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過去Ⅰ 出会い

これは過去の話。十年間一人で召喚者をやってきた白雪が、大切な物を失いまでの話。絶対的存在だった母親という生きる意味をなくした少女の過去の話しだ。


 ありきたりで何か特別な生活していた訳ではなく、どちらかと裕福で周囲にも恵まれて育った白雪が、母親を失い、〝魔女〟に殺されかけて召喚者という存在になるまでの幸せだった頃の話し……。





*******





二人はロンドンの町の小さな公園で運命の出会いした。特に何事もなかった毎日の一ページに過ぎない日々になるはずだった二人は小さな子供が駆け回っている中で運命の出会いをしたと感じた。


 春の風が優しく吹き抜ける夕暮れの中でお互いに見つめあう二人の姿があった。腰まで伸びた白銀の髪に柔らかな雰囲気を纏った女。裕福な家庭で過ごしているため、身だしなみも綺麗しており、舞踏会などに着ていくドレスのような物を纏った女はニコル・ローラという名前だった。


 この地方ではローラ家というのは有名な家で、ロンドンの一帯に知らない物はいないほどの有名な家だ。大きな門に白くお城のような外装をした家を見ると誰もが金持ちだと理解出来るほどの名門家。それが、ニコル・ローラというお姫様だった。童顔な顔は守ってあげたくなる雰囲気をかもし出していて、綺麗よりは可愛いといった顔立ちをしている。



 もう一人はどこにでも居る男性だった。服は一般庶民のそれと同じで、見た限り安物だと一発で見分けることができる。髪を整えてなく、顔をカッコいい訳ではなく平凡の一言で片付けることが出来るほどの顔。


 だが、平凡な顔には違いないが、瞳には意思の力が強く宿っており、雰囲気は優しく、顔も優しい感じの顔をしている。だからこそ一般人でも引かれたのかもしれないとしれない。


 互いに見つめあう二人は運命を感じていたのだ。本来なら身分の違いなので絶対に交わることがない人生だった。いや、そのとおり交わることがないであろう。だが、二人は見つめあい、そして出合った瞬間などいうのに眼が離せない。


 見つめ合ってから数十秒か、あるいは数十分経過したか本人達にはわからないほど二人の世界に入り込んだ二人は、互いに声を掛けようとした。だが、男は服装の違いで身分の違いを理解出来ていたので失礼かと思い、声を掛けるのを諦めた。


 ローラ家に掛かればこのロンドンに住むことができなくなるほどの影響力を持っているため、うかつに声を掛ける一般人など存在しない。困っていれば手助けをすれば多額の報酬と、町の人から英雄扱いされるほどの存在に一般の身でありながら声を掛けるなど、法に罰せられても可笑しくはない。


 ニコル・ローラも身分の違いには理解していた。きている服装や雰囲気、そしてもし貴族であればこんな所に居る訳がないからだ。たまに一般人のよう服装をしている貴族も居るが、でも今日だけはその可能性も排除出来るからだ。


 今日はロンドンで一番影響力の持ったニコル・ローラの祖父の誕生日なのだ。町中の貴族だけではなく、他国からも誕生日を祝うために来賓がやってくるパーティーが開かれている今、貴族が街中を歩いている可能性など絶対にありえないと知っているためだ。


 どちらも身分の違うを知っていた。男はニコルに一目惚れしていたが、身分の違いというあまりに大きな壁を感じているので、諦めようと考え、そっと微笑みを浮べて去ろうとした。


 だが、ニコルはその微笑で決意した。貴族という様々な人と会話をしなければならない立場に居るためか、それとも無意識に出たのかは知らないが、ニコルは大きな声を出した。


「待ってください!!」


 周囲で遊んでいた子供も遊びをやめ、買い物をしていた主婦達も何事かと皆、ニコルの方を向いた。当然呼び止められた男は驚いた顔でニコルの方を振り向き、そしてニコルは桜が咲いたかのような笑顔を浮けべてこう言った。


「少しお話しませんか?」


 ニコルの笑顔に見惚れた男は返事も出せずにだた、頷いた。


 そしてニコルと男は近くにあったベンチに座り話すことなった。ドレスのような物を着ていたニコルは座りずらそうにしていたため、男はそれを手伝い、先に座って貰ってから男も座る。


 自分より身分の高い人より先に座るなど失礼に値すると理解していたために男そうすることに疑問は持たなかったが、ニコルは少し不満そうな顔をしていたために男は何か失礼なことをしたかと勘違いして口を開く。


「すいません……なにぶん、貴族とは会話すらしたことないので、マナーなどに雑さがあると思いますが、どうか気になったのなら言ってください……出来る限り直します」


 申し訳なさそうに謝る男に理解出来ないニコルは、余計に不機嫌になった……がさすがにそこでどうして男が謝ってきたのかということを察することが出来た。ニコルが不機嫌になったために礼儀が悪かったのかと勘違いしていたのだ。


 そのことに気が付くとニコルは笑みを浮べた。それは桜が咲いたような綺麗な笑みで、男は完全に目が離せないようになっており、そのことに気が付かないニコルは不思議そうな顔をして首を傾げたことにより、男は直ぐに目を逸らす。


