疑惑
「転校生にダリアという女の子がいると思う。彼女には気をつけた方がいい。
彼女の魔法からは微かに闇の力を感じる。
精神的にストレスを感じると闇の力に目覚めることがある。
よく支えてやるべきだ。」
ダリアが?確かに人と好んで接しようとはしないが、悪いやつではない。
容赦ないやつだが…
待てよ、ダリアは今学期から転校してきたはずだ。
それにあの対人魔術の腕前から察するに、上位のソーサレスだ。
信じたくはないが可能性はある。
「はい。気をつけます。ですが、彼女が俺達に危害を加えることはまずないでしょう。」
「だといいけどね〜。」
いつもの調子に戻った。
「じゃあ、また。さっきも言ったけど、追われている身だからここに長居はできないんだ。
なお、このドアノブは証拠隠滅のため爆散呪文を施しました。危険ですのでお下がりください。」
彼は悪魔のような笑みを浮かべた。
意識が戻る頃にはとうに部屋は暗くなっていた。
リナリアの献身的な回復術のお陰で痛みが取れたが、シオンへの怒りは収まらなかった。
いたずらにも度が過ぎるっ
確かに彼が俺だけの意識に入り込んだということは、爆発によりばれなかったようではあるが。
ちゃっかり女性陣には防御魔法をかけているし。
いや、それはいいんだが気に食わない。
よし、もう先輩と呼ぶのはやめよう。
リナリアは俺に大丈夫?と心配してくれたが、アリスは上の空のようだ。
かなりシオンを心配しているんだな。
個人的には心配する気にはなれないが。
窓から真っ赤な西陽が部屋全体を照らしていた。
シオンの失踪は彼の自己責任だ。
俺にはあんなふざけた人に構ってる暇はない。
まず、日々の演習、また、2週間後の野外演習の準備を確実にこなさなければならない。
早く単位を取ってこの高校を卒業する。
俺達には時間がない。
卒業してこの退屈な世界から抜け出すんだ。




