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68.悪の手先 その二十一 Liar!Liar! 1st Gig



 今日は、学校の課外授業で琵琶湖博物館へ行く事に。


 なんでこの年でナマズを見なくちゃならんのだ。


 僕は、気が乗らないし、興味もないが、仕方なく移動用のバスに乗り込む。


 窓際の席でぼーっと外の景色を見ていると、 


 なぜか、隣の席に”下谷”が座る。


 こいつとは、さほど仲良くないんだけど…


 この席に座る予定だったのだろう、林が怪訝な顔をしている。


 『どいて』と言う訳にもいかず、僕は早々に寝たふりをした。




-琵琶湖博物館-


 すぐに博物館には着いたのだが、晴れているにも関わらず霧が出ている。


 こんな天気でか?おかしい…この霧…まさか…。嫌な予感が頭をよぎる。


 僕は、ゆっくりと周囲を見渡す。

 

 同じ高校の学生に、一般客がちらほらいる。敵かどうかの判別はつかない。


 このタイミングでの襲撃、援護を頼みたい所だが…、


 宇梶…日本刀を振り回すのはマズイ、人目につく。


 南…変身はもっとマズイ。


 どうしたものか…僕の気苦労ならばいいのだけど。


 『なんか、変な天気だね。』


 吉野が笑いながら、僕に近づいてくる。


 今、戦闘になると巻き込まれてしまう。


 僕は、吉野の手を引き、なるべく人の居る方へ歩く。


 『吉野さん…ちょっと、今、マズい事になってる。』


 『ん?何が?』


 吉野はきょとんとした顔をしている。


 気付いてねぇよ。この子、本当に黒連なの?無防備すぎません?


 僕は、この霧が普通でない事、狙われている可能性を耳打ちする。


 『でも、それおかしくない?白鞘が?黒連が?


  どっちにしても”今”、柊君を襲うのはおかしくよ。』


 確かに…僕に敵が多いのは事実だが。


 僕ら二人に…高橋、宇梶もいれると黒連と白鞘の混合部隊だ。


 仕掛けるのは、誰だ?


 僕は、少し思案するが、


 『やっぱり、嫌な予感が拭えない。博物館の中へ、早く。』


 吉野の背中を押す。


 『でも…』


 『ゴメン、万が一、戦闘になると吉野を守りながらは戦えない。


  極力、人の多い所にいて。


  嫌かもしれないけど、宇梶の近くがベスト。』


 吉野は、複雑な顔をする。


 『高橋…光田先生に伝えてほしい。柊が表で揉めてるって。お願い。』


 『…分かった。無理しないで。』


 『ありがと。』


 僕は、吉野が博物館のエントランスに入るのを見送る。


 『さて、狙いは恐らく僕。仕掛けてくるか?』




 霧が更に濃くなってくる。


 『一人で戦うつもりか…大した自信だ。』 


 どこからか声がする。


 方向と距離はまだつかめないが、流暢な日本語から、日本人だと分かる。


 僕は、周囲に気を配りながら、エントランスから逆方向に歩いていく。


 『やっぱり、”御堂乱流”か。黒連かい、あんた?』


 霧に触れながら、適当な方向に話しかける。


 『そいつはどーかな?』


 声で確信した訳じゃないが、どこかで話した事のある相手のような気がする。


 この人をからかうような話し方…誰だ?


 僕が思案していると、何かの詠唱が聞こえてきた。くる!


 直感で振り返り、僕は叫ぶ。


 『プレパ・レイド!』


 『雹連華!』


 耳にゲリラ豪雨のような音が襲ってくる。


 白い無数の弾丸が淡い紅色の壁に当たっては消えていく。


 『マジかよ!』


 弾丸により、少し霧が晴れ、


 プレパ・レイドの先で茶髪を後ろに束ねたロンゲ男が驚いている。


 あの化物語りじゃない!?見た事ない、こいつが敵か!


 悪いがこっちは授業中、速攻でカタを付けさせてもらう。


 僕は、右に半歩、体をずらし、右手を構える。


 『流れる白光、薙ぎ払え、雷吼鞭!』


 発光が霧で乱反射し、辺りを白く染めながら、雷が男に牙を剥く。


 『拝火(ルージュ)(サード) シャッタード・スカイ!!』


 赤い板状の物が男の周囲を覆い、瞬時に壁を形成する。


 壁に直撃し、雷が霧散してしまう。


 くそっ、こいつも防御系の術持ちか…雷吼鞭、撃つんじゃなかった。


 僕は、舌打ちする。


 『”雷吼鞭”まで使えるのかよ。黒連が…長老教会が目をかける訳だぜ。』


 男が赤い板を順に解除させながらつぶやく。


 『普通に拉致するつもりだったが、腕の一、二本はもいでおくか…』


 『やってみな!』




 男が僕に向かって走ってくる。


 近接タイプなのか…武器は所持しているようには見えんが。


 僕は、迎撃する為、再度、右手を構える。射程内に入った!


