23.悪の手先 その十 戦い終えて
-自宅-
戦い終えて、部屋でくつろぐ僕の元へカラスがやって来る。
『おっ疲れさ~ん。いやぁ~、アカデミー助演男優賞ものだったわ。』
カラスが笑う。
『見てたのかよ。言う程、笑い事でも楽でもなかったんだけど。』
『良かったわよ。迫真の演技!なめやがっての所なんか最高。
”雷吼鞭”のタイミングもばっちし!
いつの間にあんな成長したの?
お陰であなたを勧誘した私の株も爆上げよ。』
『そりゃ、良かった。
門脇さんも無事なんだよな?』
『うん、問題なし。そうそう、大奮発のお給料。』
カラスがいつもの封筒を渡してくる。
封筒が太い。
中を見ると…かなり、入ってる。マジか!
『これっ…』
『黒連給料+臨時ボーナス+門脇のポケットマネー。
50万円でぇ~す。
特に門脇は、感謝してたわ。
愛車のタイヤだけで事が済んで助かったって。
よろしく伝えてくれって。』
『いや、無事で良かったよ。ほんと、良かった良かった。』
やばい、見た事ない札束でテンション上がる。
『そうそう、柊君、出世です。昇進です。』
『ん?どういう事?』
『光田と門脇と私の推薦でね。お給料がなんと今の倍になります!』
『マジか!』
『そのかわり…』
『そのかわり?』
『今まで以上の活躍を期待するとともに、
一人、サポートというか部下をつけるんで、ヨロシク。』
『スパイしながらは、ちゃんとできるかわからんよ。』
『一応、一通り教育はしてあるわ。でも、ちょっと、不安定なのよ。
うつ気味っぽい感じ?特殊なスキル持ちだし。』
『問題児を押し付けるなよ。』
僕は、顔をしかめる。
『前、ちらっと言ったけど、政治的な事もあってね。
無下にはできないのよ。そこで新進気鋭の柊君にと!』
『目を付けられた訳ね。』
『ごめん。私達の顔も立てて。』
芝居かどうかわからんが、カラスが頭を下げる。
『分かったよ。
具体的な教育方針というか方法があるの?』
『うんとね、女って生理があるじゃない。
それと似てて、月1ペースで能力が暴走するんで
その子の制御と治癒をお願い。』
『治癒はともかく暴走は勘弁してくれよ。』
『大丈夫!”雷吼鞭”を使える柊君なら負けないわよ!』
『その子を殺しちまったら、元も子もないだろ。』
『そこは、あなたの腕次第!』
カラスが笑って、ウィンクする。
『丸投げじゃねぇか!』
僕は、カラスを指差し、非難する。
『再来週、あなたの学校の同じクラスに転校させるわ。
名前は、吉野 桜。案外、かわいい子。
でも、手出しちゃダメよ。ややこしくなるから。』
『もう既に手配済みって訳ね。』
根回しのいいこって。
『あと、もう一つ、特命。』
『まだ、あんの?』
『今回、解せないのは、門脇の隠れ家がバレた事。
黒連内に白鞘のスパイもしくは裏切り者がいる事、確定。
そいつ、もしくはそいつらの調査をお願い。』
『まぁ、大っぴらにはできないけど探ってはみるよ。』
『よろしく!期待してるわよ。
じゃ!ハブ ア ナイスタ~♪』
そう言うとカラスは飛び去った。
裏切り者のあぶり出し、マフィアやヤクザかよ。
もう、引き返せんとこまで来たな。
しかし、この金額。はは、ウケル。
重みのある封筒を握り、僕は笑った。




