46.正義の味方 その十五 いともたやすく行われるえげつない行為
-911号室-
『なぁ~、陽子。
柊の事、なんか知らんの?』
平田は、苛立ちの性か貧乏ゆすりをしながら問いかける。
『知りませんよ。知ってたら、なんとかします。』
宇梶も少し、棘のある言い返しをする。
『二人とも、落ち着きなさい。
あなた達まで調子崩してどうするの。』
御門野が少しあきれながら二人を見る。
『でも、このままでは困りますね。』
新堂が、4人分のコーヒーを入れながら話す。
『そんなに酷いの?柊君。』
御門野が信じられないといった顔をする。
『えぇ、かなりの精神的な動揺が見られます。
あみが問い詰めても結局分からず仕舞いです。』
新堂が、コーヒーを一人づつ渡していく。
『ふ~ん。…多分、オンナ絡みね。』
『やろ!御門野さんもそう思うやろ!』
平田が指を刺し、御門野に同意する。
『ちょっと、あみ!指差さないで!』
『柊君、彼女いるようには見えませんけど。』
コーヒーを飲みながら宇梶が指摘する。
『もう、陽子ちゃん、お子様なんだから。
柊君だって、いろいろあるわよ。
白鞘の任務に支障が出るのは頂けないけど。』
『な、なんですか!
私、同じクラスですよ!
彼の行動、結っ構、見てるんですから!』
『陽子、それ、ストーカーじゃない…。』
新堂が冷静にツッ込む。
『い、いや、そ、そうじゃなくて…
監視…、そう、監視してるんです!』
『じゃあ、なんやろ?』
平田は、腕を組み、考える。
『んもうぉ~、あんた達。
ほんっと、男を見る目がないわね~。
柊君の年齢を考えれば、悩む事は、バイトかオンナ。
古今東西、過去未来。これは、絶対!』
御門野が胸を張り、断言する。
『バイトは、白鞘で順調。
お金だって同世代に比べれば不足していないはず。
となると、完全にオンナ!
私の今月の給料賭けてもいいわよ。』
コーヒーを飲み干し、茶菓子をほお張りながら御門野は続ける。
『どこの女やろ?思い当たる?エミ。』
『私はちょっと、検討付きませんね。
陽子はどう?』
『怪しいのは、同じクラスの”吉野”か湖南農業の”熊野”。』
宇梶は、即答する。
『陽子、あんた、目星あるやんけ!』
平田が怒鳴る。
『可能性は、低いんで、さっきは言わなかったんです!
可能性は、ひ・く・い・ん・で!!』
宇梶も応戦する。
『まぁまぁ、二人とも押さえなさい。
その”吉野”ってわかんないのはともかく。
”熊野”はマズイわね…』
御門野がスプーンでコーヒーカップをつつく。
『まぁ、取っちゃえばいい話だけど、ぐふふw。』
『『『!!!』』』
新堂、平田、宇梶の3人が同時に御門野を見る。
『えっ?何?私、なんか変な事言った?』
御門野は、不思議そうな顔をする。
『そ、その、取っちゃえばと言うのは……』
新堂は、顔を真っ赤にして聞き返す。
『えっ?寝取っちゃえばいいじゃない。
幸い、こちらの方が駒数多いし、バリエーションだってある。
資金も火力もあるのに戦争に負ける訳ないでしょ。
あんたら、その体は飾り?
あんたらに譲るつもりだったけど、自信ないなら私行くわよ!』
右手で○○○マークを作り、御門野が笑う。
『ちょっと、待ってや!』
『待って下さい!』
平田と宇梶が同時に抗議する。
新堂は、固まっている。
『いい?
柊君の性格から考えて、完全に草食系。
こっちから攻めるしかないわよ。
案 ①
”吉野”や”熊野”と既にデキていた場合、
奪え!全て!
チャラけた言い回しとは、逆に結構、貞操硬そうだしね。
多少、強引に行かないと。
案 ②
”チェリー”の場合、完全に先手必勝。
彼の性格上、”彼女”は必死に守ろうとするでしょうよ。
今までだって、そうだったでしょ?
新ちゃんの時しかり、陽子の時しかり、あみの時しかり。
”仲間”でも、あれだけボロボロになってでも守ろうとするのよ。
白鞘としても、あんたらとくっついてもらえば万々歳。
ご祝儀、大盤振る舞いするわよ。
でも、避妊だけはしてねw
案 ③
あんたらが全滅の場合、私がねじ伏せてやるわ。
こちとら、伊達に年喰ってないわよ。
あ・り・と、あらゆる手段使ってやるわ!
あ~んな上玉、逃がす訳には行かない。』
御門野が、凄まじい顔で笑みを作る。
柊当人が知らない場所で、黒連でも、白鞘でもない
戦いの火蓋が切って落とされた。