 『排火(ルージュ)(セカンド) ブルホーン!』


 『紅紡ぎ、貫け我が剣、炎刃!』


 僕達の咆哮による火柱が激突、発生した熱風が僕の肌を撫でる。


 『”炎刃”もかよ!』


 男が顔をしかめ、後ろに大きく跳ぶ。


 ここまで同タイプの術者とやり合うのは初だ。


 僕は、緊張感で震える左手を右手で押さえる。


 正攻法が効かないのならば…


 『百鬼夜行テラーテイル 紫の鏡。』


 僕は、左手で鏡を持ち、ゆっくりと男に近づく。


 男は、ゆっくりと後ずさり、僕との距離を取ろうとする。


 初動で反応しない。こいつ、この術は知らないな。


 僕は、勝利を確信した。


 喰らえっ!男に鏡を向ける。


 『ギャアァァァァッ!』


 紫の鏡が絶叫し、鈍い光を放つ。


 『ぐっ!』


 男は、悲鳴と光にひるみ、その場に崩れる。


 ()った!


 『百鬼夜行テラーテイル テケテケ!』


 僕は、術を切り替え、男に鎌を振りかぶったその時、


 ヒュンッ!


 ちいさな何かが僕の目の前に飛んでくる。

 

 なんだこれ?お守りのような…


 『砕!』


 男の声で僕の視界がホワイトアウトを起こす。


 『しまっ!!』


 閃光蓮か!


 膝ついた振りして、準備してやがったな。


 目を失った僕は、無闇に鎌を振り回す。だが、男に当たった感触はない。


 『ちっと、肝を冷やしたが、場数が違うんだよ。


  そのやっかいな左手をもらおうか。』


 男は、ゆっくりと僕の背後に回り、腰から銃を抜く。


 『パァァァンッ!』


 


 破裂音が辺りに響いたが、弾丸は僕に当たらなかった。


 『赤口紅(ルージュリッパー)!』


 女の声がする。これもどこかで聞いたような声だ。


 『なんだ、くそっ。柊、勝負は預けたぞ!』


 男の捨て台詞が聞こえるが、まだ視力が回復しない。


 『柊君、敵は去りました。もう大丈夫。


  術を解除して下さい。生徒が出てきます。』


 『あなた、誰ですか?』


 僕は、声のする方に話しかける。


 『詳しくは言えませんが、あなたのサポート役です。


  早く解除を。みんな出て来ます。また、会いましょう。』


 そう言い残し、女の気配は消えた。



 

-博物館 エントランス-


 コツコツと靴音を鳴らしながら、天井がエントランスを歩く。


 『任務完了。』


 天井が柱の影にいる高橋に告げる。


 『ごくろう。敵の詳細を。』


 『20代の茶髪の男、一人。陰陽術及び固有能力保有者。


  データ送付します。』


 天井がスマホを操作する。


 『!!!』


 送られたデータを見て、高橋は絶句する。


 『…まさかな。』




 その後、僕は、吉野、宇梶と合流し、課外授業は終えたかに見えた。




-学校からの帰路-


 『ブィー、ブィー!』

 

 スマホに着信、例によって、”非通知”と来た。


 一瞬、出るのを躊躇ったが、意を決して通話ボタンを押す。


 『もしもし?』


 『……昼間はどうも…嘘つき坊や(ライヤー)。』


 『!!!』


 …あの茶髪か!あいつが僕の先代!


 『なんの用スか?昼間のリベンジにしちゃあ、気が早えぇな。』


 僕は、皮肉を込めて話す。


 『いや、ガキみたいに早漏なんで、数でカバー!


  つー、歳じゃないよ。


  単刀直入に。”吉野 桜”を拉致した。


  今から、他人との連絡を禁ずる。見てるぜ。


  19:00 守山駅 西口ロータリーに止めてある黒いセダン


  マークXに乗れ。以上だ。』


 電話は切れた。


 守山駅…逆方向かよ。


 僕は、来た道を戻る。

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