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異世界焼肉  作者: 天坂 透真


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【第25話】「お姉ちゃんのキンパ大作戦」

異世界焼肉の日常は、肉の香りと笑い声であふれています。

けれど今日は、いつもとは少し違う特別な日。

お母さんが仕入れに出かけ、残されたお姉ちゃんと私が“一品”を担当することに。

果たしてお姉ちゃんの作るキンパは、どんな騒動を巻き起こすのでしょうか?


◆ 朝のルーティン


朝。

私の布団の中に潜り込んでいたポムは、お母さんが扉を半分ほど開ける前に必ずお姉ちゃんの布団へ戻り、ちょこんと座って「ワン」と短く挨拶。

お母さんは少しだけ開いた扉から「起きなさいよー」と声をかける。

——すっかり定番となった毎日のルーティンだ。


今日は珍しく、お母さんが仕入れに行くことに。

「ルミはお姉ちゃんを手伝ってやりなさい」

そう言い残し、渋々ながらもポムを連れて出ていった。


「ポム、お母さんに近づきすぎちゃダメよ」

そう諭すと、ポムは「ワン」と返事。

やっぱりこの子は言葉を理解している気がする。


⸻


◆ お姉ちゃんの大暴走


お店では、お姉ちゃんが一品作りに挑戦していた。

「今日の一品は……キンパ! しかも30種類よ!」

目が¥マークになっているお姉ちゃんは、勢いそのままに海苔とご飯を広げ、色とりどりの具材を巻いていく。


キムチ、龍肉、卵焼き、チーズ、野菜、果ては唐辛子一本まるごとなんて危険なものまで……。

お姉ちゃんの集中力と勢いは凄まじく、山のように積まれたキンパが次々と完成していった。


やがて、お母さんが帰宅。

「……あーちゃん、すごいじゃないか! 明日からもお願いしようかね」

「む、無理……」

集中力が切れたお姉ちゃんは、その場でぐったり。


私は笑いながら「ポムはいい子にしてた?」と聞くと、お母さんは「看板犬として頑張ってたわ」と微笑んだ。

それを聞いたポムは大喜びでお母さんに突進。

「ひぃっ!」と悲鳴をあげるお母さんに、怒られて干し肉倍増はお預けとなってしまった。

しゅんとするポム……やっぱり言葉がわかってる。


⸻


◆ 営業開始!


夕方、七輪に炭を入れ、暖簾を掲げる。

「異世界焼肉、本日もオープンです!」


最初に来たのはいつものえーさん。

山盛りのキンパを見て驚き、最初は慎重に食べていたが、やがて「旨い!」と太鼓判。


その後もヒョウさんや風雷の面々が来店し、キンパを大絶賛。

「これ、明日の昼にも持ち帰りたい!」と風雷は大量に買って帰った。


⸻


◆ より坊とオチ


営業の終盤。

お姉ちゃんがより坊に一本差し出した。

「ほら、キンパ食べてみなよ」

だがより坊は得意げに言い放った。

「酒飲みは米なんか食わねぇ!」


その瞬間、げんこつ、吠え声、甘噛み、激辛キムチのトリプル制裁が炸裂。

より坊は涙目になり、周りのお客は大爆笑。

結局そのあと、レモン酎ハイを無限に注がれ、ドワーフ腹になって千鳥足で帰っていった。


⸻


◆ クローズ


片付けを終えると恒例のシーン。

お母さんが腕をしっかり伸ばし、ポムに干し肉を差し出す。

「今日もよく頑張ったわね」

ポムは尻尾を振りながら頬張り、満足そうな顔をした。


その姿に笑いながら、私は心の中でつぶやいた。

「異世界焼肉、本日もクローズです」


第25話「お姉ちゃんのキンパ大作戦」お読みいただきありがとうございました!

今日はお母さんが仕入れに出かけ、残されたお姉ちゃんが大奮闘。

30種類のキンパに挑戦する姿は、やっぱり我が家のムードメーカーらしい光景でした。


次回はどんなお客さんが来て、どんな騒動が起こるのか。お楽しみに!


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