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第40話 若き貴族たち

王都は、

淀んでいた。


豪華な宮殿。


絢爛な舞踏会。


磨き上げられた貴族街。


見た目だけなら、

今でも王国の中心。


だが。


若者たちは感じ始めていた。


ここには、

未来がない。


ルクスバリア

貴族学院・上級サロン。


夜。


若い貴族たちが集まり、

酒を片手に議論していた。


以前なら、

恋愛や派閥の話ばかりだった。


だが今は違う。


机へ広げられているのは、

辺境経済報告書。


鉄道統計。


工業成長率。


技術学校資料。


「……また増えてる」


金髪の青年貴族が、

呆然と呟く。


「工業生産、

去年の二倍?」


別の女性貴族が苦笑した。


「王都より成長率高いじゃない」


空気が重い。


彼らは分かっていた。


王都政治は、

もう限界だ。


許可。


利権。


家柄。


古い慣習。


全部が足を引っ張っている。


対して。


ノルディア辺境

は違う。


能力。


技術。


利益。


結果。


そこに価値がある。


若い世代ほど、

その差を痛感していた。


一人の青年が低く言う。


「……俺たち、

何してるんだろうな」


誰も答えない。


貴族学院で学ぶのは、

古い礼儀と権力闘争ばかり。


だが時代はもう、

技術と経済で動いている。


そこへ。


扉が開く。


入ってきたのは、

数名の若手貴族たち。


最近、

王都で噂になっているグループだった。


“改革派”。


その中心人物、

アシュレイ・ディルフォードが口を開く。


アシュレイ・ディルフォード


「諸君」


静かな声。


「まだ現実から目を逸らすか?」


場がざわつく。


アシュレイは構わず続けた。


「王都は衰退している」


「だが辺境は成長している」


「何故だ?」


誰も反論しない。


答えが見えているからだ。


アシュレイは机へ資料を置いた。


辺境政策一覧。


技術投資

能力主義

商業自由化

教育開放


彼は言う。


「身分だけでは国家は維持できない」


老貴族なら激怒する発言。


だが。


この場の若者たちは、

むしろ真剣に聞いていた。


女性貴族が口を開く。


「特権縮小は必要だと思う」


別の青年も頷く。


「軍も技術更新遅れてる」


「このままじゃ他国にも負ける」


空気が変わる。


誰かがぽつりと言った。


「……エレノアは正しかったのか?」


沈黙。


その名前を出すこと自体、

以前なら危険だった。


だが今。


否定しきれない。


王都は結果を出せない。


辺境は出している。


それが全てだった。


翌日。


中央議会。


若手貴族たちが、

正式提案を提出する。


技術投資増加

貴族特権縮小

実力登用制度

地方自治拡大


老貴族たちは激怒した。


「正気か!?」


「伝統を壊す気か!」


「平民と同じ目線に立てと!?」


怒号。


罵声。


だが。


若手側も引かない。


アシュレイが真正面から言い返す。


「では聞きます」


会議室が静まる。


「今の王都に、

未来がありますか?」


誰も答えられなかった。


その沈黙が、

答えだった。


数日後。


さらに衝撃が走る。


改革派若手貴族数名、

王都離脱。


行き先。


ノルディア辺境。


新聞が大騒ぎになる。


『若手貴族流出!』


『王都見限り始まる!』


『貴族制度崩壊の兆候か!?』


王都上層部は青ざめた。


ついに。


貴族側からも、

時代が離反し始めていた。

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