて、この氷に触れることは絶対にあってはならないと理解出来る。


「凜奈!みんなを前に連れてきてくれ!この覆ってきている氷には絶対に触れるな!触れた瞬間、体の中まで一瞬で凍らされるぞ!」


 俺の指示に揺れているバスの中を怪我をしないように歩いてくるクラスメイトの姿を見ながら傍にあった窓を開けて、白雪と共に外に出た。氷は後ろから迫っているので前は今は安全だが、その安全は後数秒で無くなるだろう。その前にどうにかしなくてはならないのだ。


「この氷……召喚者である私達も触れた瞬間に凍ってしまうわね……」


 迫り来る氷を見ながら白雪は呟くように言った。この氷は明らかに召喚者のもので、そして俺達より強い召喚者であることは違いない。


「ああ。だから早くしないと……」


 氷に覆われてしまうともうどうしても助からないので、みんなを逃がす方法など一つしかない。


「バスを力づくで止まるしかないわね……」


「ああ。それ以外ないな」


 バスを止めるということは俺達の正体を知られてしまうことと同じだが、ここで見捨てられるほど俺は腐って居ない。そもそも、俺が叶えたい願いの中に入っているみんなを見捨てるという行動を行うなどありえない。


 正体を知られてしまうと学園の寮には居ることは出来なくなり、みんなからは異常として見られることになるだろうが、そうなってもみんなが生きているという結果だけあれば充分だった。


「海人……覚悟はいい?」


「覚悟なんか初めから出来てるよ」


 召喚者になった時から全ての覚悟などとっくに出来ている。俺には選択する方法が自分と他人になるなら真っ先にに自分のことなど捨てることも覚悟していたし、俺には必要なことだから問題はない。


 俺達はバスから少し離れた場所に着地して、走ってくるバスと対峙する。時速は八十キロほど出ており、普通の人間なら跳ねられると即死に陥る速度なのだが、召喚者である俺達は対して問題はない。


 手に魔力を込めて、それと同時に何割かを踏ん張るために足の裏に魔力を送る。衝突に備えて軽く深呼吸をしたら体が吹っ飛ぶような感覚が襲いかかり、バスを支える。


「!っぐ!!」


 直撃しても体は大丈夫だが、衝突時に発生する威力までもは完全には消せない。俺達は凄まじい衝突の力を魔力と人間とば別次元の召喚者の力で受け止めようと必死に踏ん張る。


 そして、数秒した後バスは完全に停止し、俺はドアを壊してクラスメイトを外に出させた。さすがに可笑しな目で見られたがこれでみんなが生きているという結果が残ったので他はどうでもいい。


 全員外に出すと同時にバスは完全に氷に覆われた。安心してみんながため息をはいたが、まだ終わっていない……いや、本当の恐怖はここからだといっても過言ではないだろう。


 俺達は衝突を受け止めた体で正面を向く。そこには全身白く、圧倒的な存在感を放っている一人の男が立っていた。


「あ?あいつは居ないのか……まぁ、もし居たらこの程度のことに手間取ったりはしないか……」


 男は突然俺達に聞こえる声で呟いた。相手はどう見ても格上で正直勝てる見込みがあるかなど理解出来ないほどだ。それにみんなが居るためここで戦うのは危ない。どうにかしてここだけは回避しないとダメだ。


「だが、予想外のお土産も居るか……お前達は〝魔女狩り〟と〝三日月雷鎌(ライトニングムーン〟か……偶然だな」


 俺達は何も返事をせずにただ男の姿を見ている。この目の前に居る男の行動一つで背後に居るクラスメイトや、俺達の命すらも左右されるほどの強敵なのだ。一瞬の油断が命取りなる。


「でも、そんなことはどうでもいい。あいつ居ないなら戦ったも意味はない……」


「どういうことだ……」


 ここで初めて言葉を返す。戦う意味が無いといっている男はどうしてこのバスを襲ってきたのかという疑問に駆られたからだ。


「勘違いするなよ?お前達と戦っても意味がないといっているのだ…お前達のような虫と戦っても意味がない……戦争に参加していても一瞬で殺せる相手と今戦う意味なんて皆無だろ?」


 瞬間、男になんの動きもなかった。俺と白雪は一回も瞬きもせずに男の様子を見ていて、それは確定だったが、男にはなんの動きもなかった。ただ、あまりにも一瞬の魔力反応を感じた後、俺達とクラスメイト以外が全て凍った。


 振っていた雪は小さな氷の塊になって、地面に落ちて、一面に積もっていた雪はまるで北極のような氷に変った。


 あまりに一瞬の出来事だったので誰も反応できず、誰も言葉を発することは出来なかった。ただ、何も言わなくても理解だけは出来た。この目の前に居る召喚者は異常すぎる。英雄ジークフリードの時も勝てないと理解出来たが、今回ばかりは奇跡が起きても何が起きても勝てないと一瞬で体が、召喚者としての感覚が言っている。


 頭の中が逃げとと警戒を鳴らしている中、男からはもちろん目を離すことなど出来なく、俺はただ次の行動を読み取ることで精一杯だったが、男は不敵な笑みを浮べてから踵を返して、まるで元から居なかったかのように姿を消した。


『相棒。あれはダメだ。今の相棒たちでは絶対に勝てない……英雄ジークフリードなんて取るに足らない相手だ』


「わかってる……」


 感覚だけで理解している。あれはどう頑張っても勝てないことなど。周囲が一瞬で凍りついたというのに、魔力反応があったので男が魔法を使ったということ以外何一つとしてわからなかった。


『うむ。最悪の敵にであったな……それに口ぶりからするに戦争に参加している者か……あれはお前達の先代でも勝てないほどの強敵だ。見逃してもらったのらだか無理に戦う必要はない……』


『相棒。状況から見るにあれは〝瞬間凍結ゼロブリザード〟と呼ばれる魔法だ。触った物、見た物を瞬間的に凍らせる魔法。規格外にもほどがある』


『うむ。それにこの世界……相手は第三次解放トリプルアクセスの使い手の可能性もある……』


第三次開放トリプルアクセス……」


 白雪が小さく呟くと同時に、世界は一瞬で元に戻る。






 読んでくださりありがとうございます!

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