亀裂
俺は半ば反射的に燃焼魔法をかけようとしたが、おおよそ人のものではない加速力で突撃する巨大な影を打ち負かすことはできず、なす術もなく吹き飛ばされた。
「退がれ!」
怒号、悲鳴、炸裂音が飛び交う中、俺は意識を失った。
どのぐらいの時間が経っただろうか、気がつくと目の前には心配そうな表情のリナリアがいた。
どうやら彼女のひざの上に俺は頭を乗せているようだ。
心地よくぼーっとリナリアの愛らしい顔を見ていると、その顔は熱を帯びたように赤面する。
もうひと眠りしようとするとウトウトしていると、アリスに叩き起こされた。
「何寝ようとしてるの‼︎
ダリアちゃんが敵から守ってくれたから私達助かったのよ。
それでもニコルとルーカスは、爆破に巻き込まれて…
それとリナリアに感謝しなさい。
リナリアが、あなたに防御魔法をかけ、今まで回復するように魔力を流してたのよ。」
「悪かったよ…」
「サヴァンくんを責めないで、サヴァンくんがいなかったら私達に直撃してた。」
3人の中に険悪な空気が流れる。
「そんな話をしている場合ではない。
まずは逸れた2人と合流すべきだ。」
ダリアが冷静にその場をおさめる。
「恐らく、襲撃してきたのはゴーレムだ。
ゴーレムは術者によって作られ動かされている。
ここは鉱山ということを考慮すると、稼働していた頃の遺産なのかもしれないが、やはり術者も潜んでいると考えられる。
さらに、あのゴーレムは破壊したがまだゴーレムが存在するかもしれない。」
確かにまだ警戒を緩めてはならない。
早くルーカスとニコルを見つけないと、2人は防衛魔術が得意でないはずだ。
俺はダリアを信頼し、ダリアを疑っていた自分を恥じた。
ダリアはあの巨大なゴーレムを始末したことで魔力を少なからず消費したはずだ。
俺がしっかりしないと。
「アリス、2人の魔力を探知してくれないか?」
「もうしてるわよ。」
ムスッとしながらアリスは言った。
「200m程奥に3つの魔力を発見したわ。
え、2つはかなり大きな魔力を秘めてる!!
恐らく魔力形質からゴーレムと術者。
まさか、1人はもう…」
そういうとアリスとダリアは駆け出した。
「俺たちも行こう。」
こうしてアリス、ダリアを先頭に俺たちは魔力の元へと向かった。




