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13.正義の味方 その四 LIVE for LIFE 狼たちの夜

 学校に行くと、今日は、宇梶も出席していた。


 なるべく普通に接しないとな。


 『おはよ。』


 『あ、おはよー。』


 僕の普通だった日常が変わっていく。

 

 2時間目の授業中に宇梶からメールが来た。


 『本日、出撃します。


  放課後、あのマンションに集合して下さい。』


 僕は、「了解。」と返信した。 


 この距離でメールするか。普通。




 放課後、マンションに行くと、


 入り口にミニバンが止まっており、新堂に手招きをされた。


 『こっち!乗って下さい。』


 中に乗り込むと既に宇梶はいた。


 僕が乗り込むと、新堂はドアを閉め、説明を始めた。


 『今回の作戦は、野洲川上流に生息するバケ犬 1匹の駆除です。


  陽子と私がフォワード、柊君がバックアップ。


  事前情報だと中型クラスの相手。気を引き締めて行きましょう。


  では、準備を!』


 新堂が話し終えると、新堂、宇梶の二人が制服を脱ぎ始めた。


 『えっ!おぉ!絶景!!』


 『ゴッ!』


 宇梶の鉄拳が僕の頭頂部にめり込んだ。


 『おごごごごご。』


 僕は、頭を押さえ、うなる。


 『そこのバッグにある装備に着替えて下さい。』


 新堂が笑っている。


 先に言うべきだろぉ。


 装備と言われて、少し期待しながらバッグの中を見ると、


 普通のジーパンとジャケット、そして、例の小斧が入っているだけだった。


 『装備?これが?ショボくない?』


 『見た目は普通ですが、素材が違います。耐刃仕様なんですよ。』


 新堂が説明するから、ついそちらを振り向いてしまう。


 『ゴッ!!』


 本日、2発目の宇梶の鉄拳が僕の顔面を襲う。


 『こっち、見ないで。』


 『うぐぐぐぐぐ。戦う前から味方にダメージ与えてどーするんだよぉ。』


 僕は、涙目で訴える。


 『一応、手加減してあげてるから。』


 宇梶が冷たく言い放つ。


 くそっ、こいつやっぱ性格悪いぞ。


 しかし、僕は見た。


 宇梶は上下、白。新堂は、上は青、下は白の下着だ。


 鉄拳2発と釣り合いは取れんが、今日の収穫だ。ひひひ。


 『もういいわよ。』


 宇梶の声で僕は振り向く。


 宇梶は日本刀を、新堂は、銃を。


 えっ?銃?


 『ちょっ、新堂さん、それ。』


 『これ?白鞘特製のワルサーPPK、消音器付。銀の弾頭仕様。』


 いやいや、誰が銃の仕様を聞いてんねん!


 『いいんですか?ここ日本なのに。』


 『妖怪相手に素手だと心元ないでしょ?』


 そういう問題ではない。


 こいつもおかしいぞ。白鞘変人多いぞ。


 『到着しました。』


 運転手が告げる。

 

 『では、行きましょう。』


 新堂がドアを開き、僕らは、予定ポイントへ向かう。




-野洲川河原-


 『気配がします。柊君、私と新堂さんに”鋭針装”を!』


 宇梶が指示する。


 『分かった。』


 僕は、手早く詠唱し、二人に術を施す。


 『”硬針装”はいいのか?』


 『”慈恩”用に力を残して置いて下さい。』


 僕の質問に新堂が答える。


 『陽子、コッチ!』


 新堂が叫び、発砲する!


 『ブシュッ、ブシュッ!』


 消音器独特の音が鳴る。


 『ギャン!』


 振り向くと、3mはある白銀の毛並みを持ったバケ犬。


 黒連だと大狼と呼ぶんだっけ?がこちらに向かって走ってくる。


 『柊君、下がって!』


 僕が答えるよりも早く、宇梶が飛び出す!


 上段から日本刀を振り下ろし、大狼を斬る!


 が、浅い。


 大狼は、後ろに飛び去り、距離を取る。


 『ウゥゥゥゥ。』


 大狼は、宇梶と距離を取りつつ、低く構えうなっている。


 『ブシュッ、ブシュッ!』


 新堂もワルサーで応戦するが、避けられてしまう。


 大狼は、攻めてこないし、逃げもしない。


 ふと、背筋に悪寒がする。


 後ろを見ると、バケ犬がもう一匹いる!


 新堂に向かって迫っている!


 『新堂さん!』


 僕が、叫ぶも、間の悪い事にマガジンを交換している。


 くそっ!


 僕は、走りながら詠唱する。


 『”何者も拒む、硬き意思、硬針装”!オラァッッ!!』


 ありったけの力で大狼を殴りつける。


 『ゴンッ!』


 新堂しか見ていなかったおかげで僕の拳がバケ犬の側頭部に直撃する。


 『ギャン!』


 衝撃でひっくり返った大狼に新堂が銃弾を叩き込む。


 大狼は2、3度、痙攣し、動かなくなった。


 1匹がやられた事を悟ると、宇梶と対面していた大狼はすぐに逃げ出した。


 『現地にてバケ犬2匹と交戦。1匹取り逃がしました。処理願います。』


 宇梶は、携帯で連絡している。


 緊張が解け、僕はその場にへたり込む。


 『はぁーっ、はぁーっ。マジびびった。』


 『ありがとう。大丈夫ですか?』


 新堂が僕を覗き込む。


 『何とか、大丈夫です。』


 『右手も?』


 新堂に指摘され、見てみると、右手が大きく腫れ上がっている。


 必死だったせいか痛みがない。


 そもそも、なんで斧じゃなく手で殴ったんだ僕は?


 『大丈夫す。”慈恩”。』


 自らの術で右手を治癒する。


 『どっちが先輩かわかんないね。ゴメンね。』


 新堂が申し訳なさそうに僕に話しかける。


 『無事だったし、いいじゃないすか。』


 『うん、ありがと。』


 黒連とは違い、白鞘での僕のデビュー戦は勝利で幕を閉じた。


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