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驚愕

 錆びた剣を召喚した俺は少女が色々事情を説明すると言うので、一旦学園の寮に二人で戻ってきた俺達は座布団に見つめ会うように座のだが、一応お客様なので冷蔵庫から凜奈特性の緑茶をコップに入れ、二人分用意してダンボール机の上に置いた。


 先ほどまで死ぬか生きるかの瀬戸際に居た俺だったが、今はこうして普通に寮居ることに少しだけ違和感を覚えながら、冷たい緑茶を一気に飲み干し、コップを置いた。


「お前飲んでいいぞ」


 巨大な鎌を振り回していた少女は正座をして静かに座っている。先ほど魔術閉鎖空間イージスの中だからといっても、町を半壊までした少女とはまるで別人のように大人しくて少し怖い。


「ありがとう。あなたも変な人ね。さっきまで殺されそうだった相手にお茶をだすなんて……」


 両手でコップを持ち、お茶を見つめる少女の目に薄くだが、魔法陣が映り何をしているか察した。


「別に毒なんて入ってないって。それに入ってたとしても召喚者には関係ないだろ」


「そうね。私達には人間の毒なんて関係ないわ。でも、召喚者ように改造された毒なら話は別よ。まぁ、このお茶は普通のお茶だったけど」


 一気にお茶を飲んだ少女は俺の目を見つめて何か考え事をしているみたいだった。


「どうしたんだ?」


 目を少しだけ鋭くして少女は俺の胸辺りを凝視し始めた。そこは召喚者の源である魔力が一番多く集まる場所だ。覚醒した突如は体の中に汚物があるような感覚がずっとあったが、少し経過したらそれは完全になくなり、人間だった頃のように何もない感じがする。たぶん、体が召喚者として完全に変ったので魔力に対しても異変を持たなくなり、馴染んだのだろう。


「なんでもないわ。ただ、どうして私やあなた見たいな存在が召喚者など知っているのかと思って。普通の人間だったあなたにはまるで縁のない話だから不思議に思っただけ。それに非現実なのに妙に落ち着いているわね」


 落ち着いているのは覚醒前に、召喚者になる覚悟……人間をやめる覚悟をしたからだ。自分で望んでなったのだから落ち着いてて当たり前だ。召喚者のことはなぜか知っているのだから仕方ない。


「それだけど、気になることがあるんだけど」


「何が気になるの?」


 気になることは一つしかない。なぜ俺が知っているか、だけだ。たぶんかなり前から召喚者であるはずの少女に聞けば事情がわかるかもしれない。


「ああ。俺はお前達が召喚者であることをなぜか当たり前のように知っている……町外れの工場で始めてお前を見た瞬間からだ。初めて見たのにまるでもっと前から知っているような感覚……これって覚醒前だったからなのか?」


 普通に考えれば初めて見たことやものを知っていればおかしいはずだ。しかも、まるで知っていることが当たり前だというような感覚で馴染んでいるならなお更だ。うまく例えるなら小学生一年生がひらがなを見たとき、書くことも出来ないし読めない。しかし、高校二年である俺はひらがなを当たり前のように書くことも読むことも出来る。俺は召喚者のことをひらがなのように当たり前に知っているのだ。


「私はローに教えてもらったから初めて覚醒した時は訳がわからなかったわよ。今まで何人かの覚醒を見てきたけど、自分の状況を正確に把握している人は見たことがないわ。そもそも、私達は元は人間なんだから覚醒前から召喚者のことを知っているほうが異常なのよ」


「だけど、俺は魔術閉鎖空間イージスのことも覚醒前から知っていた。どんな効果があって、何のために作られたかも全て。まるで他人の記憶が残っているように」


「イージスのことまで知っているのね……ローどう思う?」


『うむ。普通に考えればおかしい。しかし、イージスの名前がでて来たのだから、こいつの言っていることは嘘ではないということだ。おい。他に何か知ってることはなにのか?』


