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かるさば  作者: 茅原遥希
追想
10/12

気迫

「なっ、シオン!?」

ニコルが取り乱す。


「なぜおまえが!?

想定外だが本部まで来てもらおうか。」


「悪いけど急いでいるんだ。

おとなしく帰ってくれないか?」


シオンは落ち着いた様子で言った。


「ならば力づくで連れてくまでよ。」


砂嵐が吹き荒れる。


「アヤメ、そのゴーレム危ないから処分しといてくれ。

さぁ、いくよ。」


シオンがニコルを睨みつける。


その気迫はまるで強い重力が働いているように、空気を重くした。


ニコルは一瞬たじろいだが、すぐに無数の砂の矢を放った。


しかし、シオンが左手をかざすと、シオンは流水の球体に囲まれ、彼女の攻撃全てを吸収した。


「さぁ、その魔鉱石を返してもらおうか。」



シオンはニコルを圧倒していた。


俺たちはどうやら助かったようだ。


あとは流れ弾に注意していればいい。


だが、そうは問屋がおろさなかった。


撃破したように思われたゴーレムは、魔鉱石の力であろうか、再び軋む音を立てながら起動し始めた。


その轟音により、我に返ったアリスは俺たちに防御魔法をかけようとしてくれるが、防御魔法は特に精神状態に左右されるもので、安定した強いものではなかった。


迫り来るゴーレム


そのとき


スパァン


そして一瞬の静寂


ゴーレムは縦に一直線、真っ二つに崩れ落ちた。


日本刀を鞘に収めるアヤメさんの背中は、確かに学園一の防衛魔術師の気迫を纏っていた。


綺麗な黒髪が風になびく。


「みんな大丈夫?あとはシオンさんに任せてね。」


優しく語りかけるアヤメさんは、先ほどとは打って変わって、いつもの優しいアヤメさんだった。



「なぜ魔鉱石の力を持ってしても勝てない!?」

ニコルががむしゃらに岩の塊を、シオンに向かって放つ。


「魔鉱石は確かに魔力の供給源だ。だが、魔術の質を上げるものではない。」

やはりニコルの攻撃はシオンの水の結界の前では、ズブズブと吸収されていく。


「校長の元まで来てもらおう。」

シオンはニコルを指差すと、シオンの周りを囲っているのと同じ水の球体が彼女を捕らえた。


「なっ!?こんなもの!!」

ニコルは球体の中で右手をかざした。


けれども、少し水の流れが速くなったのであろうか、ほとんど何も起こらなかった。


「ア、アリス、助けて…」

ニコルが膝をついた。


おまえ何言ってんだよ。今更友達面かよ。


アリスを見るとその顔はいつもの赤みを失って、返す言葉もないようだ。


「そうだ、魔鉱石を取り上げておかないと。」

シオンは水を操り、ヌプッと魔鉱石を結界から取り出した。


「ゴーレムなんかに任せとくんじゃなかったなぁ。」

シオンが残念そうに言った。


「はぁ?何言ってるんだあんた。」

俺は耳を疑った。


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