12.正義の味方 その三 わるいゆめ
次の日、学校に行くと宇梶は休みだった。
今日の件と何か関係があるのだろうか。
いつものように適当に授業は流し、放課後を待つ。
もちろん、休み時間には、トイレの個室で”硬針装”、”鋭針装”の訓練。
-草津市役所-
放課後、指定された場所に行くも鍵がかかっている。
『あれ?ここで場所あってるはずだけど…』
宇梶にメールしようか迷っていると、後ろから声を掛けられた。
『ごめん、柊君。待って、すぐ開けるから。』
新堂だ。
『お疲れ様です。』
開いたドアの先、倉庫の中は異様な光景だった。
ベッドが並び、怪我人が大勢いる。
若い男女が忙しそうに走り回っている。
僕は、訳が分からず、その場に立ち尽くした。
『詳しくは後で。
柊君は、あの左端の患者から順に”慈恩”を使用して下さい。』
新堂は、それだけ言うとまた、どこかに走っていった。
左端、あの右手を押さえている人から治せって事?
かなりの人数がいる。
状況はわからんままだが、ほって置く訳にもいかないので”慈恩”で
順に治していく。
怪我人は、やけどを負った者と刺し傷?を負った者が多い。
20人程、治癒したぐらいで僕自身がバテテきた。
『少し休んで下さい。代わります。』
後ろから若い男性に声を掛けられた。
『すみません。』
僕は、隅の方で休む事にした。
『ふぃー。』
しんどい。結構くるな。
壁に背中を預けていると、一人近づいてくる。
宇梶だ。
『お疲れ様。』
そう言って、ジュースを渡してくる。
『サンキュー。これってどういう事?』
宇梶に尋ねる。
『昨日の晩、白鞘の施設が襲撃されたの。多分、黒連。それで。』
昨日の晩?
まさか、門脇の計画か?
施設破壊だけじゃなかったのか?
完全に攻撃じゃないか。
日程だってもう少し後だったはず。
計画に変更があったのか?
訳がわからん。
僕は、一気にジュースを飲み干し、立ち上がる。
『もう、大丈夫!治癒を続けるよ。』
『ありがとう。』
宇梶は、うつむいたままだった。
その日の治療は、夜遅くまで続き、
家に戻ると母親に責められた。
理不尽だ。
ネットで調べたが、襲撃の事はどこにも乗っていなかった。
情報規制がされているのだろうか?
黒連側?白鞘側?
肝心な時にあのアホカラスは来ない。
高橋に聞くのはマズイか?
あくまで内密に処理する為、病院ではなく、
あのような場所で術者による治療をしたのか?
わからない事だらけだ。