 黄色い球体が点滅するたびに声が聞こえた。それは確実に意識を持っている。いや、正確には召喚媒体としての魔力が高いため、球体自体が意識を自動的に持ち始めたのだ。


 何で知っているか理解出来ないが、少女の言う通りならば俺は人間の頃から既に異常だったってことか。


「特にない……」


『そうか。ならばこちらの用件を言おうか』


 黄色い球体…少女はローと呼んでいた球体がそう言った。そうだだった。そもそも少女をここに呼んだのはなぜ俺を襲ったのか、なぜ覚醒前の召喚者だということがわかっていたのか、など聞きたいことがたくさんある。少女は俺の不思議な体験をわからないと言ったのでこの話はもうおしまいだ。


「まずあなたが一番気になっていると思う、なぜ襲ってきたのかだけど、特に理由はないわ。ただ、覚醒前の人間は自分の命の危機に召喚者として目覚めることが多い。私はそうやって召喚者になったわ。あなたと同じで誰かに殺させそうになったてね」


 少女は見た感じ日本人には見えない。綺麗な白銀の髪などは外国の生まれのように見える。日本のような平和な国とは違い、外国では内戦や戦争など色々なことが起こっているイメージがある。拳銃なども所持している人が多数居るので誰かに殺されそうになる確実は日本より高いだろう。


「覚醒する可能性が高いだけだろ?もし覚醒しなかったらどうなってなんだよ?」


「何言ってるの?もちろん死んでたわよ。首と胴体がばっさりと切れて」


「死んでたって……」


 至極当たり前のことのように言う少女に恐怖を覚えたが、少女にとってはこれが当たり前なのだろう。そして俺は再度理解した。召喚者になった俺は少女のように『死』が当たり前の日常で生きていくことになる事実を。


「別にいいじゃない。しっかり、覚醒して今はこうして生きてるんだから感謝しなさい」


「なんで本気で殺そうとした奴にどうして感謝するんだよ」


 そんな奴が居たら本気で正気を疑う。


「あんたこそ何言ってるの?私、本気なんて全然だしてないわよ。だから感謝しなさいって言ったのよ。初めから本気出してたら一瞬で死んじゃうじゃない」


「……」


 あれが本気ではないだって?そんな馬鹿な。人間の反射速度を軽く超えていた動きをしていながら本気ではない。なら一体本気を出したらどのあたりまで強くなるのか、まるで底が見えない。


『それに覚醒させるのが我々の目的であって殺すことが目的ではない。よって本気を出す理由がない』


「そうね。でも、最後のを回避された時はさすがに焦ったわよ?まぁ、召喚者になったて気がついたから一瞬だけどね」


 今更ながら気がついた俺だった。もしかしたらこの少女は召喚者の中でもかなり強いということに。そもそもあの雷の鎌を自由に操っていたこと自体が強い奴の証拠だ。


「うっ……」


 少し頭が痛くなり、情報が流れてきた。

 

 三日月雷鎌ライトニングムーンと呼ばれる武器を少女は召喚して自由に操っていたのだ。三日月雷鎌は召喚される武器の中でも最上級に強い鎌でそれを自由に使っていること自体が強い証拠であり、ほとんどの召喚者がこのレベルの武器は自由に使えずに、武器に殺されてしまう可能性が非常に高い武器。強いかはりに物凄く危険度が高い武器なのだ。


「まぁ、そんなことはどうでもいいわ。それより私の用件を言うわよ?」


「ああ。聞かせてくれ」


 どんなことだって驚かない自信があった。人間から召喚者になったことだって自然と受け入れることが出来たのに今更驚くことなどあまり無いように思えたからだ。


「私はパートナーを探しているの。そしてあなたには私のパートナーになってほしい」


「……え?」


 別にパートナーになれと言われたことに驚いた訳ではなく、あんなに強かった少女が俺みたいなパートナーが必要な事態が起こることに驚いたのだ。下手をすれば町の一つや二つは簡単に壊れてしまいそうな事態に陥るかもしれない。


