【第26話】「休みの日、街の外へ」
いつもの日常から、少しだけ離れて。
今回は私ルミが、Sランク冒険者ナオさんと一緒に、街の外へ出かけることになりました。
いつもの「異世界焼肉」とは違う、休みの日の小さな冒険。
仲間との再会や、風雷のみんなとの同行など、にぎやかで楽しい一幕を描きます。
朝。
私、ポム、お姉ちゃん、そしてお母さん。
順番に繰り広げられるいつもの朝のルーティンから一日が始まった。
——だけど、今日は少し違う。
今日は久しぶりの休みで、しかも二日連続。
私はずっと楽しみにしていた予定があったのだ。
そう、こないだ仕入れのときに、香辛料屋のナオさんへこっそりお願いをしていた。
「街の外へ連れていってください」って。
普段なら、近くの森へ行く程度なら私ひとりでも行ける。
魔物は少なく、装備をちゃんと整えれば怖いことはない。
けれど、今回はもっと遠くへ。
どうしても見たい景色があった。
冒険者組合を通せば護衛の依頼はできる。
ただし、護衛ができるのはCランク以上の冒険者からで、報酬も高額。
ましてSランクのナオさんなんかを組合経由で雇おうとしたら、私の手の届く額じゃ到底足りない。
でも、ナオさんは私に笑って言ってくれた。
「水臭いぞ。あんたの頼みならタダで連れていってやる」
そうして約束をしてくれたのだ。
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◆ 出発の朝
私は胸を弾ませながら準備を終え、ナオさんの家へ向かった。
扉をノックすると、すでに冒険者の装いに着替えたナオさんが現れた。
「今日はよろしくお願いします!」
私が頭を下げると、ナオさんは手をひらひらさせて笑った。
「かしこまらなくていいって。気楽に行こう」
さすがSランク冒険者、雰囲気からして余裕がある。
私は少し安心しながら並んで歩き、街の門へと向かった。
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◆ 門前の顔ぶれ
門の近くへ行くと、御者のヒョウさんの馬車が停まっていた。
その周りには、風雷のメンバー――エイト、シオン、レイナ、チュンの4人が集まっていた。
「おはようー!」
私が手を振ると、全員が駆け寄ってくる。
「どこに行くの?」とシオン。
「ナオさんと一緒?」とレイナは目を輝かせている。
彼らはナオさんを見るや否や、慌てて90度の礼をした。
「さ、さすがナオさんだ……!」
けれどナオさんは手を振り、「やめてくれよ。今日はプライベートなんだ」と苦笑した。
目的地は「ヨルゼン」という場所。
街から少し離れた自然豊かな土地で、美しい景色が見られるという。
そこへヒョウさんが声をかけてきた。
「ちょうど2日ほど空いてるから、乗っていくか?」
「助かる!」とナオさん。
こうして私たちは、ヒョウさんの馬車に乗せてもらうことになった。
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◆ 思わぬ同行者
すると風雷のリーダー、エイトが口を開いた。
「ヒョウさんの馬車は八人乗れるから、僕たちも同行していいですか? まだ依頼は受けていないので……できればナオさんの戦い方を見学させてもらいたいんです!」
その言葉に、ナオさんはちらりと私を見た。
「……どうする?」
私は笑顔でうなずいた。
「みんなで行った方が楽しそうです!」
ナオさんは肩をすくめ、「じゃあ馬車代と野営の準備はあんたたちが責任持ちなよ」と答えた。
風雷の4人は大きくうなずき、「もちろんです!」と声を揃えた。
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◆ 出発
門の検問はあっさり通過した。
「いってらっしゃい」「気をつけてな」
兵士さんたちが軽く会釈する。
ナオさんが一緒なら、誰も文句は言わない。
ヒョウさんの手綱さばきで馬車はゆっくりと進み出す。
私は窓の外を眺めながら、胸が高鳴るのを感じていた。
ポムももちろん一緒。
最初はきょろきょろと落ち着かなかったけれど、すぐに私の膝の上で丸くなり、安心したように小さく息をついて眠った。
こうして、いつもとは違う二日間が始まる。
異世界焼肉は定休日。
けれど私にとっては、新しい世界を知る小さな冒険の一歩だった。
第26話「休みの日、街の外へ」お読みいただきありがとうございました!
今回は異世界焼肉の営業はお休み。ルミが初めて街の外へ、本格的な“冒険”へと足を踏み出す回でした。
仲間との出会い、ポムとの旅、そしてナオさんや風雷のみんなとの掛け合い……これから二日間の物語がどう彩られていくのか、お楽しみに!




