↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界焼肉  作者: 天坂 透真


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/48

【第41話】「フェンリルの誓い、ポムの日常」

今回は再びポム視点です。

伝説のフェンリルとしての記憶を抱えながら、日常を守ろうとするポムの“誓い”を描きます。

ルミたちとの温かい暮らしと、その裏で蠢く不穏な影――ぜひお楽しみください。


名前はポムとなった。

……なんとなく違和感があるが、ご主人様が決めたのだから仕方ない。


私はポムとして、彼女たちの日常を観察することにした。


⸻


◆ 朝のルーティンと違和感


この姉妹のお母さん――どうやら犬が苦手らしい。

いや、生き物そのものが少し苦手なのだろう。

……隠密は外せないな。まぁ仕方ない。


ある朝、アーちゃんの寝相が悪かったので、私は隣のベッドに潜り込んだ。

ルミが目を覚まし、こちらを覗き込む。

その顔を見た瞬間、胸に懐かしさが込み上げてきた。


「もふもふ……」

ルミはためらわず、私を抱きしめた。

……悪くない。どこか温かい。


だが、パタパタと足音が近づく。

急いでアーちゃんの枕元に戻る。


――やはり、私には危機を察知する力が強く備わっている。

それはフェンリルとして力を抑えた代償に、逆に鋭敏になった感覚。

数秒後に起こることを察して動けるのだ。


ドアが少し開き、お母さんが「起きなさいよー」と顔を出す。

アーちゃんは私を抱きながら眠そうに身を起こし、私は「ワン」と小さく返事。

……お母さんは思わず後ずさり。

犬嫌いを克服するには、まだ時間がかかりそうだ。


だが面白い。少しずつ距離を縮めてやろう。


⸻


◆ 市場での観察


やがてルミが「仕入れに行こう」と言うので、私は護衛のつもりで玄関で待った。

•飛脚屋タッさん:

「ワン」と言ってやると、大袈裟に転がった。……やはり面白いやつだ。

•八百屋ターザン:

筋肉を鍛える奇妙な習慣を持つ。私も付き合って体を動かした。……悪くない。

•肉屋コージー:

おまけに干し肉をくれる。私は尻尾を振ってやった。結果、ルミも喜ぶ。作戦成功だ。

•香辛料屋ナオ:

……気が抜けない。隠密を強めなければ、私がフェンリルだと気づかれるだろう。


⸻


◆ 不穏の兆し


私は何度も「予知能力」の警告を受けた。

特に、お母さんが「温泉に行く」と言った時。


その瞬間、予知はレッドゾーンを振り切った。

胸騒ぎが止まらない。


あの日、私はアーちゃんとルミに昏睡魔法をかけて飛び出した。

――ギリギリ間に合った。

お母さんとコーチンの間に割って入り、最大限の威圧で退けた。


だが、あの魔鳥からは警告色が消えなかった。

「また来る」と直感が告げていた。


⸻


◆ 二度目の襲撃


そして三連休の最終日。

予知は再びムラサキゾーンに突入。


お母さんの前に現れたコーチンは、仲間を引き連れていた。

私は迷わず立ち塞がった。


一体ずつ焼き払い、水で炎を鎮める。

だが数は多い。

その隙を突かれ、お母さんに魔法が飛ぶ――!


「ぐっ……!」

私は身を挺して受けた。幸い致命傷ではない。


だがすかさずコーチンが噛みついてきた。

私は咄嗟に極大魔法を放ち、周囲ごと焼き払った。

延焼を防ぐために即座に水を放つ。……地形は変わったが、仕方ない。



⸻


◆ 感謝と誓い


家に戻ると、私は倒れ込んだ。

ヒールは使えない。……小さな姿では、力が封じられているのだ。


そこへ帰宅したお母さんが私を抱き上げた。

「ありがとう」

そう言って、癒しの魔法をかけてくれた。


犬嫌いのお母さんが……私を拒まなかった。

ただそれだけで、胸が熱くなった。


私はここにいていい。

この場所を守る。

伝説の魔物フェンリルではなく――“ポム”として。


第41話「フェンリルの誓い、ポムの日常」お読みいただきありがとうございました。

今回はポム視点から、コーチンとの二度にわたる遭遇と、お母さんとの距離の変化を描きました。


犬嫌いだったお母さんが、少しずつポムを受け入れ始めた……その小さな変化は、彼にとって大きな救いとなります。

次回からは、再び日常の「異世界焼肉」へ――けれど、嵐の前触れは確実に迫っているかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。