「あなたは召喚者のことと、魔術閉鎖空間イージスのことも覚醒する前から知ってたって言ったわよね」


「そうだけど……どうかしたのか?」


「それじゃ、これから起こる出来事も知っているはずよ」


「これから起こる出来事……それはお前がパートナーを必要とする理由なのか?」


「ええ。その通りよ。私の実力じゃたぶん直ぐに負けてしまう可能性がある。だからパートナーがほしいのよ」


「一体何が起こるんだ?」


 少女な真剣な眼差しに唾を飲みこんで聞いた。


「戦争……選ばれた召喚者まほうつかいが願いを叶えるために戦う、召喚者の戦争よ」


 その言葉に一気に心拍数が上がり、血が全身で騒ぎ始めた。俺は『戦争』の意味を知っている。そして、召喚者にそれがどれだけ大切かということと、どれだけ勝ち抜くことが難しいかを。


 少女が言う戦争とは全国の召喚者の中で参加者が選ばれる。それは本当にランダムで強い者から弱い者まで様々な者が十三人選出される。魔術蒼石マテリアルブルーという石が十三人に配られる。同じ場所に集めると、何もかも超越した一つの願いを叶える大魔術が完成するのだ。


「それならお前は魔術蒼石を持っているのか……?」


「持っているわよ。これの事でしょ?」


 手をかざすと少女の右手から、クリスタル型をした一つの蒼い石が出現した。間違いなくそれは魔術蒼石だった。


「それならお前は俺に戦争に参加しろって言っているのか?」


「そうよ。そして私と一緒に願いを叶えるのよ。絶対にね」


 

 そう言う少女の瞳からはとてつもなく強い決意を感じ取ることが出来た。自分の命を懸けてまでも叶えたい願いがあるのだろう。


 戦争で勝ち残った一人にはどんな願いでも叶えることが出来る。物理法則など無視したり、他人の心を自由に操ったりなどあまり前のように出来るようになるのだ。しかし、その分勝ち残るのは非常に難しい。


「それで俺のメリットは何だ?お前だけ特をして俺だけ命をただで賭けるのか?」


「違うわ。あなたにもメリットは存在する。ただ、今のままじゃその通りになるから結ぶのよ」


「結ぶって何を結ぶんだ?」


『うむ。それは---』


約束エンゲージを結ぶのよ」


 ローと呼ばれるガントレットの言葉を遮って少女は言った。


「約束だって……?」


 瞬間、俺の頭の中にある光景が浮かび上がってきた。白く腰まで伸びた白銀の髪に、手に持っているのは少女と同じ三日月雷鎌ライトニングムーン。少女に顔つきは似ているが雰囲気が大人びているので別人だろう。

 

 そして女性の近くにいるのは短髪の男性。アメリカ人を思わせる青い瞳に黒い髭を生やしている男性の手には一つの剣。しかし、どんな形をしているのかは霧のような物がかかってよく見えない。まるで意図的に隠されているかのように。


 詳しい場所は良くわからないが、どこかの海岸沿いに二人揃って手を繋いで歩き始めた二人。繋いでいる二人の手には魔法陣が描かれており、二人は約束を結んだのだとわかる。


 そして同時にかざした手には魔術蒼石が十三個全て揃っている。二人は同時に笑いかけて一つの魔術が完成する。


 何もかも叶えることが出来る大魔術。それは戦争の勝者に与えられた贈り物だった。そして俺は理解した。この二人は召喚者の初めての戦争で勝利した伝説の召喚者達だと。


 そこで電池が切れた見たいに突然終わり、現実に戻ってきた。見ていた光景は約数秒に満たなかったが、二人がどれだけ信用して、愛し合っているかは容易に感じ取ることが出来た。


約束エンゲージとは私達参加者が一人だけパートナーに選ぶことの出来る人を決める儀式。行えば解除は出来ないし他の人に変更することも出来ない一回きりの魔術。参加者にとっては一番大事なものなの」


「そして結んだ者は参加者と同じく一つだけ願いを叶えることが出来る……」


「そう。そしてあなたにも願いがあるでしょ?今の自分ではどうしようもない願いが。絶対に無理だと理解していても叶えたい願いがあるはずよ」


 どんなに叶えたくても叶えることの出来ない願い……それはみんな平和で幸せにすごしてほしいという無理難題な願い。幸せな者がいるということは不幸な人もいるということだ。それをみんな幸せになってほしいなど、ヒーローじみた幼稚な願い……しかし、それを本気で叶えたいと思っていた。しかし無理だとあきらめていた願いに届く可能性が出てきた。


