11.悪の手先 アナザー1 shut up and explode
-時間は少しさかのぼり 大津市内のとあるマンション-
『柊は、別任務に就く事になった。
来月の作戦は、門脇単独で実施してもらいたい。いけるか?』
『えぇ、問題ないです。
分かりました。予定通りに。』
光田からの電話を切り、門脇は思案する。
別任務?
素人に毛が生えた程度の術者に何をさせる気だ?
早目に柊をこちらに寄せたかったが、少々当てが外れたな。
『春風。首尾は?』
目の前に座っている中国人の女に問いかける。
『炎の配置よし。あと、カドだけ。』
『よし、今晩実行する。お前は、今日中に南京街に戻れ。
じじいには、別途、僕から報告すると伝えろ。』
『じじい言うと、また叱られるよ。』
『そこはオブラートに包め。』
『オブ?ラテ?』
『翁によろしくな。』
そう言って、女の肩を叩き、部屋を送り出す。
『さて、行きますか。』
門脇もジャケットを羽織り、部屋を出た。
愛車 レガシィB4に乗り、目的地、最寄りのSAを目指す。
そこからは徒歩で向かう計画だ。
デカイ仕事。そして、デカイリターンが待っている。
運転中、自然と鼻歌がこぼれた。
-土山SA-
まわりの光が少なくなってきた頃を見計らい車から降り、
ニット帽、手袋、メガネをつける。
トランクからリュックを取り出し、足早に移動を始めた。
なんなく予定ポイントに着き、辺りを見渡す。
追跡なし。
暗視スコープで施設を見る。
『北、2。南、3。』
守衛の配置は事前調査通りだった。
左手の腕時計を見る。23:25。
ジャケットの内ポケットから携帯を取り出し、操作する。
『ドォォン!ドォォン!』
2回の爆発音ともに施設から炎が上がる。
突然の爆発で戸惑う人々が施設から飛び出してくる。
『おぉー、おぉー、雑魚どもめ。』
門脇は、構えたライフル AK-47で、
一人づつ狙いを定め、戸惑う人々を無残に打ち抜く。
まるで人形のように人々は、踊り、倒れていく。
しばらく、一方的な虐殺が続いていたが、
『カンッ!』
門脇の放った弾丸が何かに当たり、軌道を変えた。
『んっ?』
盾や鎧をまとった人間が施設が出てきたのだ。
鎧をまとった人物が叫ぶ!
『黒連の手先よ。無抵抗の人間を襲うのがそちらのやり方か!
姿を見せて、正々堂々と勝負するがいい!』
『はいはい。』
門脇は笑い、もう一度、携帯を操作する。
『ドォォォォン!』
3度目の轟音で施設は、完全に瓦解し、
人々はまるで紙ふぶきのように舞った。
建物の崩壊が収まる頃合を見て、
門脇は、隠れていた場所から現場へ降りる。
死屍累々だった。
爆発で吹き飛ばされた者、崩れた建物の下敷きになった者、
門脇に撃ち抜かれた者。
門脇は、施設の正門前に立ち、施設に向けて両手をかざす。
『”紅演舞”。』
紅蓮の炎が施設のあった場所を包んでいく。
死者も生者も全てを包んでいく。
遠くでサイレンの音が聞こえた。
門脇は、ライフル及びリュックの中の荷物を適当にばら撒き、その場を離れた。
明け方、車を西に走らせながら携帯を使う。
『光田さん。門脇です。白鞘施設の偵察中に予定外の事が起きました。
例の第3勢力と思われます。計画を変更する必要ありです。』




