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第41話:言葉にするということ
「……」
夜。
あのコンビニ。
見慣れた光。
「……」
ベンチの前で、足が止まる。
「……」
(……ここだよな)
何度も来ている場所。
なのに。
「……」
今日は、少し違う。
「……」
胸の奥が、少しだけうるさい。
「……」
深く息を吸う。
「……」
吐く。
「……」
そのとき。
「……陽斗くん」
「……」
振り向く。
弓乃。
「……」
少しだけ、息が止まる。
「……」
(……やっぱり)
思う。
「……」
「……来てくれたんだ」
弓乃が、小さく笑う。
「……」
「……はい」
短く返す。
「……」
近づく。
「……」
距離は、前より近い。
でも。
「……」
まだ、触れない。
「……」
「……終わりました?」
陽斗が聞く。
「……うん」
弓乃が頷く。
「……」
「……ちゃんと、出せた」
「……」
「……そうですか」
少しだけ、安心する。
「……」
「……黒崎さんにも」
少しだけ間。
「……認めてもらえた」
「……」
陽斗が、ふっと笑う。
「……よかったですね」
「……うん」
小さく頷く。
「……」
沈黙。
「……」
でも。
今日は、そのままにしない。
「……」
陽斗が、一歩踏み出す。
「……」
弓乃が、少しだけ目を上げる。
「……」
「……あの」
「……」
言葉を探す。
でも。
「……」
もう、逃げない。
「……」
「……俺」
「……」
弓乃を、まっすぐ見る。
「……」
「……弓乃さんのことが、好きです」
「……」
空気が、止まる。
「……」
「……ちゃんと」
「……」
「……付き合ってほしいです」
「……」
言い切る。
「……」
心臓の音が、大きい。
「……」
弓乃が、動かない。
「……」
目が、少しだけ揺れる。
「……」
「……」
数秒。
「……」
弓乃が、ゆっくり息を吐く。
「……」
「……ずるい」
小さく笑う。
「……」
でも。
その目は、優しい。
「……」
「……そんなの」
「……」
「……断れるわけない」
「……」
胸が、強く鳴る。
「……」
「……私も」
「……」
「……陽斗くんのこと、好き」
「……」
はっきりと。
「……」
「……だから」
少しだけ間。
「……」
「……お願いします」
「……」
その一言で。
全部が、繋がる。
「……」
陽斗が、少しだけ息を吐く。
「……」
「……よかった」
ぽつりと。
「……」
弓乃が、ふっと笑う。
「……」
「……うん」
「……」
静かな時間。
「……」
でも。
「……」
さっきまでとは、全部違う。
「……」
「……これから」
弓乃が言う。
「……」
「……ちゃんとやる」
「……」
「……仕事も」
「……」
「……こっちも」
「……」
陽斗が、頷く。
「……」
「……俺もです」
「……」
「……ちゃんと向き合います」
「……」
お互いに、分かっている。
簡単じゃないこと。
「……」
でも。
「……」
逃げないことも。
「……」
「……じゃあ」
弓乃が、少しだけ手を動かす。
「……」
陽斗も、少しだけ動く。
「……」
触れる。
「……」
今度は、迷わない。
「……」
しっかりと、繋ぐ。
「……」
弓乃が、少しだけ息を呑む。
「……」
でも。
「……」
離さない。
「……」
「……よろしくね」
「……」
「……こちらこそ」
「……」
夜の空気が、少しだけ柔らかくなる。
「……」
二人で、同じ方向を向く。
「……」
ここから。
始まる。
⸻
――言葉にした瞬間、関係は変わる。