「どうするの?私は自分の願いを叶えるためらなば誰だって何人だって殺す。自分の命なんか何回でも捧げる。あなた願いはその覚悟があるの?」


 俺は考える。自分にその覚悟あるのか……みんなのために命を捧げることが出来るのかと。


 しかし考えるまでも無かった。覚悟は決まっていたのだ、ずっと昔から決まっていた。ヒーローを目指したその時から。


「ああ、やってやる。非日常なんて覚醒する時に覚悟はしていた。チャンスがあるなら俺はやってやる」


 まだ、平和に日常を送っている人達のためにも。独りよがりだっていい。俺は自分がしたい通りにやる。


「いい目をしてるじゃない……あなたも完璧にこっち側の人よ」


 言われてうれしかった訳ではない。しかし、やると決めたのだから逃げる訳にはいかなかった。こっち側の人だろうが何にだってなってやる。


「そういえばあなたの名前を聞いてなかったわね……これから長い付き合いになりそうだから教えてくれないかしら。それに名前を知らない人とするのは嫌だから……」


 するとは一体何のことなのか理解出来なかったが、長い付き合いになるのは確実なので名前を教えることにした。


「俺の名前は霧沢海人だ。好きに呼んでくれ」


「海人ね……私の名前は桜白雪さくらしろゆきよ。よろしく」


「ああ。よろしく」


 白雪は日本人に見えないので明らかに偽名だとわかったが、俺達は握手をした。


「それでは海人。さっそくだけど約束エンゲージを結ぶわよ。目を閉じてほしいの」


「?それは目を閉じなければならない儀式なのか?」


 魔術的な何かで結ぶものだと思っていたので素直に疑問を返した。


「そうじゃないけど……恥ずかしいじゃない!」


「恥ずかしい……?」


 恥ずかしいって一体何するんだ?約束を結ぶためには恥ずかしい行為をしなければならないのか?


「あ-あー!めんどくさい!」


 そう叫ぶと白雪が俺の上にまたがってきた。頬が仄かに赤くなっており、瞳が少しだけ揺れている姿は普通の女の子に見える。


 そして黙って目を瞑り顔を下ろしてきた所で何をしようとしているのか理解した。白雪はキスをしようとしていたのだ。なので目を瞑ってほしいなど、恥ずかしいなどと言っていたのだった。


 薄桜色の唇が少しず俺との距離を縮めてくる。白雪の甘いいい匂いと柔らかく暖かい体温に、初めから抵抗する気など起きなかった。そして俺の目を瞑りキスされるのを待った。


 数秒後、柔らかな感触が唇にあたった。初めは当てている程度のキスだったが、白雪が口の中に舌を入れてきた。


「っ!」


 甘くしびれるようなキスに夢中になる俺。キスというのはとても気持ちのいいものだと知った。口の中に溜まってきた白雪の唾液を飲み込むと変化が起こり始めた。


 体が物凄く痛く、全身の血が暴れているような感覚と激しい息切れ。熱を出したのとは比べ物にならないほどの体温に俺は白雪から離れ、痛みを紛らわすために床を転がった。


「はぁ、はぁ、はぁ、どうやら成功したみたいね……」


 だんだん意識が遠のいていくのがわかった。それと同時に体の中で何かが結びついたような感覚を覚えた。白雪の言う通り、約束が成功したのを俺は感じ取った。


 何とか意識を繋ぎとめていると痛みはなくなり、普通の状態に戻った。


「……こんなに痛いなんて聞いてないぞ」


「ちょっとぐらい我慢しなさい!私の始めてを上げたんだから!」


 そういい、頬を赤くしながらそっぽ向いた白雪はとても可愛く、先ほどの気持ちよかったキスを思い出しそうになり首を振り、右手に目を向けるとそこには先ほど見た風景と同じ紋章の魔法陣が描かれていた。


