【第21話】「嵐の日の女子会」
異世界焼肉にも“お休みの日”があります。
今日は昨日から続く嵐で仕入れも営業もできない一日。
けれど、そんな日だからこそ生まれる笑いや新しいアイデアがあるものです。
女三人+一匹の、わちゃわちゃとした一日をお楽しみください。
夜中から降り続く大雨。
風は少し弱まったけれど、とても外に出られる天気ではなかった。
いつものように布団の中に潜り込んでいたポム。
ふわふわの毛の温もりを感じていたが、お母さんが起こしに来ない。
今日は異世界焼肉の仕入れも営業も休みだからだ。
「ぐずぐずしてみたいけど……」
私は結局寝られず、お母さんの部屋へ向かった。
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◆ 朝の出来事
「ポムは来ちゃだめよ」
そう言っても、ポムはうるうるとした瞳で見上げてくる。
——どこかで見たことのあるような、あのCMのような顔。
「……あれ? CMって何?」
ふと頭に浮かんだ言葉に、自分でも驚く。
私はたまに、意識せず“知らない言葉”を口にしてしまうことがあるのだ。
隣でお姉ちゃんも「CM……?」と呟いたけど、眠そうに目をこすって布団に沈んでいった。
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◆ お母さんの本音
お母さんも珍しくベッドに横になっていた。
「もう年ね……最近は死が呼んでる気がするわ」
その言葉に、私は思わずきつい声で返した。
「そんなの言っちゃダメ!」
心配になった私は、
「今日はお母さん、ゆっくり休んで。ご飯は私に任せて!」
と宣言。
こうして一日は、私が家事を引き受けることから始まった。
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◆ 朝ごはんと女子トーク
掃除をして、洗濯物を部屋干しし、朝ごはんを準備する。
ご飯にキムチ、小鉢を10種類ほど並べ、朝食らしい食卓になった。
もちろんポムには干し肉を忘れない。
食後は紅茶を淹れて、母と姉と“女子トーク”。
話題はやっぱり常連客たち。
「より坊なんか、いいんじゃない?」
お母さんと私がいじると、姉は真顔で「ないぢゃろ!」と即答。
でも、その頬は少し赤い気がした。
……本当のところはどうなのかな?
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◆ 昼の支度
昼はお姉ちゃんが珍しく台所に立った。
彼女が作ったのはキンパ。
「レパートリーは少ないけど、美味しいのよね……」
ちょっと羨ましい気持ちになりつつ、私はタラのスープを添える。
昼食を囲みながら、再び女子トーク。
お客さんのことを「あの人はこうだ、ああだ」と語り合う。
お姉ちゃんの人間観察は的外れなことも多いけど、妄想混じりで意外と楽しい。
「小説でも書いてみたらいいのに」
そう思ったけど、口には出さなかった。
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◆ 夜は鍋
夕方にはみんなで晩御飯の支度。
「鍋にしよっか」
お母さんの提案に、余っていたホルモンをたっぷり使い、もつ鍋を作ることになった。
ぐつぐつと煮える鍋の中で、ホルモンと野菜が踊る。
湯気の向こうで、みんなの笑顔が浮かぶ。
「今度雨が降ったら、この鍋をお店の限定メニューにしよう」
お母さんの言葉に、私とお姉ちゃんも大きく頷いた。
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◆ クローズ(?)
今日は営業していないから、オープンもクローズもない。
そう思っていたら——
「ワン!」
ポムが大きな声で吠えた。
「あちゃー……ポムの夜ご飯の干し肉忘れてた!」
慌てて用意して渡すと、ポムはすぐに機嫌を直し、しっぽをぶんぶん。
「今日もありがとう」
私とお姉ちゃんは笑い合った。
営業はなかったけど、心はいっぱいに満たされた一日。
「異世界焼肉、本日もクローズです」
第21話「嵐の日の女子会」お読みいただきありがとうございました!
今回は雨の日のお休み回。
仕入れも営業もない一日だからこそ生まれる、家族の笑い声や新しいアイデアを描いてみました。
嵐の日にだけ誕生するメニュー——“もつ鍋”は、次の営業日に出番があるかも?
次回はまた、店に賑やかな日常が戻ります。お楽しみに!




