気迫
「なっ、シオン!?」
ニコルが取り乱す。
「なぜおまえが!?
想定外だが本部まで来てもらおうか。」
「悪いけど急いでいるんだ。
おとなしく帰ってくれないか?」
シオンは落ち着いた様子で言った。
「ならば力づくで連れてくまでよ。」
砂嵐が吹き荒れる。
「アヤメ、そのゴーレム危ないから処分しといてくれ。
さぁ、いくよ。」
シオンがニコルを睨みつける。
その気迫はまるで強い重力が働いているように、空気を重くした。
ニコルは一瞬たじろいだが、すぐに無数の砂の矢を放った。
しかし、シオンが左手をかざすと、シオンは流水の球体に囲まれ、彼女の攻撃全てを吸収した。
「さぁ、その魔鉱石を返してもらおうか。」
シオンはニコルを圧倒していた。
俺たちはどうやら助かったようだ。
あとは流れ弾に注意していればいい。
だが、そうは問屋がおろさなかった。
撃破したように思われたゴーレムは、魔鉱石の力であろうか、再び軋む音を立てながら起動し始めた。
その轟音により、我に返ったアリスは俺たちに防御魔法をかけようとしてくれるが、防御魔法は特に精神状態に左右されるもので、安定した強いものではなかった。
迫り来るゴーレム
そのとき
スパァン
そして一瞬の静寂
ゴーレムは縦に一直線、真っ二つに崩れ落ちた。
日本刀を鞘に収めるアヤメさんの背中は、確かに学園一の防衛魔術師の気迫を纏っていた。
綺麗な黒髪が風になびく。
「みんな大丈夫?あとはシオンさんに任せてね。」
優しく語りかけるアヤメさんは、先ほどとは打って変わって、いつもの優しいアヤメさんだった。
「なぜ魔鉱石の力を持ってしても勝てない!?」
ニコルががむしゃらに岩の塊を、シオンに向かって放つ。
「魔鉱石は確かに魔力の供給源だ。だが、魔術の質を上げるものではない。」
やはりニコルの攻撃はシオンの水の結界の前では、ズブズブと吸収されていく。
「校長の元まで来てもらおう。」
シオンはニコルを指差すと、シオンの周りを囲っているのと同じ水の球体が彼女を捕らえた。
「なっ!?こんなもの!!」
ニコルは球体の中で右手をかざした。
けれども、少し水の流れが速くなったのであろうか、ほとんど何も起こらなかった。
「ア、アリス、助けて…」
ニコルが膝をついた。
おまえ何言ってんだよ。今更友達面かよ。
アリスを見るとその顔はいつもの赤みを失って、返す言葉もないようだ。
「そうだ、魔鉱石を取り上げておかないと。」
シオンは水を操り、ヌプッと魔鉱石を結界から取り出した。
「ゴーレムなんかに任せとくんじゃなかったなぁ。」
シオンが残念そうに言った。
「はぁ?何言ってるんだあんた。」
俺は耳を疑った。