『それは、約束をした二人には絆のような魔法陣だ。そして、二人以外、その魔法陣は見えない』


 ローが説明してくれるように呟いた。今更ながら先ほどのキスはローにバッチリ見られていたことに気がつくと、急に頬が熱くなるのを感じた。


「とにかく、これで約束エンゲージは結ばれたから、私達は一心同体よ。私の命、あなたに預けるから、あなたの命を私に預けて戦っていくのよ」


「ああ。俺の命白雪に預けるよ」


 俺達は約束という大きな絆で結ばれた。このことによって俺の日常は加速的に現実から非現実へと変化していくだろう。しかし、俺はヒーローになると決めたのだからこれぐらいなんとも無い。


『やることは終わったのだから、そろそろ魔術閉鎖空間イージスを解除した方がいいだろう』


「そうね、それなら解くわよ」


 白雪がそういうと何かに包まれていたような感覚が消えて、止まっていた時間が動き始めた。


「あ!それと私今、住み場所ないからしばらくはここに泊めてもらうから。異論はないわね?」


「問題ない、白雪が近くにいた方が俺も助かる。まだ魔術の使い方が良くわからないから色々教えてもらわないといけないし」


「そうね。足手まといにならないようにはしないといけないし」


 他の召喚者と戦っていくには明らかに実戦不足の俺はいち早く強くならなくてはならない。願いを叶えるために勝ち抜くしかないのだから仕方ない。


 「ぞれじゃ、学園にいく準備でもするか……」


 着ている服を脱いで制服に着替えようとすると、部屋のドアが勢い良く開いた。そこに居たの息を切らした凜奈が立っていた。髪がいつもよりぼさぼさなのは急いで来た証拠だろう。


「どうしたんだそんなに急いで。とりあえず中に入って……」


 そこで部屋の中には白雪が居ることに気がつく。朝から部屋で女の子と一緒に居る光景など見たら間違いなくよからぬ方向に話が向かうだろう。どうしようかと考えているとある名案が浮かんだ。


「今日は凜奈に紹介したい人が居るんだ」


「……誰なの?」


「私よ。始めまして凜奈さん?」


 そこには既に白雪が居た。なにやら挑発的な目をして凜奈見ているが手間が省けた。


「この子は俺の親戚のーーー」


「海人。その必要わないわ」


 親戚にするという名案を思いつき、使おうとすると白雪に止められた。何が必要ないのかわからないので、白雪の方を見ると、背筋に悪寒が走るのを感じた。そこには強い殺気を放った白雪が居たのだった。


「そうだよ海人……そんな言い訳必要ないよ」


 凜奈の方も同じく強い殺気を放っていた。屋上で出会った黒いローブの時と同じぐらい……いや、それ以上に強い殺気に冷や汗が止まらない。


「海人は知らなかったのよね?この女……凜奈は私達と同じ、人間をやめた者……召喚者よ。それもかなり前から覚醒していたね」


 白雪は今さっきなんて言ったんだ?凜奈が召喚者だって?そんな馬鹿なだって幼稚園の頃から一緒にいたのにまるで気づかないなんてありえない。白雪の時は一目で気がついたのにだ。


「嘘だろ……?」


 しかし嘘を付く理由なんて白雪にはないはずだ。それに今日に限って急いで来たのは白雪が俺と一緒に居ることを感じ取ったとしたら?そう考えると全て当てはまるような気がした。


「海人も召喚者になったんだね……?全く、最悪の結果だよ。そのために最近いつも近くにいたのに……」


「ごめん……」


「なんで謝るのよ?悪いのは全てこの女じゃない」


 そういい鋭く睨む凜奈の殺気を白雪は軽くスルーしている風に見える。つまりそれだけ二人の間には実力差があるということだ。


「悪いわね。でも海人はもう私の者よ。さっさと手を引きなさい。余計なちょっかいを出すなら殺すわよ」


 先ほどとは別次元の殺気を放つ白雪に凜奈の額に汗が出てきていた。凜奈もはっきりと理解しているのだろう。白雪とまともに戦っても勝ち目がない事実に。今日覚醒した俺でもわかるのだから二人には自明だろう。


「これ今日の朝と昼のご飯ね……後、今日は学園休むから先生に言っといて」


 逃げるように部屋から出て行っいった凜奈を俺は追いかけることが出来なかった。俺の一番近くに居た凜奈が召喚者だった事実に驚愕し、ただ放心状態だった。


 


 

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