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第45話:同じ場所で、違うふたり(スーパーロング)
「……」
夜。
コンビニの明かりが、変わらずそこにある。
「……」
弓乃は、ベンチの前で立ち止まった。
「……」
(……ここ)
初めて会った場所。
何度も話した場所。
迷って、逃げて、戻ってきた場所。
「……」
全部、ここにある。
「……」
「弓乃さん」
「……」
振り向く。
陽斗。
「……」
自然に、少しだけ笑う。
「……来てくれたんだ」
「……はい」
陽斗も、少しだけ柔らかい顔をする。
「……」
少しの沈黙。
でも。
「……」
前とは違う。
気まずくない。
逃げたくもない。
「……」
「……座ります?」
陽斗が言う。
「……うん」
二人でベンチに座る。
「……」
少しだけ距離を空ける。
「……」
でも。
「……」
すぐに、近づく。
「……」
手が、自然に触れる。
「……」
そのまま、繋ぐ。
「……」
前みたいに迷わない。
「……」
弓乃が、少しだけ息を吐く。
「……」
「……なんか」
ぽつりと。
「……はい」
「……落ち着く」
「……」
陽斗が、少しだけ笑う。
「……」
「……俺もです」
「……」
「……」
静かな時間。
「……」
でも。
今は、それが心地いい。
「……」
「……今日」
弓乃が口を開く。
「……」
「……ちゃんと通った」
「……」
陽斗が、少しだけ目を細める。
「……」
「……黒崎さん」
「……」
「……認めてくれた」
「……」
その言葉は、重い。
「……」
「……よかったですね」
「……」
「……うん」
小さく頷く。
「……」
「……怖かった」
「……」
正直な言葉。
「……」
「……また、崩れるかもって」
「……」
「……落とすかもって」
「……」
「……」
陽斗が、少しだけ考える。
「……」
「……崩れてもいいと思います」
「……」
「……え?」
「……」
「……また立て直せばいいんで」
「……」
「……」
弓乃が、少しだけ目を細める。
「……」
「……簡単に言う」
「……」
「……すみません」
「……」
「……でも」
続ける。
「……」
「……一人じゃないんで」
「……」
その一言で。
「……」
胸の奥が、じんわりと温かくなる。
「……」
「……うん」
小さく返す。
「……」
少しだけ、手に力が入る。
「……」
「……陽斗くん」
「……はい」
「……」
少しだけ間。
「……」
「……ちゃんとやれてるかな」
「……」
不安。
まだ消えない。
「……」
陽斗が、ゆっくり頷く。
「……」
「……やれてます」
「……」
「……ちゃんと」
「……」
「……弓乃さん、逃げてないんで」
「……」
その言葉は、まっすぐだった。
「……」
弓乃が、少しだけ笑う。
「……」
「……そういうとこ」
「……」
「……好き」
「……」
「……」
陽斗が、少しだけ目を逸らす。
「……」
「……急に言いますね」
「……」
「……だって、本当だから」
「……」
少しだけ、照れる。
「……」
「……」
夜の空気が、やわらかい。
「……」
「……ここ」
弓乃が、ベンチを見ながら言う。
「……」
「……最初、なんか変な人だと思ってた」
「……」
「……ひどくないですか」
「……」
「……だって」
少しだけ笑う。
「……」
「……急に話しかけてくるし」
「……」
「……それは……」
「……」
「……でも」
少しだけ間。
「……」
「……よかった」
「……」
「……会えて」
「……」
その一言が、静かに落ちる。
「……」
陽斗が、少しだけ目を細める。
「……」
「……俺もです」
「……」
「……」
沈黙。
「……」
でも。
「……」
言葉はいらない。
「……」
「……これから」
陽斗が、ゆっくり言う。
「……」
「……忙しくなると思います」
「……」
「……」
弓乃が、頷く。
「……」
「……うん」
「……」
「……会えない日も、増えるかもしれない」
「……」
「……」
「……でも」
「……」
「……それでもいいですか」
「……」
問い。
「……」
弓乃が、少しだけ考える。
「……」
「……うん」
はっきりと。
「……」
「……ちゃんとやるって決めたから」
「……」
「……仕事も」
「……」
「……こっちも」
「……」
その言葉に。
「……」
陽斗が、少しだけ息を吐く。
「……」
「……俺もです」
「……」
「……逃げません」
「……」
「……」
弓乃が、少しだけ笑う。
「……」
「……うん」
「……」
手は、繋いだまま。
「……」
夜は、静かに流れていく。
「……」
何も変わらない場所。
でも。
「……」
二人の関係は、確かに変わった。
「……」
「……また来ましょうか」
陽斗が言う。
「……」
「……ここ」
「……」
弓乃が、少しだけ笑う。
「……」
「……うん」
「……」
「……また来たい」
「……」
それだけで、十分だった。
「……」
立ち上がる。
「……」
手は、離さない。
「……」
並んで歩く。
「……」
少しだけ、前より近い距離で。
「……」
これから先。
きっと、また迷う。
ぶつかる。
崩れるかもしれない。
「……」
それでも。
「……」
二人で進む。
「……」
同じ方向へ。
⸻
――同じ場所で、違うふたりが歩き出す。




