捜索
放課後、俺はリナリアらと、数ヶ月前までシオン先輩が暮らしていた男子寮を訪れた。
すこぶる気分が乗らない。
ダリアの攻撃は防御魔法を貫通する。
つまり痛いどころではない。
やっと演習が終わったのだから、
こんな風の強い日は自分の部屋に閉じこもりたい。
ところで、学園ではほとんどの学生が敷地内の寮で暮らしている。
寮では、全員が1人部屋を持つという恵まれた環境であり、その原因は生徒の減少にあるのだろう。
部屋が余っているため、今、先輩の部屋は誰も使っていない。
誰も使っていない小さな粒の砂を被った扉などの作りは、俺の部屋と同じだがこの場所は、あの悪名高きシオン先輩の部屋である。
ルーカスはこの部屋で実験台となり、記憶を失い、二週間魔力が回復しなかったという逸話がある。
「先に入ってよ。」
「なんでだよっ」
簡単に言ってくれる…
ここは学園で4本の指に入る危険な場所だぞ。
「大丈夫、魔倉庫より安全よ。」
アリスが言い放つ。
その魔倉庫は去年謎の爆発を2度起こしたんだが…
言っても無駄なので飲み込んだ。
「あ、私が結界かかってないか調べてみるね。」
リナリアが手を扉の方にかざす。
すると、リナリアの手が柔らかい白い光に包まれた。
相変わらず精密な力の使い方をする。
彼女は科学科に所属し、その分析力、魔術に対する知識は高等レベルを凌駕している。
科学というのは魔術の仕組みについての学問らしい。
以前リナリアは俺に、電子という粒子がどうとかで放電魔法がどうたらと教えてくれたが、全く理解できなかった。
確かに学園の適性基準は正しいのかもしれない。
そうこうしているうちに、リナリアの解析は終わったようだ。
「うん、結界はかかってないみたい。」
「じゃあ入って。」
なんなんだこの2人の差は。
ぜひアリスにはリナリアを見習って頂きたい。
俺はダリアに痛めつけられた左足をさすりながら歩を進めた。
ゆっくりドアノブを持つとピリッ
「痛っ」
なぜかケラケラ笑うアリス
腹を抱える。
笑いすぎだろ、地味に痛いんだぞ。
ドアノブを握り直すと金属特有の冷たい感触
ゆっくり回す。
そーっとドアを開けるとそこは普通の部屋でした。
あれ?
よく考えると先輩はもう住んでいないのだからこれが普通だよね?
中に入ると、うん、何もないが壁にところどころ焦げ目や融けた跡がある。
先輩の実験の痕跡だろうな
「入って来ていいぞ。」
ゆっくりキョロキョロしながら入る二人。
「意外と何もないね。」
「もう帰ろうぜ。」
うーん、もうちょっと、とか言いながら壁を眺めるアリス
「先に外に出るぞ。」
「わ、わたしも…」
なぜかついてくるリナリア
静電気に警戒してノブに触れるのをためらっていると、
「保護魔法かけてあげるね。」と右手が小さく温かい手に包まれる。
ありがとうと言いリナリアを見ると、みるみると顔が赤くなっていく。
ち、ちがうの、そんなつもりじゃ…と何か言っている。
そのとき異変に気がついた。
俺はダリアの攻撃を受けすぎて忘れていたが、防御魔法を自らに施していたはずだ。
なぜ静電気を痛いと感じたのだろうか。
何かこのドアにはあるのかもしれない。
再び部屋の中からノブを回すと光を放ちぽろりと落ちてしまった。
あぁ、ばれたらやばいな、そう思っていたら、
「シオンさん!!」
アリスが叫ぶ。
そんな訳が、、、ほんまやっ!!
整った顔、茶色い髪、スラリとしたその体型はまさにシオン先輩であった。