「ごめんさない。私が不機嫌になったのは礼儀が悪かったからではありません。ただ、貴族としての扱いを受けたからで、こうして話をしたいのは私なのですから、普段通り……そうですね、お友達と話すような感覚で大丈夫ですわ」


「そ、そんなこと出来ません!!自分は一般人であなたは貴族。身分に違いがありすぎて失礼に値します!」


 一般人だからこそ身分が高い貴族との差を自覚していた男は絶対に友達と話すような感覚で接することなど不可能に近かった。それも、ロンドンでは一番身分が高いローラ家となればそれはなお更で、こうして会話をしている所を見られている所でも危険なのに、そんな失礼な接し方など絶対に出来なかった。


 そこまで肝が添わっていない男。だが、それが一番失礼に値するなども知らない男に向けて、再び笑顔を向ける。ニコルには男のことが王子様のように見えており、小さなことを気にする男が面白かったのだ。


「大丈夫ですよ?今のここに居る私はローラ家としてではなく、ニコル本人としていますので……身分の違いなど気にしなくても大丈夫です。私個人があなたと話しがしたいと思ったから……それではいけませんか?」


ニコルの言葉に頬を赤く染める男は言葉の意味を探る。ローラ家としてではなくニコル個人として話しがしたいというこはつまり……などといった思考に埋め尽くされる頭。だが、考えても相手の思考を読める訳ではないので、本当の意味などニコル本人にしか汲み取れない。


 だが、決してニコルと話すのが嫌という訳ではなく……どちらかというと男として可愛い女の子と会話をするといった行為自体がご褒美近いので嬉しいに決まっている。ましてや、初対面で個人的に話しがしたいなどといわれたら……余計な考えが浮かんでくるが直ぐに消す。


 相手は生粋の貴族で、自分は生粋の一般人。貴族と混ざり合う人生なんて送ったこともないし、考えたこともない男からすれば浮かんだ考えは直ぐにでも消すべき考えだった。女と付き合ったことすら何もない男は勘違いしやすいから……と自分に鎖をつける。


「わかりました……」


 だが、身分が上である貴族に頼まれては断ることができない。そのため失礼だと思いながらも了承することにした男は、隣にいるローラ家の娘であるニコルが居るとう状況だけで緊張してしまう。貴族だからということもあるが、何より可愛く、完全に一目惚れしている相手は傍に居るだけで男という生き物は緊張して何を話していいのかわからなくなる。


 付き合ったこともない男は女の人とする会話の内容など知識として持っていないため、何を話していいのかわからなくなる。気分を害する話題であれば自分の身を危ないのだから余計に緊張するのだ。


 ニコルも笑顔を向けながら男が話題を探しているということに気が付き、何を言うか待っている。そして、一分ほど経過したら不意に顔を上げて、口を開いた。どうやら話題が見つかったようだ。


「可愛いですね……」


 初対面の人に対して……しかも貴族に対して発した第一声これである。必死に話題を探した男だったが、結局何も見つからず、女の人は外見を褒めると喜ぶという一般的知識を頼りにやってみたが、ニコルの顔を見ると男は失敗を悟った。


 どこの馬の骨かもしれない男に綺麗ではなく可愛いと言われたニコルは激怒しているだろうと、目線をそらした後にまた向けて見ると笑顔を浮べていた。それも必死に笑いを堪えているようにも見え、ますます混乱する男。


「あの……」


 心配になって声を掛けるが、予想外の事態であるため対処法がまるでわからない男は声を掛けるだけで精一杯だった。


「あ、ありがとうございます……とてもうれしいです……」


 少し頬を赤くして礼を言う男はニコルの顔を見つめた。そして、一般人でありながら貴族のお姫様に分不相応にもニコルの笑顔を独り占めしたいと思ってしまったのだ。そんなこと出来る訳がないと思っていながらも桜が咲いたような笑顔を向けられてしまったら男にはどうしても抗えないものだった。そして一度自分の物にしたいと思ってしまえば後は気持ちにうそなどつけない……。


「あなた……その……お名前はなんておっしゃるのですか?」


「僕の名前は……白雪だ」


「シロユキ?」


 聞きなれない名前なのだろう。だが、しかたないことだろう。男……白雪はロンドンで生まれたのではなく、遠く離れた国……日本で生まれてロンドンに渡ってきたのだから。


「そう……柏原白雪かいばらしろゆきって言う名前なんだ」


 そっと優しく微笑み白雪にニコルは心臓が跳ね上がった。それは今までたくさんの貴族を見てきたニコルだが、抱いたことのない感情で、どう説明すればいいのかわからない感情だった。だた、初めに感じた通り運命だと思ったのは間違いなく、この人なら生涯ずっと一緒に居てもいいとニコルは思ってしまった。


 これが二人が出会った初めの話……後に僅か六歳で召喚者となる白雪……キサラ・ローラの両親となる。



 





読んでくださりありがとうございます!!英雄が終わり区切りがいいので過去の話を乗せることにしました。過去に出てくるキャラを覚えていてください!

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