99.正義の味方 アナザー 殺し屋はカローラフィールダーでやってくる #2
-殺し屋はカローラフィールダーでやってくる-
やれやれ、思ったより早く”Nighthawk”に気が付いたな。
小西は負傷した同僚2名を一瞥しながら先程の戦闘を回想する。
少年だったがやはり陰陽師、
こいつら白鞘の坊主共が油断していたのを差し引いても
場馴れしているのは当然か。
稲妻を飛ばしてきたり、 銃で発砲してきた時は流石に肝を冷やした。
余力が残っていそうにも関わらず、途中に躊躇いもなく撤退したのが気になるが、
今のところ再度仕掛けてくる気配もない。
ヤツの目的はなんだ、威嚇か?陽動…か?
となると、別メンバーの襲撃がありそうだな。
烏丸は以前、”F/O”は陰陽師に作られたと言っていたが、
僕の”Nighthawk”と柊の術は根底から違うように見えた。
系統が違うのだろうか。
戦闘終了による気のゆるみからか、そんな脱線した疑問が沸いてきた。
額に浮いた汗を袖で拭うと、
『ヴィー、ヴィー、ヴィー』
スマートフォンの振動が、”F/O”の稼働限界を告げる。
『F/O Nighthawk ミラージュ2 ランディング』
小西は注意深く周りを観察した後、フリックで能力を解除すると、
前方に映し出されていた坊主の影が消えていく。
動かない対象物でも転写時間は3分ちょっとか。
ちょっと厳しいな。実戦向きとは言えない。
初見の相手ならば十分に通用するかもしれないと思っていたが、
見積もりが甘かったようだ。
この坊主達の決定力のなさ、油断もそれに拍車をかけたに違いない。
第一撃目、投擲武器を頭部か頸部に当てていれば、状況は変わっていただろう。
もどかしい。烏丸の指示を無視して自分で手を下すべきだったのかもしれない。
まぁ、この場は守れた、首尾は上々とはいかないがヨシとしよう。
被っているニット帽のズレを直してから、スマートフォンを続けて操作する。
『もしもし、小西です。予定通り目標”H”と接触、戦闘になった。
相手の脚部にダメージを与えるも、こちらも2名負傷。
戦闘続行は困難。目標”H”は現場から撤退。
追撃、追跡はしていない。ゲートは守りました。』
『あなたのダメージは?』
烏丸は僕の報告には興味なさげに聞いてくる。
まるで監視カメラでこの結果を知っているような口ぶりだった。
『僕は無傷』
『F/Oは?』
『Nighthawk ミラージュ1は100%。ミラージュ2はチャージ中』
『…では建物内部を通って、北側ゲート前 詰所2に集合。
私と合流して頂戴』
『了解。負傷者はどうする?』
『別途、医療スタッフを送るわ』
『了解した。では後ほど』
スマートフォンを切り、画面の油を拭う。
『お二方はこちらで待機してください。烏丸の使い、医療系が来るそうです。
僕は次の現場に行きます』
うずくまる坊主の肩を軽く叩いてから、小西は廊下を走り始めた。
聞かなかったし、言われなかったが、やはり先程の戦闘は陽動か。
本命は北側。柊との第2ラウンドは早々にゴングが鳴りそうだ。
小西は薄暗い廊下を走りながら、一人笑う。




