結成
心地よい春風が吹く課外演習当日、校門前にてチームメンバーが集まった。
「じゃ、予定通り歩いて昼までには目的地に着くようにしよう。
フォーメーションはフロントに俺とダリア、リナリアとアリスを挟むように、バックはルーカスとニコルでいいな?」
「了解っ!!」
編み込みを入れた長い茶髪が特徴的なニコルが楽しそうに返事した。
それと同時に、リナリアがサッと俺の後ろに移動した。
北へ北へ
始めは黙々と歩を進めていたが、退屈になってきた。
聞いた話では学園には結界が張られていて、魔獣や無法者は入って来られないようになっているらしい。
ということは、学園外は危害を加えるものがいると考えられるが、心配には及ばなかったようだ。
気づくと、パーティーの仲でも背が低いダリアは歩幅が小さく、みんなより早歩きになっていた。
「ダリア、歩くペース早いんじゃないか?
ゆっくり行っても間に合うぞ。」
「構わん、続けてくれ。」
本当にダリアはストイックだな。
そして北への一本道は分岐点に到達した。
東側の道はずっと行くと港があり、そこから学園への物資が送られているらしい。
そして西側は古い鉱脈へと繋がっている。
石炭が採れた鉱脈だが、今回の目的物は魔鉱石。
魔鉱石はニコルとリナリアが判別する手はずだ。
見た目は透明で、水晶の結晶ような形をしているが、恐らく採れるのは極小さな粒であることが考えられるため、よく知った人が必要なのだ。
そうこうしているうちに、鉱山の入り口が見えてきた。
ゴツゴツした地面には線路があちらこちらに引いてあり、木製のトロッコが朽ちている。
「不気味だわ。」
アリスがつぶやく。
「俺がついてる。」
ルーカスがにこにことアリスに言ったが、華麗にスルーされる。
「こういう洞窟のようなところは、魔獣が棲みつきやすい。みんな離れるなよ。」
「はいっ。」
リナリアがぴったり後ろについてくる。
近いよ…
甘い花のような香りが鼻腔をくすぐった。
洞窟を覗くと意外と広く、高さは天井を見上げるほど充分で、掘り出しに使ったであろう線路が4つ平行に走っている。
洞窟の中は薄暗く、奥は真っ暗だ。
「火、点けるよ。」
アリスがまるでヒトダマな灯りを、パーティーを囲うように4つ出現させた。
「行こうか。」
俺たちはゆっくりと踏みしめ、歩き始めた。
奥へ行くほど、足場の岩は小さくなっていった。
洞窟の入り口からは、不気味に風が巨大なオークのように唸りをあげていた。
そのとき前方で何か俺よりも大きなものが動いた。
強風により注意を逸らされていた俺たちは、半径5メートルほどに入ってその存在に気づかされたのだ。
ニコルがきゃっと声をあげる。
パキパキと音を立てながらその巨体は、俺とダリアを目掛けて一直線に突進してきていたのだった。




