43.正義の味方 アナザー4 Hello, Again
-滋賀県 川島宅-
『いつまで待たせんだよ!1週間なんざとうに過ぎてる!』
南は、川島の家に勝手に上がり込み騒ぐ。
『仕方ないでしょ。私だって軟禁されてたんだから。』
子供をあやす様に、川島は南を椅子に座らせケーブルを渡す。
南が慣れた手つきでケーブルを右手に繋ぐ。
『うんうん、流石、私の月影。
完全回復!』
『よし、新装備を!えっ?軟禁?』
川島がさらっと言った言葉に南は首を傾げる。
『まぁ、大した事じゃないんだけど、
”黒陽計画”が外部に洩れたみたい。
それで関係者を事情聴取アンド軟禁よ。
私なんか要注意人物扱いよ。』
『黒陽がもう稼動しているのか?』
南は、慌てる。
『稼動寸前で、現在、様子見。
なんか予定の試験台がいなくなったか?死んだみたい。
分からないけど。』
『試験台?』
『以前に見せたリストの能力者で試す、試したかったみたいよ。
量産前提だから、チームでの連携、作戦も実施したかったみたい。
大方、ど田舎でドンパチ予定なんでしょうよ。』
『次は、いつだ?』
『それなんだけど、情報が完全シャットアウトでわかんなくなっちゃった。』
『おいおい、当初の目的はどーする?』
『今、考えてるわよ。だけど、今は、ちょっと動きづらいのよ。
分かるでしょ。南君に連絡しなかったのもその性よ。』
川島がため息をつく。
『いい事、思いついたぜ。』
『なぁ~に?』
川島が興味なさ気に聞き返す。
『僕が暴れるのさ。月影で。
月影だって、元・黒連製。
見過ごすことはできないはず。となれば、黒陽を差し向けてくる。
どうよ?』
『南君あなたねぇ~。もしかして、頭悪い?
当初の目的は正義の味方でしょ。』
『うぐぐ…』
川島に指摘され、南は頭を抱える。
『取りあえず、今は…そうだ、柊にリベンジだ。
まずは、無敵の払い戻しを!』
この子、ホント、残念な子…
川島は、苦笑しながら南を見る。
『分かったわ。新装備追加するから、柊と決着つけて来なさい。
それから、黒陽対策は考えましょ。』
『おう!待ってろよ。柊め。』
南は、無邪気に笑った。
-愛知県 マグノリア修道院-
修道院に一人の男が訪れ、年老いたシスター、若いシスターの2人が出迎える。
『よく来たね。カリバー、ミ・ナ…ワ…』
『セブンで結構。みんなそう呼んでます。』
若い男は笑って、年老いたシスターに話しかける。
『失礼、ミスターセブン。ようこそ、マグノリア修道院へ。』
『挨拶はいいです、単刀直入に。カリバー…シスター・ケイトが暗殺されたと聞きました。』
『えぇ、狙撃されて即死です。』
若いシスターがこめかみに指を当てて答える。
『心からご冥福を。シスター・マリア。』
ミスターセブンは、目を閉じ、頭を下げる。
『こんな職業ですから仕方ありませんよ。
それにあまりいい姉でもありませんでしたし。』
『故人を悪く言うものではありませんよ。シスター・マリア。』
年老いたシスターがたしなめる。
『何か残っていませんか?刃物、札や弾丸等は?』
『こちらです。』
シスター・マリアがミスターセブンと呼ばれた男に小さなビニール袋を渡す。
中には血がついた小さな金属片が入っている。
ミスターセブンは、それを陽にかざす。
『これは…珍しいですね。』
『一目で分かるのかい。』
年老いたシスターが驚く。
『そういう仕事です。』
ミスターセブンは笑い、ビニール袋をシスター・マリアに返す。
『”螺旋連結弾”。通称、ジャイロ・ビリヤード。
事前に聞いた話だと”黒喰黒”の仕業と聞きましたが?』
『犯行声明も出て来ました。くそったれのチャイニーズから。』
忌々しそうにシスター・マリアが答える。
『そうですか…。
”黒喰黒”にこれの使用者がいるというのは聞いた事がないし、前例がないですね。
外部に…委託したのかな?』
『どちらにせよ。あなたには、犯人を調査、特定し、報復して頂くことになります。』
年老いたシスターがゆっくりと、力強く話す。
『了解しました。すぐ調査に掛かります。』
『戦闘を考慮し、シスター・マリアと組んで下さい。』
『了解です。では、シスター・マリア、行きましょう。』
ミスターセブンは身を翻し、マグノリア修道院を後にした。
-とある サービスエリア-
一休憩によったサービスでコーヒーを飲むミスターセブンにシスター・マリアが話しかける。
『調査とおっしゃいましたが、当てはあるのですか?』
『先程、言いましたが、あの弾丸は珍しく、使用者が限られます。
更にあの弾丸には見覚えがあります。』
ミスターセブンは、コーヒーを飲むのを止め丁寧に答える。
『…見覚えが?』
『えぇ、昔、同じ弾丸で撃たれまして。』
ミスターセブンは、苦笑いし、自分の左肩を指でコンコンと叩く。
『名前は?』
『僕が出会った時は、”カドクラ”と名乗っていました。
偽名かもしれませんが…。
おそらく、ある程度までは、すぐに調べがつくでしょう。』
『居場所も知っているのですか?』
『あくまで過去、対峙した場所です。
だけれど、人間、本能的に慣れた地に居たがりますし、ちょくちょく帰ってくるはず。
長老教会の本部から事前情報も取ってきましたし。いいところまで行けますよ。』
『暗殺しますか?』
『方法は、相手の居場所、メンバーにもよりますね。
場合によっては、あなたの手を借りる事になるかも。』
『望むところです。』
シスター・マリアの目が猛禽類のように光った。
シスター・マリアがトイレに行ったのを見届け、ミスターセブンが一人呟く。
『縁というのはなかなかどうして、切れないもんだな。
カドクラ…、いいや、門脇。
僕は、帰ってきたよ。
リベンジマッチといこう。
あの時のカリを返してもらう。利子付きでな。』
ミスターセブンは、空になったスチール缶を握りつぶした。




