救助
「ルーカス!!」
アリスの光によって俺たちの目に入ったのは、さっきより巨大なゴーレム、そして地面に横たわるルーカスだった。
「大丈夫、気を失ってるだけよ。」
アリスがほっと胸を撫で下ろした。
安心してる場合ではない、すぐにルーカスを避難させないと。
「リナリア、ルーカスを頼んだ。」
「はいっ」
リナリアはルーカスに浮遊魔法をかけようとしている。
倒せないにしてもせめて時間稼ぎをしないと。
ダリアはどうやら魔力を集中させている。
俺は水の球を召喚し、まだこちらに気づいていないゴーレムに向かって2つ発射した。
1つは惜しくもゴーレムを掠め、外したがもう1つが左足にヒットした。
表面の土が剥がれ落ちたが、魔力で強化されているのであろうか、大きなダメージを与えられなかったようだ。
ゴーレムはこちらに気づき咆哮をあげる。
しかし、ダリアが間髪入れずに魔力をゴーレムの左足に集中させると、破壊音とともに、爆発的に湯気が辺り一面に広がった。
少なくともこれで、ゴーレムは動けないはず、充分時間は稼いだはずだ。
リナリアとルーカスはもういない。
少し気が緩んだ。
この時を敵は待っていた。
突如砂埃が舞い、あっという間にこちらを包み込んだ。
俺たちは視覚を失い、ただ迫り来る砂と風から身を守ることしかできなかった。
そして、ゆっくりとゆっくりとおさまっていき、そこにただ1人立っていたのはパーティーから離脱していたニコルであった。
「ゴーレムを排除してくれてありがとう。
このでか物は私の能力とは相性が悪くてな。
おかげで強力な魔鉱石を手に入れることができた。
これでシオンに対抗する力が手に入った。」
「シオンに!?」
俺は訳がわからなくなった。
ニコルがスパイ?
「シオンを捕まえるつもりか?」
「あぁ、そうだ。
なんでも覚醒の情報を握っているらしい。
私は力のためならなんでもする。
例え学園と友人を裏切っても。」
ダリアが不意を突き、疾風を放った。
しかし、ニコルが同様に疾風をぶつけ、力を相殺した。
「そんな…」
アリスは絶望し、その場に座り込んだ。
「今度はこちらの番だ。」
ニコルは右腕でこちらの戦闘要員であるダリアを指すと、砂を含んだ竜巻が発生し、一瞬のうちにダリアの身体を投げ飛ばした。
「くそっ」
俺は砂と相性がいい先ほどの水の球をニコルに放った。
けれどもニコルの繰り出す疾風の前に、球は飛沫となり跳ね返される。
ニコルが透明な結晶を掲げる。
「立ち上がれ、ゴーレム、やつを叩き潰せ!!」
すると、動かなくなっていたゴーレムの左足が再生し、立ち上がる。
ルーカスはもちろん、リナリアは避難し、アリスは相変わらず動けず、ダリアは竜巻の衝撃で気を失っている。
俺たち自身の魔力も残り少ない。
絶対絶命だ。
「とどめだ。」
ゴーレムが右腕を振りかぶり、俺を目掛けて振り下ろす。
俺は目を閉じた。
バキッ
目を開けるとゴーレムの腕が崩壊していた。
「危ないところだったね。」
「やれやれ手がかかる。」
そこには2人の人物、
アヤメさんとシオンが立っていた。




